<第八講>「アジアにめざめたら」展


1. 展覧会の概要

「アジアにめざめたら」展概要 スライド
企画展/国際巡回展 ※国内では単館開催
会期:2018年10月10日~12月24日
会場:東京国立近代美術館
主催:東京国立近代美術館、韓国国立現代美術館、ナショナル・ギャラリー・シンガポール、国際交流基金アジアセンター

MOMAT支援サークル:木下グループ、ラグジュアリーカード、三菱商事株式会社、大日本印刷株式会社、アバントグループ
謝辞:1. 出品者一覧/2. 展覧会協力者


「アジアにめざめたら」展図録の構成

 ごあいさつ
 展覧会の枠組:地図と年表
 ペ・ミョンジ、セン・ユージン、鈴木勝雄「アジアにめざめたら―アートが変わる、世界が変わる 1960-1990年代」
0 イントロダクション
1 構造を疑う
  1-1 美術の境界
  1-2 再物質化
  1-3 メディアとしての身体
2 アーティストと都市
  2-1 資本主義批判
  2-2 都市生活を攪乱する
3 新たな連帯
  3-1 アート・アクティヴィズムと社会運動
  3-2 集団行動とアートの実験
  3-3 ジェンダーと社会
  3-4 歴史と新たな連帯を再考する
 年表
 主要文献
 作品リスト


関連年表 スライド 追加配布資料

1941-42年 第2次世界大戦において日本軍が東南アジア各地を占領。
1945年8月 日本政府がポツダム宣言を受諾
1949年10月 中華人民共和国誕生
1950年6月 朝鮮戦争勃発
1953年7月 朝鮮戦争休戦協定
1955年4月 インドネシアでバンド会議
1960年4月 韓国で4.19革命、李承晩政権崩壊
1964年10月 東京オリンピック開催
1965年2月 米国がベトナム北爆を開始
1965年6月 日韓基本条約調印
1965年8月 シンガポールがマレーシアから分離独立
1965年9月 インドネシアで9.30事件が発生
1966年3月 インドネシアでスカルノからスハルトへ大統領権限移譲
1966年5月 中国で文化大革命が始まる
1967年8月  インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイが東南アジア諸国連合(ASEAN)を結成
1969年5月 マレーシアで5.13事件と呼ばれるマレー人と華人の民族間衝突が発生
1972年2月 アメリカのニクソン大統領訪中
1973年9月 フィリピンのマルコス大統領が戒厳令を布告
1973年10月 タイで10月14日政変、タノーム政権崩壊
1975年4月 サイゴン(現ホーチミン)陥落、ベトナム戦争終結
1975年6月 インド、インディラ・ガンディー首相が非常事態宣言を発令
1976年9月 中国の毛沢東主席死去
1976年10月 タイで10月6日(血の水曜日)事件が発生
1979年2月 ベトナムのカンボジア侵攻、中越戦争が勃発
1980年5月 韓国で光州事件が発生
1986年2月 フィリピンのピープル・パワー革命によりマルコス政権崩壊
1987年7月 台湾で38年間続いた戒厳令が解除される
1988年8月 ビルマ(現ミャンマー)の8888民主化運動によりネ・ウィン政権崩壊
1989年6月 中国で天安門事件が発生
1997年7月 7月1日、156年間イギリスの植民地であった香港が中国に返還される

出典: 「展覧会の枠組:地図と年表」、『アジアにめざめたら』展図録(東京国立近代美術館、2018年)、11頁。


2. 作品紹介

 0 イントロダクション

1. FXハルソノ(インドネシア, 1949- )《もしこのクラッカーが本物の銃だったらどうする?》 1977-2018年
2. レナート・アブラン(フィリピン, 1953- )《民族のドラマ》、1982年、油彩・カンヴァス、213.4×152.4 cm、ナショナル・ギャラリー・シンガポール

 1 構造を疑う

3. S. プリヤント(インドネシア)《フランス産の帽子》、1976年、壁にドローイング、サイズ可変、ナショナル・ギャラリー・シンガポール
4. イ・スンテク(韓国, 1932- )《川に浮かぶ燃えているキャンバス》、1988年頃
5. パク・ヒョンギ(韓国, 1942-2000)《無題》、1979年、テレビモニター、石、サイズ可変、韓国国立現代美術館
6. タン・ダウ(シンガポール, 1943- )《溝とカーテン》、1979年、インク、鉱物顔料・布、303×144cm, 277×134cm, 236×122cm , 217×110cm, 170×105cm, 138×94cm, 135×89cm、ナショナル・ギャラリー・シンガポール
7. オノ・ヨーコ(日本/アメリカ, 1933- )《カット・ピース》、1965年、16ミリフィルム、モノクロ、サウンド、8’14’’、作家蔵
8. ソン・ドン(宋冬, 中国, 1966- )《ヤカン一杯の熱湯》、1995年、ゼラチン・シルバー・プリント(12点)、各33.3×50 cm、個人蔵

 2 アーティストと都市

9. パク・プルトン(韓国, 1956- )《コカ・コーラ火炎瓶(モロトフ・カクテル)、1988/2018年、インクジェット・プリント、144×106 cm、作家蔵
10. タン・ダウ(シンガポール, 1943- )《彼らは犀を密猟し、角を切ってこのドリンクを作った》 1989年
11. ワン・ジン(王晋, 中国, 1962- )《氷 1996, 中原(中国)、1996/2005年、ゼラチン・シルバー・プリント(7点)、各129×98 cm、ペキン・ファイン・アーツ
12. 羽永光利(1933- )《全裸防毒面歩行儀式》、1967/2018年、ゼラチン・シルバー・プリント、各22.2×33.5cm
13. リン・イーリン(林一林, 中国, 1964- )《広州市林和路を安全に渡る》、1995年、ヴィデオ(デジタル変換)、カラー、サウンド、36’00’’、作家蔵

 3 新たな連帯

14. パブロ・バエンス・サントス(フィリピン, 1943- )《マニフェスト》、1987年、油彩・カンヴァス、130×162 cm、作家蔵
15. チェ・ミンファ(韓国)《光州モニュメントの習作 II》、1987年、油彩・カンヴァス、130×162 cm、作家蔵
16. ジャン・ホワン(張洹, 中国, 1965- )《無名の山を1メートル高くする》、1995年、ヴィデオ(デジタル変換)、カラー、サウンド、6’00’’、クイーンズランド州立美術館
17. ブレンダ・ファハルド(フィリピン, 1940- )《インダイ、無理しないで》、1991年、油彩・カンヴァス(3部作のうちの第2部)、121.9×81.3 cm、Tin-aw アート・マネジメント
18. ブレンダ・ファハルド《クララは人形になることを決めた》、1991年、油彩・カンヴァス(3部作のうちの第2部)、121.9×81.3 cm、Tin-aw アート・マネジメント
19. スヴァーイ・ケン(カンボジア, 1933-2008)《1975年4月18日の民衆》、1994年、油彩・カンヴァス、53×63.2 cm、クイーンズランド州立美術館
20. スヴァーイ・ケン《戦闘中のベトナムの飛行機とポル・ポトの兵士、1979年》、1994年、油彩・カンヴァス、53×63.2 cm、クイーンズランド州立美術館


3. まとめ

 ・東アジア現代史

―第二次世界大戦敗戦までの日本による侵略と占領(韓国、満州国、台湾、ベトナム、ラオス、カンボジア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、香港、インドネシア、ブルネイ、ミャンマー)
―ASEANの結成と成長(インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア)
―独立と軍事政権、民主化への道

 ・芸術と政治

―現代史≒政治史を反映した現代アート
―欧米的な市民社会の理想≒現代アート⇔権威主義的なアジアの伝統社会
―表現の自由⇔反社会性
―拝外主義⇔伝統文化の再評価