美学・美術史概論(美術史) 二〇一八


期末試験問題概略告知

一、西洋美術史に登場する画家や、作品に描かれる聖人、神々について基礎的な知識を問う/○×問題/一〇問/各二点(二〇点)

二、西洋美術史の用語に関する理解力を問う/○×問題/一〇問/各二点(二〇点)

三、作品と所蔵美術館の正しい組み合わせを問う/選択肢あり/一〇問/各二点(二〇点)

四、初期ルネサンス、盛期ルネサンス、マニエリスム、バロック、ロココ、新古典主義、ロマン主義、写実主義、印象主義、ポスト印象主義の中から一つ選び、その様式的特徴について論じなさい。/論述問題・課題あり/字数制限なし/二〇点

五、授業で紹介された美術館を一つ選び、その美術館やコレクションの成立背景について論じなさい。/論述問題・課題あり/字数制限なし/二〇点


成績評価方法

試験:100点満点×0.9(計90点)

授業への参加度に関する評点をオピニオンシートへの記述等をもとに加算(10点程度)


美学・美術史概論(美術史)試験問題

実施日時 二〇一八年七月二十五日(水)
10時20分〜11時50分(90分)

 

(各二点、計二〇点)

一、次に示される(1)〜(10)の文章を読み、内容の正しいものに○印を、誤ったものに×印をそれぞれ解答用紙の各欄に記せ。

(1)ファン・エイクは、北方ルネサンスを代表する画家の一人である。

(2)レンブラントは《三十四歳の自画像》のほか、生涯を通して何度も自画像を描いた。

(3)古代ギリシアの神クロノスは、古代ローマの農耕神サトゥルヌスと同一視され、後世には時の擬人像の原型となった。

(4)古代ギリシアの最高神ゼウスは、天空の神であり、雷や鷹を伴った姿で表される。

(5)古代ギリシアの美と愛の女神アフロディテは海の泡から生まれ、北風の神ボレアスによってキプロス島に運ばれた。

(6)洗礼者ヨハネのアトリビュートは、洗礼に用いる皿や、木の根元におかれた斧などである。

(7)福音書記者ヨハネのアトリビュートは福音書、毒杯、棕櫚などであり、象徴は有翼の獅子である。

(8)イスカリオテのユダとヤコブの子ユダ、十二使徒に数えられる二人のユダのうち、キリストを裏切ったのは前者である。

(9)伝説上の聖戦士ゲオルギウスは、剣や槍を用いて龍を退治し、犠牲に捧げられた姫を救う場面として表される。

(10)四〜五世紀に活躍したラテン教父ヒエロニムスは、ライオン、体を打つ石、頭蓋骨といったアトリビュートとともに描かれる。

 

 

(各二点、計二〇点)

二、次に示される(A)〜(J)の文章を読み、内容の正しいものに○印を、誤ったものに×印をそれぞれ解答用紙の各欄に記せ。

(A)テンペラは、壁画技法の一つで、壁の上塗りの漆喰が乾かないうちに水で溶いた顔料で描く手法である。

(B)フレスコは、顔料を卵で溶いて描く技法で、油彩画が主流となる十五世紀以前、中世から初期ルネサンスの時代に広く行われていた。

(C)聖なる人物の頭の周囲に描かれ、その人物の聖性を記号的に表現する円をニンブスと呼ぶ。

(D)ジョルジョーネ、ベアト・アンジェリコ、ティントレットなど、ヴェネツィアを根拠地として活躍した画家たちをヴェネツィア派と呼ぶ。

(E)産業中心の物質主義に対する反発から、精神性や現実逃避などに傾き、頽廃的な性格が支配的となった十九世紀末から二十世紀初頭の文化的特徴を「世紀末」や「世紀転換期」と呼ぶ。

(F)三人の賢者が、ベツレヘムの星の導きによって降誕したイエスの馬小屋にたどり着き、贈り物をする場面を「マギの礼拝」、「東方三博士の礼拝」、「三王礼拝」などと称する。

(G)ヴァニタスとは、永遠の神の世界に対してこの世のむなしさを説く概念で、特に十八世紀の絵画の主題として流行した。

(H)ミゼルコルディアは、立像の聖母がマントを拡げ、その下に小さなサイズの人物群がひざまずいて庇護を願う図像である。

(I)ヴィンケルマンの古代彫刻論や、ポンペイ遺跡の発掘成果などが刺激となって十八世紀末に起こったギリシア・ローマ的美術への回帰運動を新古典主義と呼ぶ。

(J)イコノロジーは、人物を同定するためのアトリビュート、主題を同定するための構図やモティーフ、特定の概念を表す象徴やアレゴリーなど、美術作品の意味の約束事を研究する学問である。

 

 

(各二点、計二〇点)

三、次に示される(1)〜(10)の作品の所蔵美術館について、あとの(a)〜(j)うちから正しい選択肢を選んで解答用紙に記しなさい。

(1)サモトラケのニケ  (2)ベルヴェデーレのアポロン  (3)ファン・エイク《アルノルフィニ夫妻の肖像》
(4)レオナルド・ダ・ヴィンチ《受胎告知》  (5)ボッティチェリ《春》  
(6)ジョルジョーネ《嵐(ラ・テンペスタ)》  (7)デューラー《四人の使徒》
(8)ベラスケス《青い服の王女マルガリータ》  (9)ゴヤ《裸のマハ》  (10)ミレー《落ち穂拾い》

 

(a)ピオ・クレメンティーノ美術館(ヴァチカン)  (b)ウフィツィ美術館(フィレンツェ)  
(c)アカデミア美術館(ヴェネツィア)  (d)美術史美術館(ウィーン)  
(e)アルテ・ピナコテーク(ミュンヘン)  (f)国立美術館絵画館(ベルリン)  
(g)ルーヴル美術館(パリ)  (h)オルセー美術館(パリ)  (i)ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
(j)プラド美術館(マドリード)

(二〇点)

四、初期ルネサンス、盛期ルネサンス、マニエリスム、バロック、ロココ、新古典主義、ロマン主義、写実主義、印象主義、ポスト印象主義の中から一つ選び、その様式的特徴について論じなさい。

 

 

 

(二〇点)

五、授業で紹介された美術館を一つ選び、その美術館やコレクションの成立背景について論じなさい。

 

 

 

 

評価基準は、秀=一〇〇〜九〇、優=八九〜八〇、良=七九〜七〇、可=六九〜六〇、不可=五九〜〇である。本試験の結果をもとに各自の出席数による調整点等を加算したものを評点とする。また、四の解答のうち優れたものは、試験問題を蓄積し、今期以後の学生の参考に供するため、ウェブ上で公開する予定である。


一、二、三の解答