美学・美術史特殊講義二〇一六


期末試験問題概略告知

一、講義で紹介した展覧会について基礎的な知識を問う(但し、第十講を除く)/○×問題/一〇問/各二点(二〇点)

二、企画展について述べた文章の空欄に適切な用語を選んで文を完成させよ/穴埋め問題・選択肢あり/一〇問/各二点(二〇点)

三、ビエンナーレについて、指定される五つの用語を適切に用いて論述せよ/論述問題・用語指定/字数制限なし/二〇点

四、自分の目で実際に作品を見ることと、授業および画集の図版やネットの画像等で作品について知ることとの違いをめぐって具体例を挙げて論述せよ/論述問題・自由形式/字数制限なし/四〇点


成績評価方法

試験:一〇〇点満点×〇.八(計八〇点)

出席:一二回=一二点(欠席毎マイナス一点 例:欠席三回=出席点九点)

※最初の一回、および第十講をカウントしない

授業態度等の調整点:全回出席者にプラス二点

そのほか授業への参加度をオピニオン・シートの回答等をもとに六〜一〇点の範囲で加算


美学・美術史特殊講義(後期)試験問題

実施日時 二〇一七年一月三十一日(火)
12時50分〜14時20分(90分)

 

(各二点、計二〇点)

一、次に示される(1)〜(10)の短文のうち、内容の正しいものに○印を、誤ったものに×印をそれぞれ解答用紙の各欄に記せ。

(1)山口県美術展覧会では、前年度の大賞受賞者が、1階奥の展示室で一年間の活動の成果を発表する。

(2)あいちトリエンナーレ2016のテーマは、「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」。さまざまなキャラヴァンが疲れを癒す「隊商宿」をイメージして、創造しながら〈旅〉を続ける人間に焦点を当てた。

(3)UBEビエンナーレの買上げ賞は、大賞(宇部市賞)と宇部興産株式会社賞の2つである。

(4)「最後の印象派」展に企画協力として名を連ねている(株)ブレーントラストは、二〇一四年に下関市立美術館で開催された「オランダ・ハーグ派展」でも企画協力を行っている。

(5)前川國男は、ル・コルビュジエの弟子で、岡山では、岡山県天神山文化プラザ、 岡山県庁、林原美術館などの建物の設計を手掛けた。

(6)国立アジア文化殿堂の企画展「中断された調査」に出品された『祝の島』(監督=纐纈あや)は、山口県上関町祝島で暮らしている人々についてのドキュメンタリー映画である。

(7)釜山ビエンナーレ2016は、釜山市立美術館、F1963の2会場で開催された。

(8)「世界遺産 ポンペイの壁画展」は、日伊国交樹立一五〇周年を記念する事業である。

(9)「動き出す! 絵画」展は、最初、和歌山県立近代美術館で開幕し、その後、東京ステーションギャラリーでの開催を経て、二〇一七年一月二十八日より、下関市立美術館へと巡回中である。

(10)ルカス・クラーナハ(父)は、ドイツ・ルネサンスを代表する画家の一人。十五世紀のヴィッテンベルクで宮廷画家として活躍した。

 

(各二点、計二〇点)

二、次の文を読み、空欄となっている( A )〜( J )に、のちに記されている(1)〜(30)のうち最も適当と思われる言葉を補い、文を完成せよ。解答用紙には、( A )〜( J )の各欄に該当する言葉を1〜30の番号で記すこと。

 企画展は、他館や( A )等より作品を借用し、ある一定の期間のみ開催される展覧会である。日本の公立美術館の多くは、企画展示室のほかに、常設展示室や( B )を持つ。その館の( C )の目玉となっているような作品を借用する場合、展覧会の企画趣旨が説得材料となる。( C )の目玉作品は、その所蔵館の活動を支えている地域住民に常設展示されていることが原則である。企画趣旨の( D )的意義と社会的意義が、広い意味での公益に適うと判断されてはじめて、作品の貸出が許可される。その場合の作品貸出は、( D )協力という意味を持つことになる。
 右の場合とは異なって、美術館の( C )がまとまった数、貸し出される場合がある。ルーヴル美術館展やメトロポリタン美術館展など、海外の大型有名美術館の( C )展は、普段、常設展示には展示されていないような作品が数多く含まれている。それに対して、( E )等による休館の機会を利用して開催される有名美術館の( C )展は、その分だけ、目玉作品が多数来日する貴重な機会とも言える。ただし、その場合でも( F )負担の問題から、一定の上限が設けられることが多い。
企画展を準備する( G )の仕事は多岐にわたる。事前調査、助成金の申請、出品交渉、展示プランの検討、作品移送時の同行、会場設営の監督、ちらし・ポスター等の印刷物の発注、図録の編集と論文の執筆、取材対応、ギャラリー・トーク、作品返却、報告書の作成などである。
 企画展のテーマが、開催館の活動方針や収集方針と連動していることが多いのは、それぞれの美術館における( G )の採用が、館の( C )を活用できるような( H )性に照らして行われるからである。一つの公立美術館に同じ分野を( H )とする( G )を複数採用している館は少ない。そのため( H )を同じくする( G )同士の横のつながりが大切である。そうした横のつながりによって企画をした展覧会が( I )展に組み上げられる場合も多い。( I )展では、輸送費や( F )、図録の印刷費などを( J )とすることで、単館で開催する場合と比べて、経費を圧縮できる。

(1)エデュケイター  (2)オリジナリティ  (3)改修工事  (4)学芸員  (5)学術  
(6)為替  (7)企画会社  (8)共通経費  (9)銀行  (10)経済  (11)公募  (12)国際  
(13)個人コレクター  (14)個性  (15)国家補償  (16)コレクション  (17)財団  
(18)自然災害  (19)市民ギャラリー  (20)受益者  (21)出身大学  (22)巡回  (23)専門  
(24)地域  (25)手数料  (26)内戦  (27)ハイビジョン・シアター  (28)文化  (29)保険料  
(30)三つ星レストラン  

 

(二〇点)

三、ビエンナーレについて、次の五つの単語を適切に用いて論述せよ。なお、各語の初出時には傍線を引くこと(字数制限なし)

芸術監督     創造都市     過去・現在・未来     入選模型作品     文化ハブ

 

(四〇点)

四、自分の目で実際に作品を見ることと、授業および画集の図版やネットの画像等で作品について知ることとの違いをめぐって具体例を挙げて論述せよ(字数制限なし。解答欄の半分以上を使用すること)

 

評価基準は、秀=一〇〇〜九〇、優=八九〜八〇、良=七九〜七〇、可=六九〜六〇、不可=五九〜〇である。本試験の結果をもとに各自の出席数による調整点等を加算したものを評点とする。また、三、四の解答のうち優れたものは、試験問題を蓄積し、今期以後の学生の参考に供するため、ウェブ上で公開する予定である。


一、二の解答