第70回山口県美術展覧会


1. 現代、近代、同時代

現代…Modern, Contemporary
 モダン・アート/コンテンポラリー・アート=現代美術

近代…Modern
 ルネサンス以降
 19・20世紀
  cf. ニューヨーク近代美術館、東京国立近代美術館
 明治維新〜第二次大戦敗戦

同時代…Contemporary
 ベルリンの壁崩壊後(冷戦終結後)

※本講義では、「現代の美術=同時代を生きている人々の美術」と捉える
 cf. 「現代美術」=“最先端”の美術表現


「出品作品リスト」の活用 〜作品名の横に☆印を書き込む〜

☆ 記憶に残しておきたい
☆☆ 誰かに伝えたい
☆☆☆ 感動した/自分が高められた気がする
☆☆☆☆ 世界観や価値観がひっくり返された


2. 第70回山口県美術展覧会の概要 スライド

公募展/単館開催
会期: 9月23日〜10月10日
会場:山口県立美術館
主催:山口県
出品数:492点(△40点)
入選数:143点(△15点)
審査員:佐藤時啓、島敦彦、外舘和子
※1979年の山口県立美術館の開館を機に改革に着手
 1993年の第47回展以降、ノンジャンル化


3. 大賞作品と特別展示

・大賞 1点
保手濱拓(山口市)《memento(グンバイナズナ)
“ナズナは平たくいえばペンペン草であり、グランバイナズナは葉の形が軍配に似て、それとは少し違うものである。…(中略)…東北の被災地に、長崎や広島の土地に。植物は芽生え姓名は続く。何かそのような生命の根源や時間を想像させてくれるところに大賞に相応しい作品としての懐を感じ、3人の審査員の意見が合致した”(佐藤時啓)

・優秀賞 5点
・佳作 31点(△6点)
・特別展示:前年度県美展の大賞受賞者が、1F奥の展示室で1年間の活動の成果を発表する

1. 保手濱拓(山口市)《memento(グンバイナズナ)》(1), (2), (3) 大賞
2. 特別展示 深田佳心「ボクノマナザシ」(1), (2), (3), (4), (部分)
3. 深田佳心(山口市)《ボクラノユクエ》 第69回大賞


4. 会場風景

1F展示室1
1F展示室2
1F展示室3
1F展示室 全景
2F展示室1
2F踊り場
2F展示室2


5. 優秀賞・佳作・入選作品

4. 河野孝文(光市)《重い夏》 優秀賞
5. (中央)西本富雄(柳井市)《水の恵み(柳井市日積鳩子の滝) 優秀賞
6. (手前)田原崇雄(長門市)《萩鉄釉彩鉢》 優秀賞
7. 藤田正利(萩市)《漁火のシンフォニー》, (部分) 佳作
8. 前野法広(下関市)《一瞬の太陽(下関市矢玉にて)
9. 下瀬信雄(萩市)《夢は今もめぐりて》
10. 山根秀信(山口市)《ふるさと》
11. 井上千秋(下関市)《SHINSHIMO国―帰途―》
12. (右)平田詩織(周防大島町)《Untitled》 佳作
13. 小川基博(防府市)《糸デッサン》, (部分) 優秀賞
14. 止原理美(萩市)《三匹の砦》 佳作
15. 平山悟(宇部市)《○△□》, (部分)
16. ミヨシイチロウ(岩国市)《ドゥローイングによる行為とその現象K・A・R・E・S・A・N・S・U・I 山口県立美術館2Fバージョン》 優秀賞
17. 安藤信(長門市)《プリクラ人形》, (部分) 佳作
18. 岡本国治(周南市)《青春》, (部分) 佳作


6. 過去の出品作品との比較

(9. 下瀬信雄《夢は今もめぐりて》
19. 下瀬信雄《となりの彼女》 第69回優秀賞
20. 下瀬信雄《秋の光》 第68回入選
(8. 前野法広《一瞬の太陽(下関市矢玉にて)》
21. 前野法広《幸福な休日(長門市阿惣ダムにて) 第69回佳作
22. 前野法広《トリプルドッペルゲンガー(別府弁天池) 第68回優秀賞
(12.(右)平田詩織《Untitled》 第70回佳作)
23. 平田詩織《Untitled》 第69回佳作
24. 平田詩織《crazy-bubble 34》 第68回佳作
(10. 山根秀信《ふるさと》
25. 山根秀信《COMPOSITION(食の風景) 第69回佳作
26. 山根秀信《食卓の上の廃墟》 第68回優秀賞


7. 常設展示

27. 第2期コレクション展 〈おんな〉のイメージ(7/10-10/13)
28. 第2期コレクション展 抽象画のたのしみ(7/12-10/13)
29. 第2期コレクション展 ロマンと前衛―20世紀前半の日本画(9/27-10/30)


 ・常設展示

・美術館の収蔵品の展示(年間3-4回の展示替え※を行う)
※版画、日本美術は年12回程度(展示と保存の関係)
・収集方針に沿ってコレクションを形成する

 ・企画展示

・コレクションのテーマ(≒収集方針)に関係の深い内容の展覧会を期間限定で行う
・学芸員の調査研究成果の発表の意味を持つ


8. まとめ

 ・現代、近代、同時代

―現代は、モダンとコンテンポラリーの両方を指す
―近代は、ルネサンス以降(14c〜 )、フランス革命以降(1789〜 )、印象派以降(1873〜 )、明治以降(1868〜 )
―同時代は、第二次大戦以後(1945〜 )、ベルリンの壁崩壊以降(1989〜 )、21世紀(2001〜)

 ・地元の公立美術館

―地域の文化活動の成果を共有する場(公共性/公募展)
―芸術的な遺産を継承する場(継続性/コレクション・調査・研究)
―地域の文化活動を活性化する場(企画展・講演会・ワークショップ)
―文化活動の交流拠点(研究会・シンポジウム)