レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」
1. レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展の概要
企画展/巡回展 会場写真
会期:2015年8月22日〜11月23日
会場:京都文化博物館
主催:京都府、京都文化博物館、京都新聞
共催:京都市
特別後援:イタリア共和国大統領
後援:外務省、文化庁、イタリア文化財・文化活動・観光省、イタリア大使館、イタリア文化会館、フィレンツェ市
特別協賛:セコム、日本製紙
協賛:大林組、関電工、大日本印刷、みずほ信託銀行
協力:NHKエデュケーショナル、アリタリア-イタリア航空、日本航空、アルテリア、ヤマトロジスティクス
企画:東京富士美術館
巡回先
・東京富士美術館 5/26〜8/9
・宮城県美術館 2016年3/19〜5/29
◆展覧会図録
・展覧会図録は、企画展の開催に合わせて刊行される。出品作品の図版をカラー等で掲載したカタログ部分のほか、企画趣旨について述べた論文、出品作品リスト、作家略歴や年譜、作品解説、参考文献リスト、謝辞などから成る。
・企画趣旨について述べた論文は、開催館の展覧会担当学芸員が執筆するほか、大学の研究者や他館の学芸員、エッセイストなど外部の専門家に依頼して、複数の論文が掲載されることもある。巡回展の場合、巡回各館の学芸員がそれぞれ章立てやテーマ毎に論文を寄稿する。
・出品作品リストは、制作年、サイズ、素材と技法、所蔵先など、個々の作品の基本情報一覧である。回顧展の場合、出品歴や図版の掲載歴も記載され、作品研究の基礎情報となる。
・通常、展覧会会期の初日から開催美術館のミュージアムショップで販売され、会期中に売り切ることを目指す。発行部数は1,000部程度から10,000部以上まで、展覧会の集客数見込みに応じてさまざまある。観客総数の7%程度が購入すると見込まれている(約15人に1人が購入)。
・会期中に完売しない場合、巡回展であれば、次の会場で売られ、単館開催であれば、開催館で会期終了後も販売される。完売した時点で「品切れ」となり、増刷や復刊はされない(海外の美術館の企画展に復刊の事例有り)。 現代美術展の場合、会期途中や終了後に刊行される場合もある。
・公立美術館で開催される展覧会の図録の場合、利益は見込まれていない(制作費÷部数=価格)ことが多い。
◆図録の構成
ごあいさつ/メッセージ/謝辞
目次
日本における《タヴォラ・ドーリア》|アントニア・パスクワ・レッキア/マリカ・メルカッリ
《タヴォラ・ドーリア》をめぐる覚え書き|五木田聡
「模写画」の品格|アントニオ・ナターリ
レオナルド・ダ・ヴィンチの「最も野獣的な狂気」―《アンギアーリの戦い》の制作過程|マーティン・ケンプ
レオナルド・ダ・ヴィンチ―甲冑装飾に見る「ファンタジア」|フランチェスカ・ボルゴ
ルネサンスの傭兵隊長|越川倫明
カタログ
1章 歴史的背景〜アンギアーリとフィレンツェ共和国
テーマ1-1 1440年6月29日、アンギアーリの戦い
テーマ1-2 シニョーリア宮殿の大評議会広間2章 失われた傑作〜レオナルドの《アンギアーリの戦い》への手がかり
テーマ2-1 《アンギアーリの戦い》をめぐる文書史料
テーマ2-2 壁画《アンギアーリの戦い》
テーマ2-3 レオナルドの馬歴史と伝説の間の《タヴォラ・ドーリア》―ピエトレ・ドゥーレ修復研究所の役割|マルコ・チャッティ
《タヴォラ・ドーリア》の立体復元研究
彫刻としての再現についての考察|北郷悟
《タヴォラ・ドーリア》の彫刻化|木本諒
インテルメッツォ 優美なるレオナルド
3章 競演の舞台〜アンギアーリとカッシナ、ミケランジェロとの対決
テーマ3-1 ミケランジェロと《カッシナの戦い》
テーマ3-2 《アンギアーリの戦い》とラファエッロ
テーマ3-3 大広間の再装飾
テーマ3-4 ティツィアーノの失われた大戦闘図4章 視覚革命〜《アンギアーリの戦い》によるバロック時代への遺産
テーマ4-1 《アンギアーリの戦い》とルーベンス
テーマ4-2 太陽王ルイ14世時代のフランス
テーマ4-3 イタリア・バロックの戦闘図関連年表
関連地図
参考文献一覧
出品作品リスト
Italian and English Texts
2. 出品作品紹介
1章 歴史的背景〜アンギアーリとフィレンツェ共和国
1. フィレンツェの画家《アンギアーリの戦い》、1460年代前半、テンペラ・板、62.4×207.5cm、ダブリン、アイルランド国立美術館 部分図(1)、(2)、(3)
2. フランチェスコ・ディ・ロレンツォ・ロッセリに帰属《シニョーリア広場におけるサヴォナローラの処刑》、16世紀末頃、テンペラ・板、101×117cm、フィレンツェ、サン・マルコ美術館
3. サンティ・ディ・ティート《ニッコロ・マキアヴェッリの肖像》、1570年頃、油彩・板、104×85cm、フィレンツェ、パラッツォ・ヴェッキオ博物館(フィレンツェ美術館群から寄託)
4. ミケランジェロ・ブオナローティの原作に基づく《ダヴィデの頭部(石膏模造)》、模造:1987年(原作:1501-04年/型抜き:1863年)、石膏、高さ118 cm、東京富士美術館
2章 失われた傑作〜レオナルドの《アンギアーリの戦い》への手がかり
5. 作者不詳(レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく)《タヴォラ・ドーリア》(《アンギアーリの戦い》の軍旗争奪場面)、16世紀前半、油彩、テンペラ・板、85.5×115.5 cm、フィレンツェ、ウフィツィ美術館(2012年、東京富士美術館より寄贈)
6. 作者不詳(レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく)《アンギアーリの戦い》の模写、16世紀(1563年以前)、油彩・板、86×144cm、フィレンツェ、パラッツォ・ヴェッキオ博物館(フィレンツェ美術館群から寄託)
7. 作者不詳(レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく)《アンギアーリの戦い》の模写、16世紀、油彩・カンヴァス、154×212 cm、フィレンツェ、ホーン美術館
8. 監修:北郷悟(東京藝術大学 彫刻科教授)《タヴォラ・ドーリア》の立体復元模型、2015年、硬質樹脂、真鍮、その他、高さ37×幅60×奥行40 cm、東京富士美術館
9. レオナルド・ダ・ヴィンチ《騎士と龍、馬、犬の習作》、1479-80年頃、ペンと褐色インク、灰色の淡彩、赤チョーク・紙、19.4×12.3 cm、パリ、ルーヴル美術館版画素描部、エドモン・ド・ロチルド・コレクション
9. レオナルド・ダ・ヴィンチ《疾走する騎兵、馬の頭部、後方から見た馬の習作》(裏)
10. レオナルド・ダ・ヴィンチ《人物像の習作》、1506-08年頃、ペンと褐色インク、黒チョークあるいは鉛尖筆によるあたりづけ・紙、25.4×19.7cm、トリノ王立図書館
INTERMISSION 優美なるレオナルド
11. 作者不詳(レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく)《レダと白鳥》、1500-10年頃、油彩・板、130×78cm、フィレンツェ、ウフィツィ美術館
12. 作者不詳(レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく)《聖アンナと聖母子》、16世紀、油彩・板、99×72cm、フィレンツェ、ウフィツィ美術館
3章 競演の舞台〜アンギアーリとカッシナ、ミケランジェロとの対決
13. アリストーティレ・ダ・サンガッロ(本名バスティアーノ・ダ・サンガッロ)《カッシナの戦い》(ミケランジェロの下絵による模写)、1542年、油彩・板、78.7×129cm、ホウカム・ホール、レスター伯爵コレクション
4章 視覚革命〜《アンギアーリの戦い》によるバロック時代への遺産
14. ピーテル・パウル・ルーベンスに帰属(レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく)《アンギアーリの戦い》、17世紀初頭、油彩・カンヴァス、82.5×117cm、ウィーン美術アカデミー絵画館
15. ニコラ・アンリ=タルデュ(ピーテル・パウル・ルーベンスに基づく)《コンスタンティヌス帝とマクセンティウスの戦い》、1742-46年、エッチングとエングレーヴィング、36.2×49.7cm、パリ、ルーヴル美術館素描版画部
16. アントニオ・テンペスタ《キリスト教騎士とトルコの騎士の戦い》、17世紀初頭、油彩・カンヴァス、118×173cm、フィレンツェ、パラティーナ美術館
17. ルカ・ジョルダーノ《アマゾン族の戦い》、1687-89年、油彩・カンヴァス、118×170cm、ナポリ、カポディモンテ国立美術館
3. まとめ
・展覧会図録
―美術館の企画力の表現と記録
―研究資料としての学術的な有用性
―過去に開催された展覧会の図録の積み上げの上に新しい展覧会が企画される
―映画監督や俳優に注目して映画を見るように、企画者や参加作家に着目して美術展を見る
・海外との文化交流
―美術展=視覚(≠言語・文字)を通した文化理解
―共同研究を介した信頼関係の構築
―贈与と返礼
―ソフト・パワー(アメリカ合衆国の国際政治学者ジョセフ・ナイが2004年の同名の著作で提唱した外交戦略)