<第四講>ヨコハマトリエンナーレ


1.「日本の看板トリエンナーレ」

来場者アンケート/横浜トリエンナーレ全般に対する期待配布資 料@

・ヨコハマトリエンナーレ2014では、アジ美との連携をはじめ、地方国際展との連携はとても良いと思いました。横浜では日本の代表的な看板トリエンナーレとして世界に注目されているし、続けてほしいと思います。 〈スライド

・なぜ、横浜でトリエンナーレをやらなければならないのかをはっきりと提示した方が良い。一般社会の大企業と中小企業の構図と同じ。大企業の東京の役割をそのまま横浜が背負わされている印象。 〈スライド


ヨコハマトリエンナーレの始まり:「日本における国際美術展について」配布資料A

1.はじめに
 →相互理解、顔の見えない国、文化面での国際貢献

2.21世紀のキーワードは文化
 →文化的プレゼンスの構築、国際戦略

3.美術オリンピックとしての国際展
 →経済力に見合うだけの文化的責任

4.市民との相互交流の場
 →国民の国際化への意識向上

5.日本における国際美術展
 →横浜市が候補地として有力


ヨコハマトリエンナーレの推移 〈スライド

・2001年開始
・第1〜3回は「横浜」トリエンナーレ
・第4回以降は、「ヨコハマ」トリエンナーレ

※横浜トリエンナーレの主催者から国際交流基金が抜ける(民主党政権の事業仕分けの影響)


横浜トリエンナーレ2001(第1回) メガ・ウェイブ―新たな総合に向けて 〈スライド

2001年9月2日−11月11日(67日間開場)
ディレクター:河本信治、建畠 晢、中村信夫、南條史生
主会場:パシフィコ横浜展示ホール、横浜赤レンガ倉庫1号館
参加作家数:109作家
作品数:113件
総事業費:約7億円
総入場者数(有料会場入場者数):約35万人(約35万人)
チケット販売枚数:約17万枚
ボランティア登録者数:719人

1. 椿昇+室井尚《インセクト・ワールド、飛蝗》 2001年


横浜トリエンナーレ2005(第2回) アートサーカス [日常からの跳躍] 〈スライド

2005年9月28日−12月18日(82日間開場)
総合ディレクター:川俣正
キュレーター:天野太郎、芹沢高志、山野真悟
主会場:山下ふ頭3・4号上屋
参加作家数:86作家
作品数:84件
総事業費:約9億円
総入場者数(有料会場入場者数):約19万人(約16万人)
チケット販売枚数:約12万枚
ボランティア登録者数:1,222人

2. ルック・デルー(ベルギー)《スパイバンク》 1999/2005年
3. ビュラン・サーカス・エトカン(フランス)公演風景
4. KOSUGE1+16+アトリエ・ワン+ヨココム《アスレチッククラブ4号プロジェクト》 2005年


横浜トリエンナーレ2008(第3回) TIME CREVASSE ―タイムクレヴァス― 〈スライド

2008年9月13日−11月30日(79日間開場)
総合ディレクター:水沢勉
キュレーター:ダニエル・バーンバウム、フー・ファン、三宅暁子、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト、ベアトリクス・ルフ
主会場:新港ピア(新港ふ頭展示施設)、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)、横浜赤レンガ倉庫1号館、三渓園、他無料3会場
参加作家数:72作家
作品数:66件
総事業費:約9億円
総入場者数(有料会場入場者数):約55万人(約31万人)
チケット販売枚数:約9万枚
ボランティア登録者数:1,510人

5. マイケル・エルムグリーン&インガー・ドラッグセット《落っこちたら受けとめて》
6. 中谷芙二子《雨月物語―懸崖の滝 Fogfalls #47670》
7. ヘルマン・ニッチュ(オーストリア, 1938- )《アクション1962-2003》 1962-2003年


ヨコハマトリエンナーレ2011(第4回) OUR MAGIC HOUR―世界はどこまで知ることができるか?― 〈スライド

2011年8月6日−11月6日(83日間開場)
総合ディレクター:逢坂恵理子
アーティスティック・ディレクター:三木あき子
主会場:横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)
参加作家数:77組(79作家)/1コレクション
作品数:337件
総事業費:約9億円
総入場者数(有料会場入場者数):約33万人(約30万人)
チケット販売枚数:約17万枚
サポーター登録者数:940人

横浜美術館
8. ウーゴ・ロンディーネ(スイス)《月の出、東、11月》 2006年
9. 砂澤ビッキ《午前3時の玩具》 1987年
10. 岩崎貴宏《アウト・オブ・ディスオーダー(コスモワールド)


ヨコハマトリエンナーレ2014(第5回) 華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある 〈スライド

2014年8月1日−11月3日(89日間開場)
アーティスティック・ディレクター:森村泰昌
主会場:横浜美術館、新港ピア(新港ふ頭展示施設)
参加作家数:65組(79作家)
作品数:444件
総事業費:約10億円
総入場者数(有料会場入場者数):約21万人(約21万人)
チケット販売枚数:約10万枚
サポーター登録者数:1631人


森村泰昌(1951 - )  〈スライド

1988 第43回ヴェネツィア・ビエンナーレ、アペルト展
1996 「美に至る病―女優になった私」展(横浜美術館)
1998 「空装美術館―絵画になった私」展(東京都現代美術館ほか)
2001 「私の中のフリーダ/森村泰昌のセルフポートレイト」展(原美術館)
2007 「美の教室、静聴せよ」展(熊本市現代美術館ほか)
2013 「森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」(資生堂ギャラリー)


森村泰昌 「忘却めぐり」の旅に出る

これから私たちは、序章と11の挿話からなる
「忘却めぐり」へと旅立とうとしている。
語らないもの、語ってはならないもの、語りえぬもの。
見えないもの、見てはならないもの、見たくないもの。
とるにたらないものや、役に立たないもの。
失敗や、敗北。
それら、記憶世界に残るすべもなく、どこかへと消えていった
膨大な数の忘れものに思いを馳せる旅である。
「芸術」とは、忘却世界に向けられたまなざしの力のことをいう。
私たちが知らないふりをしていたり、
うかつにも見落としていたり、まったく眼中になかったり、
そういう忘れものに敏感に反応する超能力のことをいう。

出典:『ヨコハマトリエンナーレ2014「華氏451の芸術―世界の中心には忘却の海がある」公式ガイドブック』 (横浜トリエンナーレ組織委員会, 2014): 10.


ヨコハマトリエンナーレ2014の章立て

序章:アンモニュメンタルなモニュメント
序章:世界の中心にはなにがある? 
第1話:沈黙とささやきに耳をかたむける
第2話:漂流する教室にであう
第3話:華氏451はいかに芸術にあらわれたか
第4話:たった独りで世界と格闘する重労働
第5話:非人称の漂流〜Still Moving
第6話:おそるべき子供たちの独り芝居
第7話:光にむかって消滅する
第8話:漂流を招き入れる旅、漂流を映しこむ海
第9話:「華氏451」を奏でる
第10話:洪水のあと
第11話:忘却の海に漂う


出品作品紹介

 序章 アンモニュメンタルなモニュメント

1. ヴィム・デルボア(ベルギー, 1965- )《低床トレーラー》 2007年

 序章 世界の中心にはなにがある?

2. マイケル・ランディ(イギリス, 1963- )《アート・ビン》(1)(2)(3) 2010年

 第1話 沈黙とささやきに耳をかたむける

3. 木村浩(1952- )《営業(4枚組)》 1983年
4. フェリックス・ゴンザレス=トレス(キューバ, 1957-1996)《無題(NRA-全米ライフル協会)/(青い鏡)

 第2話 漂流する教室にであう

5. 釜ヶ崎芸術大学(1)(2)(3)(4)

 第3話 華氏451はいかに芸術にあらわれたか

6. ドラ・ガルシア(スペイン, 1965- )《華氏451度(1957年版)》(1)(2) 2002年
7. アンナ・アフマートフほか《Moe Nai Ko To Ba》(1)(2)(3)(4)

 第4話 たった独りで世界と格闘する重労働

8. 福岡道雄(1936- )《飛ばねばよかった》 1965-66年
9. 福岡道雄《何もしたくない草花》(1)(2) 1999年

 第11話 忘却の海に漂う

新港ピア
10. 土田ヒロミ(1939- )《ヒロシマ 1945-1979/2005》(1)(2)
11. 土田ヒロミ《ヒロシマ・モニュメント》
12. ヤン・ヴォー(ベトナム, 1975- )《我ら人民は》 2011-13年


国際美術展の理想像:「座談会|国際展のしくみ」配布資料B

国際展のかたち
 →日本でこれからやる意義があるのかどうか/一回こっきりにしないで、やり続けていくこと

国際関係と美術
 →自治体でもふるさと創生でいろいろなことをやっているわけだから、“ビエンナーレ”というカードを投げたら、それを拾う自治体があるいはあるかもしれないとぼくは思う/いまの日本の経済的なパワーからすれば、不可能ではない

美術のローカリズム
 →ある地域を活性化させるために、テーマ性を設けたようなイヴェントを仕組んでいくということがあってもいい

現代美術の国際性とは
 →あまり美術に関係のない人も飛び込めるような、ワクワクするような一面というか遊びの部分が、やっぱりこういう企画の中に欲しいような気がする


国と横浜市の関係配布資料@ 〈スライド

池田 横浜は、誤解を恐れずに言うと150年前、今の沖縄みたいな形で日本国家が推進して作ったところです。…(中略)…その流れに確実にこの横浜トリエンナーレは乗っているのです。
 問われるのは、「国際展としてのリーダーシップ」、「街づくりのイニシアチブ、あるいはメタフォリカルな存在という、二つのテーマを抱えることになります。だから僕らはこの二つは確実に避けられないミッションであろうというふうに考えているのです。

美術館化するヨコハマトリエンナーレ配布資料@ 〈スライド

山野 一つ感じるのは、いわゆる「出来合いのもの」と言いますか、「既にもう作られたものを持ってきて、展覧会をやる」というパターンにどんどん近づいてきているかなというのがあり、新しいものを見る機会とはなっていません。横浜としての特性というものが何も出ないまま、いろいろな所の国際展で面白かったものを「ではその作品を借りてこよう」みたいなもので、それのつまみ食いになってしまっているかも知れないと。ある意味非常に、「それはどこでやってもいいんじゃない」というものにどんどん近づいていっていると言うか、それが少し気になるとは思っています。

最先端のものを地域に役立てる配布資料@ 〈スライド

ゴンザレス=ロレンテ どの国際展も目指すところは同じで、最先端のものをそれぞれの地域の美術におけるさまざまな現象に役立てることなのです


世界のビエンナーレ・トップ20 〈スライド

1位 ヴェネツィア・ビエンナーレ
2位 ドクメンタ
3位 ホイットニー・バイエニアル
4位 マニフェスタ―ヨーロッパ現代美術ビエンナーレ
5位 光州ビエンナーレ
6位 カーネギー・インターナショナル
7位 サンパウロ・ビエンナーレ
8位 シャルジャ・ビエンナーレ
9位 イスタンブール・ビエンナーレ
10位 リヨン・ビエンナーレ
11位 ハバナ・ビエンナーレ
12位 ベルリン・ビエンナーレ
13位 シドニー・ビエンナーレ
14位 ダッカールト―アフリカ現代美術ビエンナーレ
15位 リヴァプール・ビエンナーレ
16位 上海ビエンナーレ
17位 ヨコハマトリエンナーレ
18位 マラケシュ・ビエンナーレ
19位 台北ビエンナーレ
20位 プロスペクト―ニューオーリンズ

Source: http://news.artnet.com/art-world/worlds-top-20-biennials-triennials-and-miscellennials-18811(2015/1/26)
 


3.まとめ

 ・「日本の看板トリエンナーレ」

―国家事業を地方自治体で
―東京、横浜、神戸、名古屋、京都、札幌、さいたま、福岡
―世界に200近くある国際美術展の中でのリーダーシップ
―韓国の光州トリエンナーレ(1995年〜)
―世界のビエンナーレ・ランキング

 ・社会的な位置付けの変遷

―国際交流、市民参加、地域の活性化、教育効果
―最先端のものを地域に役立てる
―美術館とビエンナーレの住み分け(役割分担)
―世界のビエンナーレの中での住み分けと地域のニーズ