奈良 西大寺展+雪舟発見!展


1. 奈良 西大寺展の概要 スライド

企画展/巡回展
会期:2017年10月20日~12月10日
会場:山口県立美術館
主催:奈良西大寺展山口実行委員会(山口県立美術館、朝日新聞社、yab山口朝日放送)、真言律宗、日本経済新聞社、BSジャパン
協賛:損保ジャパン日本興亜、大伸社、三井不動産
特別協力:神奈川県立金沢文庫


巡回展とは

・開催館外からの借用によって集められた(特に海外の美術館・コレクターから)作品の集合(=展覧会)を、2つ以上の離れた地域に存在する美術館で順次紹介する展覧会の形式
・所蔵先と開催館との間の往復の輸送費(例えばフランス⇔日本など)や保険料、カタログ印刷費等を「共通経費」として巡回館同士で分担することにより、一館あたりの経済的負担を軽減することが可能
・同程度の会場規模を持つこと、他の展覧会の会期とのスケジュール調整が必要
・会場によって出品作品に変更がある
大手新聞社が参加し、海外との連絡調整を行うことがある


展示紹介

1. 塔本四仏坐像《阿閦如来坐像》、8世紀(奈良時代)、重要文化財、木心乾漆造、造高73.2cm、奈良、西大寺
2. 塔本四仏坐像《宝生如来坐像》、8世紀(奈良時代)、重要文化財、木心乾漆造、造高75cm、奈良、西大寺
2.《宝生如来坐像》, 1.《阿閦如来坐像》:側面も鑑賞できる展示ケース
3, 4. 十二天像より《風天像》, 《梵天像》、9世紀(平安時代)、国宝、絹本著色、各160×135cm、奈良、西大寺
3.《風天像》, 4.《梵天像》展示風景
5, 6. 十二天像より《地天像》, 《日天像》、9世紀(平安時代)、国宝、絹本著色、各160×135cm、奈良、西大寺
・7.《興正菩薩坐像》展示風景
7. 善春《興正菩薩坐像》、1280年(弘安3年、鎌倉時代)、国宝、木造彩色、像高91cm、奈良、西大寺
8. 《興正菩薩像》、14世紀(鎌倉~南北朝時代)、重要文化財、絹本著色、119×63.3cm、三重、新大仏寺
9. 《興正菩薩像》、14世紀(鎌倉時代)、絹本著色、101.2×48.3cm、奈良、法起寺
10. 善円《愛染明王坐像》、1247年(宝治元年、鎌倉時代)、重要文化財、木造彩色、像高31.8cm、奈良、西大寺
・11.《釈迦如来立像》展示風景
11. 善慶ほか《釈迦如来立像》、1249年(建長元年、鎌倉時代)、重要文化財、木造素地截金、造高167cm、奈良、西大寺
・12.《最勝老人立像》, 13.《文殊菩薩坐像》, 14.《善財童子立像》展示風景
文殊五尊像
 13.《文殊菩薩騎獅像》
 手前左:《優填王》
 手前右:14.《善財童子立像》
 奥左:12.《最勝老人立像》
 奥右:《仏陀波利》
12.《最勝老人立像》展示風景
15. 《毘沙門天立像》、13世紀(鎌倉時代)、木造彩色、造高102.5cm、奈良、西大寺
2F展示風景-1
16. 四天王立像のうち《多聞天立像》、13世紀(鎌倉時代)、木造彩色、造高164cm、京都、岩船寺
2F展示風景-2
17. 院憲《聖徳太子立像(孝養像)、1303年(乾元2年、鎌倉時代)、重要文化財、木造彩色、造高94cm、広島、浄土寺
18. 院勢《聖徳太子立像(南無仏太子像)、1338年(建武5年、南北朝時代)、重要文化財、木造彩色、造高68cm、広島、浄土寺
19. 《不動明王立像》、10~11世紀(平安時代)、重要文化財、木造彩色、造高84.4cm、山口、長門国分寺
20. 《十二天曼荼羅図》、13世紀(鎌倉時代)、重要文化財、絹本著色、174.2×134.2cm、山口、長門国分寺


仏像鑑賞のポイント

 ①印相(いんぞう) スライド

・仏像の手の形
・仏像が表す意味を読み解く手がかり
・施無畏印、与願印、説法印、禅定印、降魔印の5つを「釈迦の五印」と呼ぶ

 ②持物(じぶつ) スライド

・仏像が手に持っている物
・仏像を見分ける手がかり
・薬壺(やっこ)を持っていれば薬師如来、羂索を持っていれば不空羂索観音。水瓶(すいびょう)は、汚れを払う霊水が入っていて、菩薩の持物。
・そのほか、蓮華は汚れることのない仏の真理を表し、宝剣は煩悩を断ち切る。宝珠は財をもたらし、災いを除くとされる。


2. 雪舟発見!展の概要 スライド

特別展示
会期:2017年10月31日~12月10日
会場:山口県立美術館 コレクション展示室
主催:山口県立美術館、山口市、一般財団法人山口観光コンベンション協会
特別協力:エフエム山口
企画協力:浅野研究所

雪舟《倣夏珪山水図》、ほか
4K画像による雪舟《四季山水図》


3. まとめ

 ・巡回展

―「共通経費」による予算圧縮と事業内容の充実
―学芸員のネットワークと新聞社のネットワーク
―パッケージングとカスタマイズ
―異なる会場で展示の工夫を比較して見る楽しみ

 ・オリジナルを見る経験

―授業スライドや画集、展覧会図録の図版との違い
―大きさの感覚、照明、オリジナルの色合い(空間性・身体性)
―「寄り」と「引き」、立体の場合は周囲を巡ることで得られる視覚的変化
―絵画の場合は、絵の具の盛り上がりや額縁などの物質的属性