クラーナハ展―500年後の誘惑
1. 「クラーナハ展―500年後の誘惑」 概要 スラ イド
企画展/巡回展
会期:2017年1月28日〜4月16日
会場:国立国際美術館
主催:国立国際美術館、ウィーン美術史美術館、TBS、MBS、朝日新聞社
後援:外務省、オーストリア大使館、
特別協賛:大和ハウス工業
協賛:大日本印刷
協力:オーストラリア航空、ルフトハンザカーゴAG、ルフトハンザ ドイツ航空、アリタリア・イタリア航空、日本航空、日本通運、ダイキン工業現代美術振興財団、安藤忠雄文化財団
◆巡回(東京展)
会期:2016年10月15日〜2017年1月15日
会場:国立西洋美術館
◆出品作品の所蔵先に着目
・海外作家の回顧展の場合、@国内所蔵作を中心とする展覧会、A海外の単館コレクションに基づく展覧会、B海外の複数の美術館から借用された展覧会、C海外でしかもヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアやアジアなど大陸をまたがって複数の美術館から借用された展覧会の順に、主催者側の経費負担は増加する
・複数の美術館から借用された展覧会ほど、「一堂に集めた展覧会」としてはより一層貴重な機会と言える
・一緒に並べられる機会の少ない作品同士を比較して見ることは、実証的な研究の観点から意義が大きい
◆「クラーナハ展―500年後の誘惑」 章構成
1. 蛇の紋章とともに―宮廷画家としてのクラーナハ
2. 時代の相貌−肖像画家としてのクラーナハ
3. グラフィズムの実験−版画家としてのクラーナハ
4. 時を超えるアンビヴァレンス−裸体表現の諸相
5. 誘惑する絵−「女のちから」というテーマ系
6. 宗教改革の「顔」たち−ルターを超えて
2. 作品紹介
1. 蛇の紋章とともに―宮廷画家としてのクラーナハ
1. ルカス・クラーナハ(父)《聖母子》、1515年頃、油彩・板(菩提樹材)、81.6×54 cm、ブダペスト国立西洋美術館
2. ルカス・クラーナハ(父)《聖カタリナの殉教》、1508/09年頃、油彩・板(菩提樹材)、112×95 cm、ブダペスト、ラーダイ改革派教会
2. 時代の相貌―肖像画家としてのクラーナハ
3. ルカス・クラーナハ(父)《ザクセン選帝侯ヨハン・フリードリヒ官大公》/《シュビレ・フォン・クレーフェ》、1532年、油彩・板、各19.5×13.5 cm、ケムニッツ美術コレクション
4. 岸田劉生《川幡正光氏之肖像》、1918年、油彩・カンヴァス、33.8×33.8 cm、東京国立近代美術館
3. グラフィズムの実験―版画家としてのクラーナハ
5. ルカス・クラーナハ(父)《聖アントニウスの誘惑》、1506年、木板(第2ステート)、40.7×27.8 cm、国立西洋美術館
4. 時を超えるアンビヴァレンス―裸体表現の諸相
6. ルカス・クラーナハ(父)《ヴィーナス》、1532年、混合技法・板(ブナ材)、37.7×24.5 cm、フランクフルト、シュテーデル美術館
7. アルブレヒト・デューラー《アダムとイヴ(堕罪)》、1504年、エングレーヴィング、24.8×19 cm、国立西洋美術館
8. ルカス・クラーナハ(父)《アダムとイヴ(堕罪)》、1537年以降、油彩・板(ブナ材)、53.3×37.1 cm、ウィーン美術史美術館
9. ルカス・クラーナハ(子)《ディアナとアクタイオン》、1532年、油彩・板、43.5×65 cm、トリエステ国立古典絵画館
10. ルカス・クラーナハ(父)《ルクレティア》、1532年、油彩・板(ブナ材)、37.5×24.5 cm、ウィーン造形芸術アカデミー
・6.《ヴィーナス》と10.《ルクレティア》の比較
11. ルカス・クラーナハ(父)《正義の寓意(ユスティティア)》、1537年、油彩・板、74×52 cm、個人蔵
5. 誘惑する絵―「女のちから」というテーマ系
12. ルカス・クラーナハ(父)《不釣り合いなカップル》、1530年頃、油彩・板(ブナ材)、38.8×25.7 cm、デュッセルドルフ、クンストパラスト
13. ルカス・クラーナハ(父)《ロトとその娘たち》、1528年、油彩・板(菩提樹材)、56×37 cm、ウィーン美術史美術館
14. ルカス・クラーナハ(父)《ホロフェルネスの首を持つユディト》、1525/30年、油彩・板(菩提樹材)、87×56 cm、ウィーン美術史美術館
15. パブロ・ピカソ《ダヴィデとバテシバ(クラーナハにならって)》、1947-49年、リトグラフ 第9ステート、65.3×48.5 cm、町田市立国際版画美術館
6. 宗教改革の「顔」たち―ルターを超えて
16. ルカス・クラーナハ(父)《マルティン・ルター》、1529年、油彩・板(菩提樹材)、36.5×23 cm、フィレンツェ、ウフィツィ美術館
◆関連年譜
1472年 10月4日? クローナハ(現バイエルン州オーバーフランケン行政区)に生まれる
1501-04年 ドイツ語圏随一の人文主義者コンラート・ツェルティスのサークルと交流し、画家として頭角を現わす
1505年 フリードリヒ賢明公の招きでヴィッテンベルクの宮廷画家となる
1517年 ルター、『95ヶ条の論題』をヴィッテンベルクで発表
1518年 宗教改革に伴う需要の減少。エロティックな神話主題の作品の増加
1519年 ルターの著作に基づく最初の木版画を制作
1530年 この頃から、裸体画の制作が増加
1537年 息子ハンス・クラーナハ、イタリア旅行中に死去。蛇の署名に翼を加える
1550年 ルカス・クラーナハ(子)が工房を引き継ぐ
1553年 10月16日、ヴァイマールで死去(81歳)
参照:グイド・メスリング、新藤敦編 「関連年譜」『クラーナハ展―500年後の誘惑』図録(TBSテレビ、2016年): 258-259.
3.まとめ
・所蔵先
―企画展の充実度を計る指標
―借用元の都市を確認
―将来自分でも訪ねる機会がありそうな都市/一生行くことがなさそうな都市
・展覧会企画と美術史
―美術史=美術家と作品と社会についての歴史研究
―美術史の知識を共有する場としての展覧会、記念講演会
―人と美術をつなぐ美術史