最後の印象派 1900-20's Paris


1. 「最後の印象派」展 概要 スライド

企画展/巡回展/グループ展
会期:2016年11月7日〜12月11日
会場:山口県立美術館
主催:山口県立美術館、毎日新聞社、tysテレビ山口
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
協力:日本航空
企画協力:株式会社ブレーントラスト
特別協力:エフエム山口
特別協賛:エルクホームズ株式会社

 ・HPやチラシ等に表記されていない協力団体 スライド

株式会社西京銀行、JAグループ山口、萩山口瀋陽金庫、生活協同組合コープやまぐち、中国労働金庫山口県営業本部


企画展

他館や個人コレクター等より作品を借用し、ある一定の期間のみ開催される展覧会。特殊な例として、自館のコレクションの中からテーマ性を持たせて展示した「特集展示」や、「ベスト100」のような「コレクション選」展を、常設展示としては全点出品される機会はないという文脈で、企画展と位置づけることがある
・一般に日本の公立美術館には、常設展示室企画展示室市民ギャラリーの3種類の展示室が設けられている
・他館の常設展示で活用されている作品を借用する場合、展覧会の企画趣旨が借用許可の判断材料となる
美術館の活動方針と連動する企画テーマが立てられる


最後の印象派 1900-20’s Paris 巡回会場と会期

 2015年

・9/5〜11/8 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
・11/14〜2016年1月17日 岐阜県美術館

 2016年

・1/30〜3/27 公益財団法人 ひろしま美術館
・4/21〜5/29 秋田市千秋美術館
・6/4〜7/18 北九州市立美術館分館
・7/22〜9/4 鹿児島市立美術館
・9/17〜10/30 郡山市立美術館
・11/7〜12/11 山口県立美術館


巡回展

・海外等からの借用によって集められた作品の集合(=展覧会)を、2つ以上の離れた地域に存在する美術館で順次紹介する展覧会の形式
・海外所蔵先と日本との間の往復の輸送費や保険料、カタログ印刷費等を「共通経費」として開催館同士で分担することにより、一館あたりの経済的負担を軽減することが可能
・同程度の会場規模を持つこと、他の展覧会の会期とのスケジュール調整が必要
・会場によって出品作品に変更がある
大手新聞社が参加し、海外との連絡調整を行うことがある


「最後の印象派」展 企画協力:(株)ブレーントラスト

 2016年度

・ランス美術館展
・もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20's Paris展
・イングリッシュ・ガーデン:英国に集う花々

 2015年度

・もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20's Paris展
・ノルマンディー展 近代風景画のはじまり
・イングリッシュ・ガーデン:英国に集う花々  下関市美 2/7〜3/29

 2014年度

・ノルマンディー展 近代風景画のはじまり
・イングリッシュ・ガーデン:英国に集う花々
・近代自然主義絵画の成立 - オランダ・ハーグ派展  下関市美 1/4〜2/16
・レオナール・フジタとパリ 1913-1931

 2013年度

・レオナール・フジタとパリ 1913-1931
・近代自然主義絵画の成立 - オランダ・ハーグ派展
・ポール・デルヴォー展 夢をめぐる旅
・ウィリアム・モリス 美しい暮らし展

 2012年度

・ポール・デルヴォー展 夢をめぐる旅  下関市美 11/17〜2013/1/14
・アンリ・ル・シダネル展 Henri Le Sidaner
・ウクライナの至宝展
・ウィリアム・モリス展

出典:(株)ブレーントラスト公式サイト「展覧会情報」<http://www.braintrust-art.com/ja/exh/index.html>より(2016/11/14)


2. 作品紹介

展覧会会場入口
1F展示室1
1F展示室2
1F展示室3
1F展示室4
2F展示室1
2F展示室2
1. エドモン・アマン=ジャン《アンティミテ(日常の一場面)、1905年、油彩・カンヴァス、85×112cm、ドゥエ、シャルトルーズ美術館
2. アンリ・マルタン《野原を行く少女》、1889年、油彩・カンヴァス、170×130cm、個人蔵
3. エミール=ルネ・メナール《ナイル川とテーベ川》、1927年、油彩・カンヴァス、73×100cm、L.-M. シュネ氏蔵
4. シャルル・コッテ《ウェサン島の老女》、1908年、エッチング・紙、12×13cm、個人蔵
5. アンリ・ル・シダネル《輪舞》、1899年リトグラフ・紙、25×34cm、個人蔵
6. エミール=ルネ・メナール《秋》、1897年、カラー・リトグラフ・紙、30.3×39.3cm、個人蔵
7. エルネスト・ローラン《入浴》、1906年、モノタイプ・紙、20×16 cm、個人蔵
8. アンリ・デュエム《羊飼いと羊の群れ、夕暮れの海岸》、1901年頃、グワッシュ・紙、21.5×28.5cm、個人蔵
9. リュシアン・シモン《王女ナウシカ》、1916年油彩・カンヴァス、72.5×90cm、個人蔵
10. アンドレ・ドーシェ《雲の中の顔々》、パステル、グワッシュ・紙、15×22cm、個人蔵
11. アンリ・ル・シダネル《コンコルド広場》 1909年
12. フリッツ・タウロヴ《川沿いの集落》 1895年
13. ウジェーヌ・ヴァイユ《エタプルの市場》 1888年頃
14. シャルル・コッテ《星の夜》 1894年
15. アルベール・バールトソン《ロンドン、カノン・ストリート・ブリッジ》 1918年
16. オーギュスト・ロダン《バルザック記念像の頭部(習作) 1897年


(1) 画家彫刻家新協会(ソシエテ・ヌーヴェル)の画家たち スライド

国立美術学校(エコール・デ・ボザール)でアンリ・レーマンに学んだエドモン・アマン=ジャンとエルネスト・ローランは、1885年に奨学金を得てイタリアへ留学した。アンリ・マルタンはジャン=ポール・ローランスのアトリエの生徒であったが、同年イタリアに留学しており、3人は同地で親交を深めた。

(2) 黒い一団(バンド・ノワール)の画家たち スライド

国民美術協会展(サロン・ナショナル)で暗い色調の画家たちが注目されて「黒い一団」と呼ばれた。中心となるのはブルターニュの人びとの生活を描いたシャルル・コッテ、リュシアン・シモン、アンドレ・ドーシェの3人であるが、他にエミール=ルネ・メナールやルネ=ゴザヴィエ・プリネなどが含まれる。


関連略年表

1874年 第1回「印象派展」
1881年 サロンの運営がフランス政府から「フランス芸術家協会」へ
1884年 「独立芸術家協会」設立、「アンデパンダン展」開催
1890年 フランス芸術家協会(ル・サロン)から「国民美術協会」が分裂、「サロン・ナショナル」開催
1892年 第1回「薔薇十字サロン」にアマン=ジャン、マルタンが出品
1897年 「ウィーン分離派」結成
1900年 第1回「画家彫刻家新協会(ソシエテ・ヌーヴェル)」展、第5回パリ万国博覧会
1904年 日露戦争(〜05年)
1908年 児島虎次郎、渡欧(〜13年)。渡欧中、アマン=ジャンらと親交を結ぶ
1914年 第一次世界大戦(〜18年)
1922年 ソシエテ・ヌーヴェル展の最終回

参考:小林晶子編「関連略年表」、『もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20's Paris』展図録(「もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20's Paris」カタログ委員会、2015年)、126-127頁。


3.まとめ

 ・企画展

―美術館(=コレクション):収集方針≒企画テーマ
―地元ゆかりの作家(地域の文化的な記憶)=紹介と顕彰
―回顧展(生誕○○年、没後○○周年)
―地域の美術活動と現代的な(観客にアピールする)テーマ

 ・巡回展

―「共通経費」による予算圧縮と事業内容の充実
―学芸員のネットワークと新聞社のネットワーク
―パッケージングとカスタマイズ
―異なる会場で展示の工夫を比較して見る楽しみ

 ・「最後の印象派」展の見どころ

―「印象派」らしい主題と技法:屋外風景、近代生活、日常生活、筆触分割
―「世紀末〜世紀転換期」の時代的な雰囲気:退廃、暗い色調、象徴主義の影響(理想的風景)
―技法の区別(油彩、グアッシュ/エッチング、リトグラフ、カラー・リトグラフ、モノタイプ)
―図録⇔実物:色調と画面の質感、大きさ
―額縁にも注目(彫刻/複雑:古典的⇔簡素:近代的)