岡山芸術交流2016


1. 岡山芸術交流 Okayama Art Summit 2016 概要 スライド

周期展

テーマ:開発 Development

アーティスティック・ディレクター:リアム・ギリック

会期:2016年10月9日〜11月27日(44日間、10/10を除く月休)

会場:旧後楽館天神校舎跡地、岡山県天神山文化プラザ、岡山市立オリエント美術館、旧福岡醤油建物、シネマ・クレール 丸の内、林原美術館、岡山城、岡山県庁前広場、ほか岡山市内各所

主催:岡山芸術交流実行委員会(岡山市、岡山県、岡山商工会議所、公益社団法人おかやま観光コンベンション協会、岡山カルチャーゾーン連絡協議会、大学コンソーシアム岡山、株式会社山陽新聞社、山陽放送株式会社、岡山放送株式会社、テレビせとうち株式会社、公益社団法人岡山県バス協会、一般社団法人岡山県タクシー協会、西日本旅客鉄道株式会社岡山支社、公益財団法人石川文化振興財団、株式会社ストライプインターナショナル 、株式会社中国銀行)


あいさつ 大森雅夫(岡山芸術交流実行委員会 会長・岡山市長)

・自然災害が少なく、温暖な気候で晴れる日が年間7割を超える岡山は、山陽と山陰、中国と四国、関西と九州を繋ぐ西日本の交通結節点に位置し、その利便性の高さから近年、大都市圏からの移住先としても注目されています。
・岡山城や日本三名園の一つに数えられる岡山後楽園を中心とする旧城下町エリアには、多くの歴史・文化施設が立地し、岡山らしさを感じさせ、アートの香り漂う雰囲気を醸し出しています。
・こうした魅力あふれる岡山の情報発信をさらに進めるとともに、中心市街地の回遊性を高め、街全体の魅力アップを図るため、「芸術」の持つ創造性をいかして、旧城下町エリアをメイン会場とする現代アートの国際展「岡山芸術交流2016」を初めて開催することにしました。
・この展覧会では、開催テーマを「開発」と定めており、現代アートの魅力に触れながら街を歩き、岡山の歴史・文化を再発見し、その素晴らしさを再認識する中で、人と人、街、芸術がそれぞれに出会い、広く「交流」することを通じて、岡山の新たな魅力と賑わいの創出につながっていくことを期待しています。

出典:『岡山芸術交流2016 開発』(岡山芸術交流実行委員会、2016年)、6頁。


あいさつ 石川康晴(岡山芸術交流実行委員会 総合プロデューサー)

・岡山は私が生まれ育った故郷であり、会社創業の地でもあります。今まで自分を育て、支えてくれた岡山になんとか恩返しをしていきたい、その思いが今回の岡山芸術交流の原点になっています。
・岡山には、大原美術館の大原孫三郎氏、ベネッセアートサイト直島の福武總一郎氏など、代々企業家が芸術を支援してきた文化があります。これはかなり珍しいことではないでしょうか。僭越ながら私も、次世代としてその大事なバトンを受け継ぎ、先達の功績に恥じることのないよう走り続けたいと考えています。
・この岡山芸術交流で、多様な作品に出会い、それぞれに考えたり、想像力を働かせたりすることは、新しい価値を産み出す「創造力」を育むことになると信じています。自由な想像力と創造力を持った人が集まると、きっと岡山はより魅力的な都市になるでしょう。
・岡山がアートで世界から注目を集める瀬戸内の玄関口として、世界に向けた強い発進力を持つ都市になっていくことを楽しみに、一歩ずつ歩みを進めていきます。

出典:『岡山芸術交流2016 開発』(岡山芸術交流実行委員会、2016年)、7頁。


「あいさつ」から読み取る岡山芸術交流開催のねらいと背景

・税収に直結する「人口」増または維持:交流人口(交通結節点)と定住人口(移住先)
・中心市街地の空洞化対策(回遊性と賑わい創出)⇔自家用車依存社会と郊外型生活
・企業家による芸術庇護の伝統:大原孫三郎、福武總一郎
・芸術=創造力→新しい「価値」の創出


「文化芸術創造クラスター」

“国内外の諸都市で、アートや文化の創造力を活かして都市再生を図る「創造都市」の取り組みが進められている。創造都市の実現にともなう波及効果は、美術館や芸術祭への来訪者増加にともなう交流人口拡大という短期的効果に加えて、創造的な人材の育成・誘致、創造的産業の振興、地域の教育・福祉への貢献、市民活動の活発化など多岐にわたる。”

出典:『文化芸術創造クラスターの形成に向けて』(株式会社日本政策投資銀行 大分事務所、2011年)
http://www.dbj.jp/pdf/investigate/area/kyusyu/pdf_all/kyusyu1105_01.pdf(2016/11/29)


2. 旧後楽館天神校舎跡地

旧後楽館天神校舎跡地
1. アンジェラ・ブロック《環境と開発に関するリオ宣言―持続可能な開発の27の原則》
2. 荒木悠《利末記異聞》(1), (2), (3), (4)
3. アントン・ヴィドクル《共産主義者革命は太陽が原因だった》 2015年
4. 下道基行《14歳と世界と境 岡山》(1), (2), (3), (4), (5), (6)
5. 下道基行《境界のかけら》 2012年 帰還困難地域境界線(福島県相馬郡)
6. 下道基行《境界のかけら》 2012年  酸ヶ湯温泉(青森県)
7. 下道基行《シリーズ「torii」花蓮 台湾》 2006-12年
8. 下道基行《シリーズ「torii」台中 台湾》 2006-12年
9. ホセ・レオン・セリーヨ《ゼロに占領された場所》(1), (2), (3), (4)


下道基行《14歳と世界と境 岡山》

私は、学校が終わっても、帰り道で
も、家についても、まだ「学校」とい
う気持ちです。私の気持ちが切り
替わるのは、制服をぬいだ時です。
制服をぬぎ部屋着をきると、「家」
の気持ちになります。

(久野真依/一番好きな場所:いとこの家)

旭川をこえる時は、何か特別感が
ある。ワクワクした楽しみだったり
ドキドキした緊張だったり。前は
旭川の向こうに住んでいたから、そ
こに戻るうれしい気持ちや、旭
川のこっちにもどってきたらまた
明日からがんばろうと思える。

(井上あいみ/将来の夢:ブライダルコーディネーター)


3. 岡山県天神山文化プラザ

岡山県天神山文化プラザ
10. サイモン・フジワラ《ジョアンヌ》(1), (2)
11. 眞島竜男《281(粘土)》(1), (2), (3)


4. 岡山市立オリエント美術館

岡山市立オリエント美術館
12. ロバート・バリー《リングとワイヤーの彫刻》(1), (2) 1968年
13. ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス《無題(モビール) 2008/09年
14. ローレンス・ウィナー《テベレ川》 1967年
15. アンジェラ・ブロック《アニムス・トロイ》 2015年
16. アンジェラ・ブロック《アニムス・ヘレン》 2015年
17. ロシェル・ゴールドバーグ《あなたにつながろうと試みる》(1), (2)


5. 林原美術館

林原美術館
18. ピエール・ユイグ《未耕作地》 2012年
19. ピエール・ユイグ《無題(ヒューマン・マスク)》(1), (2) 2014年


6. 岡山城

岡山城 不明門
岡山城 天守閣
岡山城 島袋作品展示会場
20. 島袋道浩《弓から弓へ》
岡山城 天守閣礎石
21. リクリット・ティラヴァーニャ《無題2016(これはAである/これはAではない/これはAであり、Aではないものである/これはAでもなく、Aでないものでもない)》(1), (2)


7. 岡山県庁前広場

22. アーメット・オーグット《他者による攻撃中に》(1), (2)
前川國男の言葉/岡山県庁


8. 市内各所

23. ライアン・ガンダー《編集は高くつくので》(1), (2)
24. ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス《より良く働くために》 1991年
25. ローレンス・ウィナー《1/2はじまった1/2おわった たとえいつであろうとも》 2008/16年
26. リアム・ギリック《多面体的開発》
27. アンジェラ・ブロック《環境と開発に関するリオ宣言―持続可能な開発の27の原則》


9. 連携プロジェクト/パブリックプログラム

ちいさな「テロワール」
発見 Discovery


10. まとめ

 ・岡山芸術交流開催の背景

―人口減(=税収減)対策としての交流・定住人口誘引
―中心市街地の再活性化
―複数会場による回遊性
―文化芸術創造クラスターによる都市の活性化

 ・一点一点と向き合う

―作品を鑑賞する/展覧会の全体像について考察する
―複数のレイヤー:作品/展覧会/社会・地域・時代
―作品と作品の「リエゾン」=他の作品と並べられることによって顕在化したり生起する意味に注意を向ける
―逆に、周囲の作品と切り離し、作品一点に集中する