美学・美術史特殊講義二〇一七


期末試験問題概略告知

一、講義で紹介した展覧会について基礎的な知識を問う(但し、第九講「怖い絵展」を除く)/○×問題/一〇問/各二点(二〇点)

二、現代美術について述べた文章の空欄に適切な用語を選んで文を完成させよ/穴埋め問題・選択肢あり/一〇問/各二点(二〇点)

三、UBEビエンナーレについて、指定される五つの用語を適切に用いて論述せよ/論述問題・用語指定/字数制限なし/二〇点

四、「美術展と生涯学習」をテーマに、この講義で学んだ内容に言及しつつ、自由に論述せよ/論述問題・自由形式/字数制限なし/四〇点


成績評価方法

試験:一〇〇点満点×〇.八(計八〇点)

授業への参加度をオピニオン・シートの記入内容等をもとに〇〜二〇点の範囲で加算


美学・美術史特殊講義(後期)試験問題

 

実施日時 二〇一八年一月三十日(火)
12時50分〜14時20分(90分)

 

(各二点、計二〇点)

一、次に示される(1)〜(10)の短文のうち、内容の正しいものに○印を、誤ったものに×印をそれぞれ解答用紙の各欄に記せ。

(1)第71回山口県美術展覧会で大賞を受賞した山根秀信は、2018年度に開催される第72回展で特別展示を行う予定である。

(2)「プリティー♡プリント」展は、千葉市美術館、和泉市久保惣記念美術館での開催を経て、山口県立萩美術館・浦上記念館に巡回してきた巡回展である。

(3)宇部市の彫刻設置の取り組みは、駅前の広場に設置されたファルコネの《ゆあみする女》のレプリカを、たくさんの子どもたちが写生している様子から、本物の彫刻を見せようという運動につながったことが起点とされている。

(4)FCA(おともだちコンテンポラリーアート)による「シャッター壁画プロジェクト」は、商店街のシャッターに絵を描く取り組みである。

(5)「奈良 西大寺展」に出品されていた《宝生如来坐像》の印相は、説法印である。

(6)ヨコハマトリエンナーレ2017のコンセプトは「移民・保護主義・島宇宙」。「接続性」と「孤立」をキーワードに私たちを取り巻く世界情勢を見つめ直す現代アート作品が多数展示された。

(7)ミュンスター彫刻プロジェクトは、ドイツのミュンスターで5年おきに開催される大型野外彫刻展である。

(8)「サンシャワー 東南アジアの現代美術展」は、ASEAN設立50周年を迎える2017年に開幕できるよう、3年以上前から準備がすすめられた。

(9)「ターナー 風景の詩」展では、郡山市立美術館が所蔵する版画と、その原画となったスコットランド国立美術館群所蔵の水彩画が展示されている。

(10)「長沢芦雪展 京のエンターテイナー」は、芦雪の画業をほぼ時代順に振り返るかたちで章構成された回顧展である。

 

(各二点、計二〇点)

二、次の文を読み、空欄となっている( A )〜( J )に、のちに記されている(1)〜(30)のうち最も適当と思われる言葉を補い、文を完成せよ。解答用紙には、( A )〜( J )の各欄に該当する言葉を1〜30の番号で記すこと。

 現代美術の表現は多様である。例えば、山口県美術展は、1979年の開館時には、日本画、( A )、彫塑、工芸、書、デザイン、( B )の7部門で構成されていたが、1993年の第47回展以降、( C )した。
 ヨコハマトリエンナーレ2017に出品された作品で見れば、ジョコ・アヴィアントの《善と悪の境界はひどく縮れている》のように( D )な作品や、ミスター、タチアナ・トゥルヴェ、ラグナル・キャルタンソンらのように、単体としては、それぞれ絵画、彫刻、映像といった表現であっても、展示としては、複数の作品によって一つの空間を構成する( E )として鑑賞される。また、作品のテーマで見てもアイ・ウェイウェイの《安全な通行》や、マップオフィスの《インド洋から太平洋まで移動するレムリア大陸》のように国際情勢・政治情勢・( F )などを扱うものから、ザオ・ザオの《スーツ》やドン・ユアンの《おばあちゃんの家》のように身近な( G )に目を向けたものなど幅広い。
 UBEビエンナーレは現代日本彫刻展が国際化した公募彫刻展であるが、第27回展で受賞したハンス・ショールの《construction kit animal》は、地元の子どもたちに色塗りを手伝ってもらう( H )型の制作手法をとっており、神山豊の《Mega Ptera 大きな翼》はハンドルを回すことでクジラの胸ビレや尾ビレを動かす( I )性が特徴となっている。
 伊藤嘉英の《森の掟》、藤島明範の《北極星との交信X》、ナカイデ タケヒコの《風の灯台》も、鑑賞者が作品内部に入ったり、中をのぞき込んだりする( I )な要素を持つ作品であり、従来の「触れてはいけない」美術作品のあり方とは大きく異なる。こうした仕掛けは、公園や街なかに設置される( J )彫刻ならではと言える。

(1)インスタレーション  (2)インストラクション  (3)インターラクティヴ  (4)家族  
(5)環境問題  (6)教育  (7)経済問題  (8)建築  (9)コンピュータ・グラフィックス  
(10)サイト・スペシフィック  (11)参加  (12)シミュラークル  (13)社会  (14)推薦制度化  
(15)写真  (16)スペクタクル  (17)抽象  (18)ノンジャンル化  (19)パブリック・アート  
(20)版画  (21)風景画  (22)服飾  (23)フラクタル  (24)文化摩擦  (25)邦画  
(26)ミラクル  (27)無審査化  (28)野外  (29)洋画  (30)ワーク・イン・プログレス

 

(二〇点)

三、UBEビエンナーレについて、次の五つの単語を適切に用いて論述せよ。なお、各語の初出時には傍線を引くこと(字数制限なし)

炭鉱の町   公害   模型   大賞(宇部市賞)   まちなかアート・フェスタ

 

 

(四〇点)

四、「美術展と生涯学習」をテーマに、この講義で学んだ内容に言及しつつ、自由に論述せよ(字数制限なし)

 

 

 

評価基準は、秀=一〇〇〜九〇、優=八九〜八〇、良=七九〜七〇、可=六九〜六〇、不可=五九〜〇である。本試験の結果をもとに各自の出席数による調整点等を加算したものを評点とする。また、三、四の解答のうち優れたものは、試験問題を蓄積し、今期以後の学生の参考に供するため、ウェブ上で公開する予定である。


一、二の解答