<第十講> ミュンスター彫刻プロジェクト2017


1.ミュンスター彫刻プロジェクトとグランド・ツアー

・第5回展(Skulptur projecte münster 2017) 〈スライド
 会期:2017年6月10日〜10月1日
 会場:LWL芸術文化美術館ほか市内各所
 参加作家:34名・組
 ディレクター:カスパー・ケーニッヒ(Kasper König)
 キュレーター:ブリッタ・ペーテアス(Britta Peters)
         マリアンヌ・ヴァグナー(Marianne Wagner)

第1回展 1977年7月3日〜11月13日
第2回展 1987年6月14日〜10月4日
第3回展 1997年6月22日〜9月28日
第4回展 2007年6月17日〜9月30日 
第5回展 2017年6月10日〜10月1日

・LWL芸術文化美術館を中心に、直径約6kmの範囲に展開 〈スライド1, スライド2,〉
・1977年以来、10年に1度開催。公共空間と芸術作品の関係をテーマに、芸術家が事前に町に滞在し、町や住民について調査した上で、作品と設置場所のアイデアを出す方式をとる。 〈スライド
サイト・スペシフィック
コミュニティ・スペシフィック

 ◆グランド・ツアー

・もとの意味は、17世紀後半から18世紀にかけて、イギリスの上流階級の間で流行した大陸旅行。 〈スライド
・転じて2007年より、3つの周期展と1つのアートフェアを巡るツアーを指すようになった。

1. ドクメンタ14(アテネ 2017/4/8〜7/16)
2. ヴェネツィア・ビエンナーレ第57回国際美術展(2017/5/13〜11/26)
3. ドクメンタ14(カッセル 2017/6/10〜9/17) =5年ごと
4. ミュンスター彫刻プロジェクト2017(第5回)(2017/6/10〜10/1) =10年ごと
5. アート・バーゼル(2017/6/15〜18)=毎年

※2007年に開設されたグランド・ツアーの特設サイト 〈スライド

  1997年、2007年、2017年で今回が3回目

1990→1993年にヴェネツィア・ビエンナーレが開催時期を奇数年に変更したことに伴う


2.ミュンスター彫刻プロジェクト2017

1. 荒川医(Ei Arakawa, 1977- )Harsh Citation, Harsh Pastoral, Harsh Münster
2. ナイリー・バグラミアン(Nairy Baghramian, 1971- )Beliebte Stellen / Privileged Points
3. コジマ・フォン・ボニン(Cosima von Bonin, 1962- )Benz Bonin Burr
4. マイケル・ディーン(Michael Dean, 1977- )Tender Tender
5. アイシェ・エルクメン(Ayşe Erkmen, 1949- )On Water
6. フレイン・フリッドフィンソン(Hreinn Friðfinnsson, 1943- )fourth house of the house project since 1974
7. ピエール・ユイグ(Pierre Huyghe, 1962- )After ALife Ahead
8. アレクサンドラ・ピリチ(Alexandra Pirici, 1982- )Leaking Territories
9. SANY(サミュエル・ニホルム)(Samuel Nyholm, 1973- )Marginal Frieze
10. 田中功起(Koki Tanaka, 1975- )Provisional Studies: Workshop #7 How to Live Together and Sharing the Unknown


3.ミュンスター彫刻プロジェクトのパブリック・コレクション

1. クレス・オルデンバーグ(スウェーデン)《ジャイアント・プール・ボール》(1), (2) 1977年
2. クレス・オルデンバーグ《ジャイアント・プール・ボール》展示プラン 1977年
3.ドナルド・ジャッド(USA)《無題(2つの輪)》(1), (2), (3) 1977年
4. トーマス・シュッテ(ドイツ)《教会の柱》 1987年
5. ダニエル・ビュレン(フランス)《4つの門》 1987年
6. ルドゲア・ゲアデス(ドイツ)《ミュンスターの舟》 1987年
7. ジェニー・ホルツァー(USA)《ベンチ》 1987年
8. イリヤ・カバコフ(ウクライナ)《見上げて、言葉を読んで…》(1), (2) 1997年
9. ダン・グレアム(USA)《ミュンスターのためのファン・ハウス、パヴィリオン》 1997年
10. ヘルマン・デ・フリース(オランダ)《サンクチュアリウム》 1997年
11. ホワン・ヨンピン(中国)《観音菩薩の100本の腕》(1), (2) 1997年
12. ジルケ・ヴァークナー(ドイツ)《下からのミュンスター史》 2007年
13. マーティン・ボイス(イギリス)《私たちは静止して熟考する》(1), (2) 2007年
14. スーザン・フィリップス(イギリス)《失われたリフレクション》 2007年
15. ローズマリー・トロッケル(ドイツ)《ほかより控え目に野性的な》(1), (2) 2006/07年
16. ブルース・ナウマン(USA)《正方形の陥没》 2007年


4.まとめ

 ・ミュンスター彫刻プロジェクト2017

―彫刻の概念を超えて「公共と対話する現代アート」へ
―日本人作家2人が参加
―パブリック・コレクションとして残る作品/残らない作品
―都市空間、自然に囲まれた空間それぞれに設置

 ・ヴェネツィア、カッセル、ミュンスター

―ミュンスターは少人数(約30名・組)で10年に1度
―国別展示部門で小国の展示が見られるヴェネツィア
―問題提起的なカッセル
―ヴェネツィア122年、カッセル62年、ミュンスター40年