サンシャワー 東南アジアの現代美術展
◆展覧会の章立て
・展覧会におけるコーナー分け。鑑賞者の展覧会理解に資するよう、作品をグループ毎にまとめて展示する手法
・公募展の場合はジャンル毎、回顧展の場合は時代毎あるいは主題毎、テーマ展の場合は時代毎あるいはサブテーマ毎に分類される。常設展にも適用される。
・章立ては、展覧会会場と展覧会図録の双方の構成に反映される。会場では解説パネルが、図録内では短い解説文あるいは、詳細な論文が章の冒頭におかれる。
・通常、3~5章立てにまとめられるが、広領域にわたる時代や地域を調査対象とした展覧会の場合、10章を超える場合もある。
◆サンシャワー展の章構成
1. うつろう世界
さまざまな視点で複雑な歴史と社会を映し出す、地図を題材にした作品に焦点を当てる
2. 情熱と革命
植民地支配、戦争や抑圧のなかで、民主化や表現の自由を求めたアーティストたちの活動の軌跡
3. アーカイヴ
アーティストたちのさまざまな活動やムーヴメントについての記録や資料
4. さまざまなアイデンティティー
新しい国家の建設、多文化時代の到来によって生じた国家、民族、宗教、ジェンダーなど、アイデンティティーの問題を考える
5. 日々の生活
グローバル化が進むなか多様化するアートで、日常生活そのものを主題とする新しい表現を紹介
6. 発展とその影
高度経済成長と急激な開発。その光と影をアーティストたちの眼差しを通して体感させる
7. アートとは何か? なぜやるのか?
アートを通して地域や社会に何ができるのか? さまざまな課題に挑むアーティストたちの試みに迫る
8. 瞑想としてのメディア
生活に根付く神話や信仰を題材に、伝統工芸などさまざまなメディアを用いて表現するアーティストたちを紹介
9. 歴史との対話
植民地支配、戦争や抑圧のなかで、民主化や表現の自由を求めたアーティストたちの活動の軌跡
◆サンシャワー展の開催経緯
・2003年森美術館開館、2007年国立新美術館開館。両館による共同企画開催の可能性が模索される
・2013年12月の日ASEAN特別首脳会談を受けて、国際交流基金と上記2館の3者共同企画によるASEAN美術展の開催の方向が固まる
・2014年夏~冬、各館のキュレーターや担当者が東京で協議
・2014年11月、過去に国際交流基金が開催した東南アジアの美術展に関する勉強会
・2015年1月、フィリピン調査。
・以後、勉強会5回、調査出張9回、企画会議4回、プレイベント3回を経て、ASEAN設立50周年を迎えた2017年7月、展覧会開催。
2. サンシャワー 東南アジアの現代美術展(福岡展)の概要 スライド
企画展/巡回展
会期:2017年11月3日~12月25日
会場:福岡アジア美術館
主催:東南アジアの現代美術展実行委員会(福岡アジア美術館、西日本新聞社、TVQ九州放送)
共催:国立新美術館、森美術館、国際交流基金アジアセンター
2-1. うつろう世界
・「うつろう世界」/「情熱と革命」会場風景
1. パンクロック・スゥラップ(マレーシア, 2010- )《どうやら3つの国家の統治は簡単にはいかなそうだ》
2015年
2-2. 情熱と革命
2. ノルベルト・ロルダン(フィリピン, 1953- )《弁証法的唯物論》
2013年
3. FX ハルソノ(インドネシア, 1949- )《遺骨の墓地のモニュメント》,
(部分) 2011年
4. FX ハルソノ《声なき声》 1993-94年
5. マーイ・チャンダーウォン(ラオス, 1943- )《戦禍》
2010年
6. テインリン(ミャンマー, 1966- )《アートの生物学(「00235」シリーズより)》
1999年
7. テインリン《六つの指(「00235」シリーズより)》
1999年
8. テインリン《石鹸のブロック》 1999/2015年
9. ヘリ・ドノ(インドネシア, 1960- )《チェアー(パフォーマンス記録映像)》
1994年
10. ヘリ・ドノ《芸術家は取り憑かれる》,
《愚にもつかないおしゃべり》 1991年
2-3. アーカイヴ
11. タン・ダウ(唐大霧, シンガポール 1943- )《犀のドリンクで復元された角》
1989年
12. タン・ダウ《米を作る人々》 1988年
2-4. さまざまなアイデンティティー
13. イー・イラン(マレーシア, 1971-
)(タム・ホン・ラム[パカード・フォト・スタジオ]との共同制作)《バラ色の眼鏡を通して》
2017年
14. リー・ウェン《イエローマンの旅 No.5:
自由への指標》(部分) 1994年
15. アマンダ・ヘン(シンガポール, 1951- )《もうひとりの女
No.2, 7, 14, 11》 1996年,《20年後》2015年
16. アマンダ・ヘン《おしゃべりしましょう(パフォーマンス記録映像)》
1999年
2-6. 発展とその影
17. リュウ・クンユウ(マレーシア, 1960- )《そびえ立つ街(「私の国への提案」シリーズより)》 2009年
2-8. 瞑想としてのメディア
18. コラクリット・アルナーノンチャイ(タイ, 1986- )《おかしな名前の人たちが集まった部屋の中で歴史で絵を描く 3》 2015年
2-9. 歴史との対話
19. フェリックス・バコロール(フィリピン, 1967- )《荒れそうな空模様》, (部分) 2009/17年
3. サンシャワー 東南アジアの現代美術展(東京展)の概要 スライド
企画展/巡回展
会期:2017年7月5日~10月23日
会場:国立新美術館、森美術館 スライド
主催:国立新美術館、森美術館、国際交流基金アジアセンター
共催:朝日新聞社、東京新聞、日本経済新聞社、毎日新聞社、読売新聞社、NHK
後援:外務省、インドネシア共和国大使館、カンボジア王国大使館、シンガポール共和国大使館、タイ王国大使館、フィリピン共和国大使館、ブルネイ・ダルサラーム国大使館、ベトナム社会主義共和国大使館、マレーシア大使館、ミャンマー連邦共和国大使館、ラオス人民民主共和国大使館
協賛:株式会社大林組、トランスコスモス株式会社、WEARNES、住友商事株式会社
協力:全日本空輸株式会社、タイ国際航空、シャンパーニュ ポメリー
Patrons:Tan Leon, Yaw Chee Ming, Jim Thompson Art Center, DC Collection
Thailand, Museum of Modern and Contemporary Art in Nusantara (Museum MACAN),
anonymous
3-1. うつろう世界
3-2. 情熱と革命
・「情熱と革命」展示風景
20. シュシ・スライマン(マレーシア, 1973- )《ココナッツの木,
パパイヤの木, クラフト, アート, 神秘的, リアリティ, 西洋による再承認》 2013年
21. シュシ・スライマン《ドリアン機関》 2013年
3-3. アーカイヴ
3-4. さまざまなアイデンティティー
22. イー・イラン(タム・ホン・ラム[パカード・フォト・スタジオ]との共同制作)《バラ色の眼鏡を通して》 2017年
3-6. 発展とその影
23. リム・ソクチャンリナ(カンボジア, 1987- )《国道5号線》, (部分) 2015年
3-7. アートとは何か? なぜやるのか?
24. ルアンルパ(インドネシア, 2000- )《ruru.zip》 2010/17年
3-8. 瞑想としてのメディア
25. コラクリット・アルナーノンチャイ《おかしな名前の人たちが集まった部屋の中で歴史で絵を描く 3》 2015年
3-9. 歴史との対話
26. アピチャッポン・ウィーラセタクン(タイ, 1970-
)+チャイ・シリ(タイ, 1983- )《サンシャワー》
2017年
27. ヴァンディー・ラッタナ(カンボジア, 1980- )「爆弾の池」シリーズ
2009年
28. ヴァンディー・ラッタナ《タケオ(「爆弾の池」シリーズ
より)》 2009年
29. ロスリシャム・イスマイル(a.k.a. イセ)(マレーシア, 1972- )《もうひとつの物語》,
(部分) 2017年
30. フェリックス・バコロール《荒れそうな空模様》
2009/17年
4. まとめ
・展覧会の章立て
―「展覧会」理解の手掛かり
―作品を鑑賞する/展覧会構成を読み解く
―休憩コーナーに置いてある図録を活用する
―独自に章構成を組み直す可能性を探る
・日本とアジア
―〈歴史〉太平洋戦争(旧称:大東亜戦争)
―〈経済〉帝国主義による植民地支配から政府開発援助(ODA)による経済協力(日本企業の進出)へ
―〈文化〉エスニック料理の流行・定着と海外旅行や海外移住先としての東南アジア