期末試験問題概略告知
1.ビエンナーレや国際美術展について基礎的な知識を問う/○×問題/10問/各2点(20点)
2.ヴェネツィア・ビエンナーレ第57回国際美術展について解説した文の空欄に適切な用語を選んで文章を完成させよ/穴埋め問題・選択肢あり/10問/各2点(20点)
3.ドクメンタ14について、指定される五つの用語を適切に用いて論述せよ/論述問題・用語指定/字数制限なし/20点
4.20世紀から21世紀初頭にかけての現代美術における変化について、国際美術展の歴史に照らして具体的に論述せよ(表現方法、非欧米圏出身のアーティストの活躍、国際美術展の形式や開催都市、日本における現代美術、など独自の視点を設定すること)/論述問題・自由形式/字数制限なし/40点
成績評価方法
試験:100点満点×0.9(計90点)
授業への参加度をオピニオンシートへの記述等をもとに加算(10点程度)
美学・美術史特殊講義(前期)試験問題
実施日時 二〇一七年七月二十五日(火)
12時50分〜14時20分(90分)
(各二点、計二〇点)
一、次に示される(1)〜(10)の短文のうち、内容の正しいものに○印を、誤ったものに×印をそれぞれ解答用紙の各欄に記せ。
(1)ヴェネツィア・ビエンナーレは、ムッソリーニ政権時代に音楽祭、映画祭、演劇祭を新設して多ジャンル化した。
(2)ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の国別参加部門の日本館では、毎回、国際交流基金が日本を代表する作家を一人選出し、個展を開催する。
(3)日本館を設計した建築家は、ル・コルビュジエのアトリエに勤務した経験を持つ吉阪隆正である。
(4)ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展の銀獅子賞は、国際企画展部門に出品している若手美術家の中から選ばれる。
(5)国際企画展部門では、毎回異なるキュレーターが作家選出を行うが、1999年と2001年は、スイス人キュレーターのハラルド・ゼーマンが2回連続してその任に当たった。
(6)ヴェルニサージュの原義は「ニスを塗る」という意味。現在では展覧会一般公開前の内覧会を指す。
(7)グランド・ツアーは、17世紀後半から18世紀にかけてイギリスの上流階級が行っていた大陸旅行の呼称。現在、この呼称は、ヴェネツィア、カッセル、ミュンスター、ジュネーヴを巡るアート・ツアーに流用されている。
(8)ドクメンタの第1回展は、ヒットラー政権時代に「退廃芸術」として迫害された前衛美術の失地回復と再紹介を目指して開催された。
(9)ミュンスター彫刻プロジェクトは、10年に1度、約40ヵ国のアーティストが参加して開催される。
(10)ヨコハマトリエンナーレは、2011年の第4回展以降の名称。第1〜3回は横浜トリエンナーレと表記していた。
(各二点、計二〇点)
二、次の文を読み、空欄となっている( A )〜( J )に、のちに記されている(1)〜(30)のうち最も適当と思われる言葉を補い、文を完成せよ。解答用紙には、( A )〜( J )の各欄に該当する言葉を1〜30の番号で記すこと。
第57回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展が、ヴェネツィアの( A )とアルセナーレを主会場に、11月26日まで開催中である。ヴェネツィア・ビエンナーレは、( B )年にヴェネツィア市国際美術展の名称で始まった。日本が国として正式参加するようになったのは、( C )年からである。
国別部門の金獅子賞は、アンネ・イムホフの( D )館に贈られた。また、ブラジル館が特別表彰を獲得。日本は、「逆さにすれば、森」と題して、( E )在住の岩崎貴宏の展示を行った。《Out
of Disorder (Mountains and
Sea)》は、床下の穴から一人ずつ顔を出して、タオルなどの山を見上げる構造で、ヴェルニサージュの期間中、長蛇の列が出来た。
国際企画展部門のタイトルは「ヴィヴァ・アルテ・ヴィヴァ(アート万歳)」。フランス人キュレーターの( F )の発案による、アーティストと本のパヴィリオン、歓喜と恐怖のパヴィリオン、公共のパヴィリオンなど、9つのトランス=パヴィリオンごとに作品を整理し、展示している。日本人作家では、THE
PLAYのドキュメント展示、島袋道浩、田中功起らの作品が大地のパヴィリオン、松谷武判の作品が( G )のパヴィリオン、THE
PLAYの家プロジェクトと菅木志雄の作品が時間と無限のパヴィリオンに展示されている。
( H )部門では、フューチャー・ジェネレーション美術賞展のような多くの作家が参加するグループ展のほか、ミケランジェロ・ピストレットやヤン・ファーブルのような有名作家の個展、カタルーニャ・イン・ヴェニス、スコットランド+ヴェニスのような地域パヴィリオンも見られる。「ふたつの中国を認めない」中国の主張に配慮して、謝徳慶(シェ・テェチン)の「活動時間」は( I )市立美術館の参加企画となっている。
このほか、同地では、ヴェネツィア・ビエンナーレの会期に合わせた現代美術展も多数開催されており、パラッツォ・グラッシおよび( J )の2会場を使用したダミアン・ハースト「難破船アンビリーバブル号の財宝」展など見どころが多い。
(1)1895 (2)1907 (3)1923 (4)1936 (5)1940 (6)1952
(7)アメリカ (8)エマ・ラヴィーニュ (9)オランダ (10)金沢
(11)カ・ペーザロ現代美術館 (12)カルティエ現代美術財団 (13)クリスティン・マセル
(14)公募展 (15)サン・ミケーレ島 (16)サン・マルコ広場 (17)色彩 (18)ジャルディーニ
(19)ジャン=ユベール・マルタン (20)上海 (21)台北 (22)伝統 (23)ドイツ
(24)東京 (25)特別展 (26)広島 (27)プンタ・デラ・ドッガーナ (28)並行展
(29)香港 (30)霊媒師
(二〇点)
三、ドクメンタ14について、指定される五つの語句を適切に用いて論述せよ(字数制限なし)。なお、各語句の使用順や回数は自由だが、初出時に傍線を引いて明示すること。
カッセル 金融危機 贈り物 新植民地政策 ツーリズム
(四〇点)
四、二〇世紀から二一世紀初頭にかけての現代美術における変化について、国際美術展の歴史に照らして具体的に論述せよ(字数制限なし)。
評価基準は、秀=一〇〇〜九〇、優=九〇〜八〇、良=七九〜七〇、可=六九〜六〇、不可=五九〜〇である。本試験の結果をもとに各自の出席数による調整点等を加算したものを評点とする。また、三、四の解答のうち優れたものは、試験問題を蓄積し、今期以後の学生の参考に供するため、ウェブ上で公開する予定である。