<第一講> あいちトリエンナーレ2013


1.あいちトリエンナーレ2013 概要 スライド

会期:2013年8月10日〜10月27日(79日間)
会場:愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、長者町会場、納屋橋会場、中央広小路ビル、東岡崎駅会場、康生会場、松本町会場、ほか 会場地図
主催:あいちトリエンナーレ実行委員会
テーマ:揺れる大地―われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活(Awakening – Where Are We Standing? – Earth, Memory and Resurrection)
芸術監督:五十嵐太郎(東北大学教授、都市・建築学)
参加アーティスト:34カ国・地域122組
作品数:182作品
来場者数:626,842人
事業費:1,257,803千円(※2013年度分は予算額にて積算)

『あいちトリエンナーレ2013 開催報告書』<http://aichitriennale.jp/news/item/260326report.pdf>(2016/4/19)より


2.岡崎会場 会場地図

 松本町会場、康生会場の岡崎シビコを紹介し、街なか展開の様子を確認

松應寺入口

旧あざみ美容室

1. 青木野枝(1958- )《ふりそそぐもの/旧あざみ美容室》

旧今代

2. 丹羽良徳(1982- )《日本共産党でカール・マルクスの誕生日会をする》

3. オノ・ヨーコ《生きる喜び》

旧入舟

4. 山下拓也(1985- )《床?S?M〆の入舟》(1)(2)

岡崎シビコ(1)(2)

5. 向井山朋子+ジャン・カルマン『FALLING』(1)(2)(3)

6. バシーア・マクール(ガラリヤ, 1963- )《エンター・ゴースト、エグジット・ゴースト》(1)(2)(3)(4)

7. 志賀理江子(1980- )《螺旋海岸》(1)(2)(3)

8. studio velocity/栗原健太郎+岩月美穂《Roof》(1)(2)


3.名古屋会場 会場地図

 県名古屋市美術館、納屋橋会場、長者町会場、愛知芸術文化センター、名古屋テレビ塔の展示を紹介し、企画テーマとの対応について確認する

名古屋市美術館

9. アルフレッド・ジャー(チリ, 1956-)《生ましめんかな(栗原貞子と石巻市の子供たちに捧ぐ)》(1)(2)

若宮大通公園 多目的広場

10. ブラスト・セオリー(イギリス, 1991設立)《私が残りの人生でやろうとしていること》

東陽倉庫テナントビル

11. 下道基行(1978- )《14歳と世界と境》

12. 片山真理(1987- )《Eyes》(1)(2)(3)(4)

13. 荒井理行(1984- )《軋むとき》

14. 青木野衣《ふりそそぐもの/納屋橋》(1)(2)

15. 名和晃平(1975- )《フォーム》(1)(2)(3)

16. 打開連合設計事務所(台湾, 2001設立)《長者町ブループリント》(1)(2)(3)(4)

愛知芸術文化センター/愛知県美術館

17. ヤノベケンジ(1965- )《ウルトラ・サン・チャイルド》

18. ヤノベケンジ「太陽の結婚式」(1)(2)

19. ヤノベケンジ《アトムスーツ・プロジェクト:保育園4、チェルノブイリ》 1997年

20. 彦坂尚嘉(1946- )《木の城郭》(1)(2)

21. 彦坂尚嘉《復活の塔》

22. 宮本佳明(1961- )《福島第一さかえ原発》(1)(2)(3)(4)(5)

23. ミカ・ターニラ(フィンランド, 1972- )《フィンランドで最も電化した町》

24. ニナ・フィッシャー&マアロン・エル・サニ(ドイツ, 1965/66- )《3.11後の生きものの記録》

25. ソ・ミンジョン(韓国, 1972- )《ある時点の総体V》(1)(2)

26. オノ・ヨーコ《生きる喜び》


揺れる大地

・被災者=当事者:観念的なテーマではなく、個人的な体験に基づいて言葉を選んだ
・ある日を境に、当たり前と思っていた日常が、2度と帰らないものになる(日本人のほとんどがいつか震災と遭遇する可能性がある)
・失われた校舎→漂流教室→仮設→新校舎の建築:復興へのプロセス
・自分たちが住んでいる場所の歴史を調べる人が増えた=大地が不安定になるとき、どこに立っているのかがあらためて問われる
・…4年に一度繰り返されるオリンピックとは違い、数十年や百年、あるいは巨大津波が起きる千年に一度といった時間のスケールは、人間にとって残酷だ。いずれ風化し、忘れてしまう。だからこそ、客観的な数字による「記録」ではなく、感情に訴えるような「記憶」も必要ではないか。そのときこそ、人類が生み出した最強の記憶装置であるアートは力を発揮するだろう。
・当たり前だと思っていたようなことが危機的になり、アイデンティティが揺らぐような状況は、それぞれの国や地域においても起きている。

五十嵐太郎「大地が揺れるとき」、『あいちトリエンナーレ2013』(あいちトリエンナーレ実行委員会、2013)、12-13頁。


栗原貞子『生ましめんかな』(『中国文化』1946年3月)

こわれたビルディングの地下室の夜だった。
原子爆弾の負傷者たちは
ローソク1本ない暗い地下室を
うずめて、いっぱいだった。
生ぐさい血の匂い、死臭。
汗くさい人いきれ、うめきごえ
その中から不思議な声が聞こえて来た。
「赤ん坊が生まれる」と言うのだ。
この地獄の底のような地下室で
今、若い女が産気づいているのだ。

マッチ1本ないくらがりで
どうしたらいいのだろう
人々は自分の痛みを忘れて気づかった。
と、「私が産婆です。私が生ませましょう」
と言ったのは
さっきまでうめいていた重傷者だ。
かくてくらがりの地獄の底で
新しい生命は生まれた。
かくてあかつきを待たず産婆は血まみれのまま死んだ。
生ましめんかな
生ましめんかな
己が命捨つとも

Source: http://home.hiroshima-u.ac.jp/bngkkn/database/KURIHARA/umashimenkana.html(2016/4/19)


4.まとめ

 ・国際美術展の特徴

―街なか展開=「敷居の高い」美術館の外で触れる現代美術
―空き店舗、空きビル等の活用=街の活性化、賑わい創出
―テーマ性=美術を通して社会を見つめ直す機会
―国際性=多様な価値観とさまざまな表現方法

 ・思いを巡らす可能性

―想像力の鍛錬
―震災と原発事故=避難生活の長期化、帰還困難区域
―社会の関心、私の関心と行動
―「最強の記憶装置」(五十嵐)としてのアート