ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展


ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展の概要 会場写真

企画展/巡回展/コレクション展
会期・会場:
 2014年6月28日〜9月15日 世田谷美術館
 2014年9月30日〜11月30日 京都市美術館
 2015年1月2日〜5月10日 名古屋ボストン美術館


国際巡回 スライド

 Looking East: Western Artists and Allure of Japan(東を見つめて―西洋の芸術家たちと日本の魅惑)

・ナッシュビル、フリスト・センター・フォー・ヴィジュアル・アーツ(2014年1月31日〜5月11日)
・日本巡回(2014年6月28日〜2015年5月10日:東京・京都・名古屋)
・ケベック国立美術館
・サンフランシスコ、アジア美術館


コレクション展

単一の美術館の収蔵作品を紹介する展覧会。特殊な例として、古いコレクションが解体されて、現在、複数の美術館に分かれて所蔵されている場合、それらを再構成して紹介することがある

単一の美術館から一括借用した作品で展覧会を構成するため、複数の美術館から数点ずつ作品を借用する場合と比べて、輸送費・保険料等の経済的負担を軽減することが可能

・常設展示を常態としている欧米の美術館からの借用の場合、美術館の改修工事等で「門外不出の名品」が借用可能な機会に開催される

・コレクションの知名度個性が開催成否の鍵


ジャポニスム

japonisme[仏語]

―1860年頃からパリを中心に流行した、日本の浮世絵版画や工芸品の収集、およびそうした日本の美術品から得られた造形感覚やモティーフを芸術表現に採り入れようとする動きの総称。

  ※モティーフ…主題、題材、再現された事物

1862年 ロンドン万国博覧会=駐日英国公使ラザフォード・オールコックによる日本美術コレクションの展示
1867年 第2回パリ万国博覧会=日本初参加。江戸幕府、薩摩藩、佐賀藩が出展
1873年 ウィーン万国博覧会=明治政府が公式に参加
1878年 第3回パリ万博=明治政府、三井物産、起立工商会社等が参加
1900年 第5回パリ万博=日本部門事務局長に林忠正。古美術展を開催


ボストン美術館の歴史

1876年 ボストン美術館開館
1878年 アーネスト・F. フェノロサ来日
1881年 ウィリアム・S. ビゲローの日本美術コレクションの展覧会
1890年 フェノロサ帰国。ボストン美術館日本美術部長就任
1892年 「北斎と一門」展開催
1896年 ニューヨークで浮世絵展。フェノロサによる解説目録「浮世絵の巨匠たち」
1900年 ニューヨークでフェノロサ監修による「北斎肉筆画」展
1901年 フェノロサ『浮世絵史概説』刊行
1903年 岡倉天心『東洋の理想』刊行
1905年 天心、中国・日本美術部のアドバイザー就任
1906年 天心『茶の本』刊行
1908年 フェノロサ、ロンドンで客死
1910年 天心、ボストン美術館中国・日本美術部長就任
1911年 ビゲロー、コレクションを寄贈(日本・中国美術15,000点、浮世絵40,000点)

出典:「関連年表」、『ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展』図録(NHKほか、2014年): 211-217. ほか


作品紹介

 第1章 日本趣味

1. 歌川広重《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》、江戸時代、安政4年(1857年)9月、大判錦絵、36.3×24.2cm
  参考図版:フィンセント・ファン・ゴッホ《雨中の橋》、1887年、アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館

2. 歌川広重《名所江戸百景 亀戸梅屋敷》、江戸時代、安政4年(1857年)11月、大判錦絵、33.4×22cm
  参考図版:フィンセント・ファン・ゴッホ《花咲く梅の木》、1887年、アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館

3. 《インクスタンド》、1876年(デザイン:ポール・ルグラン、制作:ブシュロン社)、銀、金メッキ、エナメル(シャンルヴェ、バスタイユ、クロワゾネ)、23.4×33.6cm

4. ルイ・デュムーラン《京都の鯉のぼり、端午の節句》、1888年、油彩・カンヴァス、33.4×21.8cm

 第2章 女性

5. 渓斎英泉《(鯉の滝登り打掛の花魁)》、江戸時代 天保期(1830-44年)、大判藍摺絵竪二枚続、76×25cm
  参考図版:「パリ・イリュストレ」1886年5月1日号表紙、個人蔵/フィンセント・ファン・ゴッホ《タンギー爺さん》、1887年、パリ、ロダン美術館

6. アルフレッド・ステヴァンス《瞑想》、1872年頃、油彩・カンヴァス、40.7×32.4cm

7. クロード・モネ《ラ・ジャポネーズ》、1876年、油彩・カンヴァス、231.8×142.3cm

8. メアリー・スティーヴンソン・カサット《湯浴み》、1891年頃、油彩・カンヴァス、231.8×142.3cm

9. 喜多川歌麿《(母子図 たらい遊)》、江戸時代、享和3年(1803年)頃、大判錦絵、35.3×24cm

10. フィンセント・ファン・ゴッホ《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》、1889年、油彩・カンヴァス、92.7×72.7cm

11. 歌川国貞[三代豊国]・広重《当盛十花撰 夏菊(二代目沢村訥升、初代沢村由次郎)》、江戸時代 安政5年(1858年)3月、大判錦絵、37.1×26.2cm

 第3章 シティ・ライフ

 第4章 自然

12. チャールズ・キャリル・コールマン《つつじと林檎の花のある静物》、1878年、油彩・カンヴァス180.3×62.9cm

13. ジェームズ・アンソール《貝殻のある静物》、1923年、油彩・厚紙、格子状木製パネルの裏打ち、44.5×55cm

14. ペーター・ベーレンス《睡蓮に蝶》、1897年、多色摺木版、49.5×63.5(56.5×69.1)cm

15. ステューベン・ガラス工房、デザイン:フレデリック・C. カーダー《ブルー・オリーン扇形花瓶》、1927年頃、虹彩ガラス21.6×17.8×10.2cm

 第5章 風景

16. ジョン・ヘンリー・トワークトマン《運河風景》、1880年代前半、油彩・カンヴァス、38.1×45.4cm

17. ウィリアム・エドワード・ノートン《夜》、1890年、油彩・カンヴァス、58.4×76.2cm

18. ハーマン・ダドリー・マーフィー《アドリア海》、1908年頃油彩・カンヴァス、50.8×68.9cm

19. チャールズ・ハーバート・ウッドベリー《フロリダ海岸沖》、1902年頃、油彩・カンヴァス、73.3×91.8cm

20. ポール・シニャック《サン=カの港》、1890年、油彩・カンヴァス、66×82.5cm

21. 歌川広重《名所江戸百景 鉄炮洲稲荷湊神社》、江戸時代、安政4年(1857年)2月、大判錦絵、33.4×21.8cm

22. ジョン・ラファージ《ヒルサイド・スタディ(二本の木)》、1862年頃、油彩・カンヴァス、61×32.7cm

23. カミーユ・ピサロ《雪に映える朝日、エラニー=シュル=エプト》、1895年、油彩・カンヴァス、82.3×61.6cm

24. クロード・モネ《トルーヴィルの海岸》、1881年、油彩・カンヴァス、60.7×81.3cm

25. クロード・モネ《睡蓮の池》、1900年、油彩・カンヴァス、90.2×92.7cm


まとめ

 ・コレクション展

―美術館の収集方針とコレクションの特色

―コレクションを代表する名品と関連作品

―巡回によるコレクションの「活用」

―常設展を中心とする欧米の美術館

―常設されている作品の一部と多くの収蔵庫作品

 ・ジャポニスム

―日本美術の収集と日本的な造形感覚の欧米美術への摂取

―ビゲロー、フェノロサ、天心の活躍

―アジア美術研究・紹介の拠点としてのボストン美術館

―ロンドン、パリ、ウィーン、ボストンそれぞれのジャポニスム