チューリヒ美術館展―印象派からシュルレアリスムまで


チューリヒ美術館展の概要 会場写真

企画展/巡回展/コレクション展
会期・会場:
 2014年9月25日〜12月15日 国立新美術館
 2015年1月31日〜5月10日 神戸市立博物館
後援:外務省、スイス大使館
協賛:三井物産、トヨタ自動車、大日本印刷、チューリッヒ保険、チューリッヒ生命
協力:スイス政府観光局、チューリヒ観光局、スイス インターナショナル エアラインズ、 ルフトハンザ ドイツ航空、ルフトハンザ カーゴAG、アクティオ


主催・後援・協賛・助成・協力

主催は、展覧会全体に責任を持つ。美術館単独の場合もあれば、行政組織や企業などが名を連ねる場合もある。また、共催という位置づけで、中心的に責任を担う組織とは別立てで、同等の実施責任を担う場合もある。

後援は、展覧会の実施にあたり便宜をはかる。政府機関や地方自治体、教育委員会など。さまざまな認可手続きの際に、他の競合事業との調整を行う。

協賛は、物理的な支援や業務上の協力を行う企業等。

助成は、経済的支援を行う財団や基金。

協力は、そのほかさまざまな形での支援を行う機関や団体。個人も含む。


チューリヒ美術館展の章構成

1. セガンティーニ
2. モネ
3. ポスト印象派
4. ホドラー
5. ナビ派
6. ムンク
7. 表現主義
8. ココシュカ
9. フォーヴィスムとキュビスム
10. クレー
11. 抽象絵画
12. シャガール
13. シュルレアリスム
14. ジャコメッティ


出品作品紹介

1. ジョヴァンニ・セガンティーニ《虚栄(ヴァニタス)》、1897年、油彩・カンヴァス、77×124 cm、チューリヒ美術館

2. クロード・モネ《陽のあたる積み藁》、1891年、油彩・カンヴァス、60×100 cm、チューリヒ美術館

3. フィンセント・ファン・ゴッホ《サント=マリーの白い小屋》、1888年、油彩・カンヴァス、33.5×41.5 cm、チューリヒ美術館

4. ポール・ゴーギャン《花と偶像のある静物画》、1892年、油彩・カンヴァス、40.5×32 cm、チューリヒ美術館

5. フェルディナント・ホドラー《ケ・デュ・モンブランから見たサレーヴ山》、1914-15年、油彩・カンヴァス、66×81 cm、チューリヒ美術館

6. フェルディナント・ホドラー《遠方からの歌》、1917年頃、油彩・カンヴァス、40.5×32 cm、チューリヒ美術館

・ホドラー《遠方からの歌》/《遠方からの歌V》

・ホドラー《ケ・デュ・モンブランから見たサレーヴ山》/《白鳥のいるレマン湖とモンブラン》

7. フェリックス・ヴァロットン《トランプで一人遊びをする裸婦》、1912年、油彩・カンヴァス、90×117 cm、チューリヒ美術館

8. エドヴァルド・ムンク《冬の夜》、1900年、油彩・カンヴァス、81×121 cm、チューリヒ美術館

9. エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー《小川の流れる情景》、1925-26年、油彩・カンヴァス、120×100 cm、チューリヒ美術館

10. エルンスト・バルラハ《難民》、1920年、木、54×57×20.5 cm、チューリヒ美術館

11. オスカー・ココシュカ《モンタナの風景》、1947年、油彩・カンヴァス、90×120 cm、チューリヒ美術館

12. パウル・クレー《深淵の道化師》、1927年、油彩・厚紙、37×41.5 cm、チューリヒ美術館

13. マルク・シャガール《ヴィテプスクの上で》、1922年、油彩・カンヴァス、73×91 cm、チューリヒ美術館

14. ジョルジョ・デ・キリコ《塔》、1913年、油彩・カンヴァス、115.5×45 cm、チューリヒ美術館

15. マックス・エルンスト《都市の全景》、1935-36年、油彩・カンヴァス、60×81 cm、チューリヒ美術館

16. ジョアン・ミロ《体操する少女》、1932年、油彩・板、41×33 cm、チューリヒ美術館

17. サルバドール・ダリ《バラの頭の女》、1935年、油彩・板、35×27 cm、チューリヒ美術館

18. ルネ・マグリット《9月16日》、1956年、油彩・カンヴァス、60×50.5 cm、チューリヒ美術館

19. アルベルト・ジャコメッティ《広場を横切る男》、1949年、ブロンズ、68×80×52 cm、チューリヒ美術館

20. アルベルト・ジャコメッティ《森》、1950年、ブロンズ、57×61×49.5 cm、チューリヒ美術館


関連年表

1874年 パリのナダール写真館で「画家、彫刻家、版画家など、芸術家の共同出資会社」による展覧会(第1回印象派展)開催
1879年 第4回印象派展が開催され、ゴーギャンが参加/クレー生まれる
1880年 キルヒナー生まれる
1882年 ヴァロットン、パリに移る
1886年 ゴッホ、パリに出る
1887年 シャガール生まれる 
1888年 ゴッホとゴーギャン、アルルで共同生活を始めるも2か月で破綻/デ・キリコ生まれる
1889年 パリ万国博覧会のイタリア館でセガンティーニが金賞受賞
1890年 ゴッホ没
1891年 エルンスト生まれる
1892年 第1回薔薇十字会展にホドラー、ヴァロットンら参加
1893年 ミロ生まれる
1897年 ホドラー、講演「芸術家の使命」でパラレリズムについて論じる
1898年 クレー、ミュンヘンに出る
1899年 セガンティーニ没
1905年 キルヒナーらがドレスデンでブリュッケを結成
1907年 バルラハ、ベルリン分離派の一員となる
1908年 ココシュカ、ウィーンの第1回クンストシャウ展に出品
1910年 『シュトゥルム』誌創刊、ココシュカが参加
1918年 ホドラー没
1920年 ミロ、パリに出る
1922年 エルンスト、パリに出る
1925年 ヴァロットン没
1926年 モネ没
1927年 マグリット、パリに出る
1929年 ダリ、ブニュエルとの共作「アンダルシアの犬」公開

出典: 長谷川珠緒編「関連年表」、『チューリヒ美術館展』図録(朝日新聞社、2014年): 180-190.


まとめ

 ・展覧会の開催組織

―美術館とメディア、行政との協力関係を読み解く

―助成団体、協賛企業に展覧会組織の特性が見えてくる

―展覧会の社会的意義の裏書き

―学芸員の構想力と組織構成力

 ・マスターピース

―美術家や時代、美術館の代表作

―複製図版の流布、教科書、概説書への掲載の多さ

―実際に見た中での「代表作」

―マスターピースの更新(書き換え)