第五講 ヴェネツィア・ビエンナーレ第56回国際美術展 受賞作品紹介
1.受賞作品
金獅子賞
・国別参加部門:アルメニア館(サン・ラザッロ島で展示)
・国際企画展部門:エイドリアン・パイパー(1948- USA、ジャルディーニ中央館とアルセナーレの両方で展示)
銀獅子賞
・イム・ヒュンスン(1969- 韓国、アルセナーレで展示)
特別表彰
・国別参加部門:アメリカ館:ジョーン・ジョナス「彼らは無言で私たちのもとにやって来た」
・国際企画展部門:ハルン・ファロキ(Harun Farocki)/アブナダラ(Abounaddara collective)/マッシニッサ・セルマニ(Massinissa Selmani)
◆アルメニア館「アルメニティ」
・企画展示「アルメニティ」:アルメニア人ディアスポラをテーマとした16名の作家のグループ展
1.アンナ・ボヒジャン《アニ》(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6) ※アニはアルメニア中世の都市名
2. ロザナ・パラジアン《なぜ雑草を抜く?》(1)、(2)、(3)、(4) 2006-15年
・統制されなけれればならない敵と見なされる
・彼らは絶滅させられなければならない。なぜなら彼らは侵入者であるから
・彼らは彼ら自身が望まなかった場所に生まれ落ちた
・そこにより一層豊かな美につながる何かが育ったかもしれないのに3. サルキス《屋根上の金の踊り子》(1)、(2) 2012年
4. サルキス《煉瓦の十字架》 2012年
・教会内部
5. イェルヴァント・ジャニキアン&アンジェラ・リッチ・ルッキ《アルメニア絵巻》(1)、(2)、(3) 2012年
6. ハイグ・アイヴァジアン《私は病んでいる、だが生きている》 2014年
7. ニナ・カチャドゥーリアン《訛りの除去》(1)、(2) 2005年
◆エイドリアン・パイパー
9. エイドリアン・パイパー(USA)《ポータブル信念登録所―ゲームのルール1-3》(1)、(2)、(3)、(4) 2013年
10. エイドリアン・パイパー《すべて 2.2,2.3,2.4,2.5, 2.6, 2.7, 2.8, 2,9, 2,10; 2.11a, 2.12a, 2.12b, 2.13, 2.14, 2.15》(1)、(2)、(3) 2003年
11. エイドリアン・パイパー《すべて 2.8》 2003年
12. エイドリアン・パイパー《すべて 2.14》 2003年
13. エイドリアン・パイパー《すべて 21》 2010-13年
◆銀獅子賞と特別表彰
14. イム・ヒュンスン(韓国)《慰労工団(工業団地)》(1)、(2) 2014-15年
15. アメリカ館/ジョーン・ジョナス(1)、(2)、(3)、(4)、(5)
16. アンティエ・エーマン&ハルン・ファロキ《一回撮りの労働》 2011-14年
2.授賞制度の歴史
◆金獅子賞について
・ヴェネツィア国際映画祭の最高賞(1949年〜)。 <スライド>
1951年 黒澤明「羅生門」
1958年 稲垣浩「無法松の一生」
1997年 北野武「HANABI」・1986年より、ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展でも授与。2009年の第53回展では国別参加部門、国際企画展部門、生涯業績部門の3部門、および若手美術家へ銀獅子賞を設定。2003年の第51回展では35歳未満の美術家やイタリア若手女性美術家への金獅子賞も設定された。イタリア語で「Leone d'Oro」
cf. ヴェネツィアの守護聖人聖マルコの象徴=「獅子」
◆第56回国際美術展 審査委員
・ナオミ・ベックウィズ(Naomi Beckwithアメリカ)
・サビネ・ブレイトヴィーゼア(Sabine Breitwieserオーストリア)
・マリオ・コドニャート(Mario Codognatoイタリア)
・ランジット・ホースコテー(Ranjit Hoskoteインド)
・李龍雨(Yongwoo Leeイ・ヨンウ、韓国)
3.まとめ
・受賞作品
―表現の芸術性と主題の社会性、現代性
―展覧会テーマの先駆性、展示手法の斬新さ
―若手作家の奨励
・授賞制度
―審査委員会の国際性
―現代美術の表現の多様性と審査制度の齟齬
―鑑賞者にとっての一つの指標