<第十三講> 総括
◆美術史学の「5W 1H」
「5W 1H」
=When, Where, Who, What, Why, How. いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、いかに
美術史学の「5W 1H」
When + Who いつ(時代、制作年)+誰が(作者、批評家、パトロン、コレクター)
What + Where 何が(作品)+どこに(美術館、都市、国、地域)
Why + How なぜ(時代背景、社会的事件、個人史上の出来事)+いかに(様式や革新的表現)
◆「5W1H」に着目して4つの作品を掘り下げる
・ベルリン、国立美術館 絵画館とテル・ボルフ《父の訓戒》、 1654/55年
・ミュンヘン、アルテ・ピナコテークとブーシェ《ポンパドゥール夫人の肖像》、1756年
・ロンドン、テート・ブリテンとミレイ《オフィーリア》、1851-52年
※シェイクスピア『ハムレット』第4幕第7場
ガートルード「一本の大きな柳の木が、川面にせり出しています。そこでは、澄んだ水が鏡のように銀の葉裏を映していました。その柳の幹のところで、オフィーリアは美しい花冠を編んでいたのです。キンポウゲ、イラクサ、ひな菊、それにシラン、口の悪い羊飼いたちはいやらしい名で呼びますが、汚れを知らぬ乙女たちは死人の指と呼ぶ、あの紫色の蘭の花です。そうして作った花冠を小枝にかけようと、よじ登った瞬間に、木は折れました。オフィーリアの美しさを羨んだ川が、花冠と共に、彼女を迎え入れたのです。しばらくの間、ドレスはいっぱいに広がって、せせらぎの中を、オフィーリアは人魚のようにただよってゆきました。古い讃美歌の一節を口ずさみ、死も恐れず、生まれながらの水の乙女のように、静かに流されていったのです。しかし、ドレスが水を吸い、その重さで川の中へと引きずりこまれるまでに、長い時間はかかりませんでした。美しい歌声は、川底の泥の中へと消えていったのです。」
西洋比較演劇研究会編『ベスト・プレイズ』(論創社、2011年)p.200
◆自分で美術史を学び続けるために
(1)読書案内
1. 高階秀爾『名画を見る眼』
(2)展覧会指南
1. 国内で開催される企画展について
ルーヴル美術館展、メトロポリタン美術館展、正倉院展など有名コレクションを紹介する展覧会の開催情報をチェックする(artscapeなどの専門サイトや情報誌、新聞など)
地元の美術館の企画展を見続ける
東京、名古屋、京都、大阪、福岡、兵庫、広島など都市部の美術館で開催される巡回展に出掛ける
※地方都市で安めに暮らし、お金を貯めて海外へ出かける
2. 展覧会図録/絵葉書について
展覧会図録は書店で買えないことが多い。古書かその場で
自分が気になる作品の絵葉書を複数買っておいてお礼状などに使用
3. インターネット・サイトについて
Google Arts & Cultureやルーヴル美術館公式サイトなど、高精細画像がどんどんネットで閲覧できるようになっている
Wikipediaは左のメニューにある英語版、フランス語版、イタリア語版等の内容も確認するのがお勧め(より詳しい解説や多くの図版が見られる場合が多い)
Chi va piano, va sano e va lontano !