世界遺産 ポンペイの壁画展


1. ポンペイの壁画展 概要 スライ ド

企画展/巡回展
会期:2017年1月21日〜3月26日
会場:山口県立美術館
主催:山口県立美術館、KRY山口放送
後援:外務省、文化庁、イタリア文化財・文化活動・観光省、イタリア大使館、イタリア文化会館、伊日財団
協賛:旭化成、大日本印刷、日本通運
協力:アリタリア・イタリア航空、日本貨物航空
学術協力:ナポリ国立考古学博物館、ポンペイ監督局


ポンペイの壁画展の巡回会場と会期

森アーツセンターギャラリー 2016年4月29日-7月3日
名古屋市美術館 2016年7月23日-9月25日
兵庫県立美術館 2016年10月15日-12月25日
山口県立美術館 2017年1月21日〜3月26日
福岡開催(予定) 2017年4月-6月


展覧会の章立て

・展覧会におけるコーナー分け。鑑賞者の展覧会理解に資するよう、作品をグループ毎にまとめて展示する手法

・公募展の場合はジャンル毎、回顧展の場合は時代毎あるいは主題毎、テーマ展の場合は時代毎あるいはサブテーマ毎に分類される。常設展にも適用される。

・章立ては、展覧会会場と展覧会図録の双方の構成に反映される。会場では解説パネルが、図録内では短い解説文あるいは、詳細な論文が章の冒頭におかれる。

・通常、3〜5章立てにまとめられるが、広領域にわたる時代や地域を調査対象とした展覧会の場合、10章を超える場合もある。


ポンペイの壁画展の章構成

第T章 建築と風景
第U章 日常の生活
第V章 神話
第W章 神々と信仰


2. 作品紹介

 第T章 建築と風景

1. 赤い建築を描いた壁面装飾、前1世紀後半、第2様式、ヴェスヴィオ山周辺地域、フレスコ、左:272×127cm、中央上:272×235 cm、同下:272×126 cm、右:272×126 cm、ボスコレアーレ、考古遺物収蔵庫

2. エジプト青の壁面装飾、後1世紀半ば、トッレ・デル・グレコ、ソーラ地区の海浜別荘、クビクルム(個室)、フレスコ、289×124 cm、エルコラーノ、考古遺物収蔵庫

3. 女のケンタウロス、後1世紀半ば、トッレ・デル・グレコ、ソーラ地区の海浜別荘、クビクルム(個室)、フレスコ、58×30 cm、エルコラーノ、考古遺物収蔵庫


 第U章 日常の生活

4. 西壁 ポセイドンとアミュモネ(部分)、後62-79年、第4様式、カルミアーノ、農園別荘(1)、トリクリニウム〔食堂〕(1)、フレスコ、265×682cm、カステッランマーレ・ディ・スタビア、考古遺物収蔵庫(旧アンティクアリウム)

カルミアーノの農園別荘(1)、トリクリニウム平面図ほか

5. 選挙広告の書かれた壁面、後50-79年、第4様式、ポンペイ、「ウェレクンドゥスの工房」(IX 7)、入口左、フレスコ、214×88 cm、ボスコレアーレ、考古遺物収蔵庫


 第V章 神話

6. ナルキッソス、後62-79年、第4様式、ポンペイ、西のインスラ、フレスコ、76×72 cm、ボスコレアーレ、考古遺物収蔵庫

7. 酩酊のヘラクレス、後50-79年、第4様式、ポンペイ、「鉄のかまどの家」(VI 13, 6)、タブリヌム〔家長の執務室〕(7)、西壁
フレスコ、87×105 cm、ナポリ国立考古学博物館

8. アレクサンドロス大王とスタテイラ、後1世紀後半、第4様式、ポンペイ、「黄金の腕輪の家」(VI 17, 西のインスラ42)、トリクリニウム〔食堂〕(20)、南壁、フレスコ、155×143 cm、ポンペイ、考古遺物収蔵庫

9. ケイロンによるアキレウスの教育、後1世紀後半、第4様式、エルコラーノ、アウグステウム、フレスコ、125×127 cm、ナポリ国立考古学博物館

10. 赤ん坊のテレフォスを発見するヘラクレス、後1世紀後半、第4様式、エルコラーノ、アウグステウム、フレスコ、218×182 cm、ナポリ国立考古学博物館

11. テセウスのミノタウロス退治、後1世紀後半、第4様式、エルコラーノ、アウグステウム、フレスコ、205×180 cm、ナポリ国立考古学博物館

12. セレネとエンデュミオン、後1世紀後半、第4様式、エルコラーノ、アウグステウム、フレスコ、72×72 cm、ナポリ国立考古学博物館


第W章 神々と信仰

13. イシス女神官のヘルマ柱、前30年頃、第2様式、ローマ、パラティヌス丘、「リウィアの家」、「風景画の間」、フレスコ、136×55 cm、ナポリ国立考古学博物館

14. 有翼のウィクトリア、前1世紀、第2様式、ポンペイ、「M. ファビウス・ルフスの家」(VII 16, 西のインスラ22)、フレスコ、171×124 cm、ポンペイ、考古遺物収蔵庫

15. 踊るマイナス、後1世紀後半、第3様式、ポンペイ、「船団の家」(VI 10, 11)、オエクス〔客間〕(24)、南壁、フレスコ、74×60 cm、ナポリ考古学博物館

16. 天球儀、後62-79年、第4様式、スタビア、「サン・マルコ荘」、上階のペリステュリウム〔列柱回廊〕、天井、フレスコ、197×210 cm、カステッランマーレ・ディ・スタビア、考古遺物収蔵庫(旧アンティクアリウム)

17. ウェヌス、後1世紀後半、第4様式、エルコラーノ、「モザイクのアトリウムの家」(IV 2, 1)、エクセドラ(9)、フレスコ、72.5×60 cm、ナポリ考古学博物館

18. フェニックスと2羽のクジャク、後1世紀後半、第4様式、ポンペイ、「エウクシヌスの家と食堂」(I 11, 10-11)、フレスコ、124×124 cm、ポンペイ、考古遺物収蔵庫


関連略年表

79年 ポンペイ大地震(2月)、ヴェスヴィオ火山噴火(8月)
 …
1738年 ヘルクラネウム(現エルコラーノ)発掘
1748年 ポンペイ発掘
 …
1997年 「ポンペイ、ヘルクラネウム及びトッレ・アンヌンツィアータの遺跡地域」の世界遺産登録/「ポンペイの壁画展―2000年の眠りから甦る古代ローマの美」展(横浜美術館、ほか)
2001年 「世界遺産 ポンペイ展―ポンペイとポンペイに暮す人びと」(江戸東京博物館、ほか)
2006年 「ポンペイの輝き 古代ローマ都市最後の日」展(Bunkamura ザ・ミュージアム、ほか)
 …
2016-17年 「日伊国交樹立150周年記念 世界遺産 ポンペイの壁画展」(森アーツセンターギャラリー、ほか)


エルコラーノ(ヘルクラネウム)とポンペイ 地図


3.まとめ

 ・展覧会の章立て

―「展覧会」理解の手掛かり
―作品を鑑賞する/展覧会構成を読み解く
―休憩コーナーに置いてある図録を活用する
―独自に章構成を組み直す可能性を探る

 ・アートのある生活

―衣・食・住におけるアート的要素
―「美術館(非日常)⇔生活空間(日常)」の図式を問い直す
―アート的要素(消費活動)とアート(創造行為)
―生きることとアート(創造性)
―都会の生活と地方の生活

 ・「ポンペイの壁画展」の見どころ

―約2000年前の鮮明な色彩
―「壁画」や「天井画」から当時の室内装飾を想像
―主題を味わう(ギリシア・ローマ神話の神々や英雄とその物語を学ぶ)
―様式を比較する(第2様式、第3様式、 第4様式)
―ルネサンス以降の西洋美術との比較(遠近法、陰影法、人体比例)