<第十一講>釜山ビエンナーレ2018


1. 展覧会の概要

 ◆山口→釜山 スライド

釜山=東経129度(東京=139度/山口=131度)
博多-釜山間:3時間5分(BEETLE利用)
人口:349万人(釜山)

 ◆釜山ビエンナーレ2018概要 スライド

周期展
会期: 9月8日~11月11日(65日間)
会場:釜山現代美術館、旧韓国銀行
テーマ:分断されれば立つ/Divided We Stand
参加作家数:66作家(34カ国)
アーティスティック・ディレクター:クリスティーナ・リクペロ
キュレーター:ヨルグ・ヘイザー

 ・釜山ビエンナーレ2018会場

 ◆釜山ビエンナーレにおけるテーマの変遷史

第1回 文化と文化が出会う/Culture Meets Culture(68作品、36ヵ国)
  2002年9月15日~11月22日 エユン・キム
第2回 隙/Chasm(92作品、40ヵ国)
   2004年8月21日~10月31日 テマン・チョイ
第3回 あらゆる場所に/Everywhere(134作品、22ヵ国)
   2006年9月16日~11月25日 マヌ・D・パク
第4回 経費/EXPENDITURE(92作家、22ヵ国)
   2008年9月6日~11月15日 ウォンバン・キム
第5回 進化の中に生きる/Living in Evolution(158作品、72作家、23ヵ国)
   2010年9月11日~11月20日 東谷隆司
第6回 学びの園/Garden of Learning(404作品、114作家、22ヵ国)
   2012年9月22日~11月24日 ロジャー・ブーゲル
第7回 世界に居住する/Inhabiting the World(499作品、161作家、30ヵ国)
   2014年9月20日~11月22日 オリヴィエ・カペラン
第8回 ハイブリッド化する地球、議論する群衆/Hybridizing Earth, Discussing Multitude(316作品、121作家、23ヵ国)
   2016年9月3日~11月30日 ユン・チェガブ
第9回 分断されれば立つ/Divided We Stand(125作品、66作家、34ヵ国)
   2018年9月8日~11月11日 クリスティーナ・リクペロ

 ◆チョイ・テマン(釜山ビエンナーレ事務局長)「分断を超えて 」

“The first significant meaning of ‘Divided We Stand’ is an attempt to subvert the political slogan of ‘unity’ that was created and encouraged for the survival of communities, such as nation states.”

「分断されれば立つ」の1つ目の重要な意味は、国民国家のような共同体の存続のために案出され、称揚されてきた政治的な合言葉である「団結」をひっくり返そうとする試みであることだ。

“The monster of the Cold War—which contrived to divide, partition, and separate—has not disappeared and is threatening our lives by building strength under the banner of globalization and neoliberalism. Many of the artworks presented at the festival express deep thoughts and concerns about this problem as well as offering resistance.”

分断や孤立化、差別などを企んできた冷戦という怪物は消滅せず、グローバル化や新自由主義といった旗印のもとで力を増し、私たちの生活を脅かし続けている。芸術祭に展示されている作品の多くは、この問題をめぐる深い思索や関心を表しているだけでなく、抵抗手段を提案しているものさえある。

出典:Foreword: Choi Tae Man, Beyond the Divisions <http://2018.busanbiennale.org/busan-biennale-2018/foreword?lang=en> (2018/12/17)

 ◆DMZ(非武装地帯, Demilitarized Zone) スライド

・戦争や紛争の状態、または停戦状態にある2つ以上の国家や軍事勢力の間に協定等によって設定される軍事活動が許されない地域。多くは、事実上の国境である停戦ライン(軍事境界線)の周辺に設けられる。非武装中立地帯、中立地帯(Neutral Zone)ともいう。

・韓国と北朝鮮の間の軍事境界線周辺(1953年設定)のほか、キプロス共和国と北キプロス・トルコ共和国の間(1974年設定)、クウェートとイラクの間(1991年設定)などにも存する。

・朝鮮半島のDMZは、朝鮮戦争の休戦 ラインであり、北緯38度線付近であることから、日本では「38度線」とも呼ばれる(韓国では「38線」)。長さ約248km、幅約4km。

参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/非武装地帯, https://ja.wikipedia.org/wiki/軍事境界線_(朝鮮半島) (2018/12/17)

 ◆韓国のDMZについての映画 スライド

・韓国映画「JSA」(2000年公開) ※Joint Security Area


2. 分断された世界

1. クォン・ハヨン(韓国, 1981- )《489年間》、2016年
2. ユ・ヨンボク(韓国, 1958- )&キム・ヨンテ(韓国, 1946- 2014 )《こだま―DMZ》、2011年
3. チェ・ワンジュン(韓国, 1979- )《国際親善》、2017-18年
4. ジャン・ペイリー(張培力, 中国, 1957- )《一時的に開放された景勝地》、2018年
5. ヤエル・バルタナ(イスラエル, 1970- )《地獄》、2013年
6. エイドリアン・パイパー(アメリカ, 1948- )《団結》、2005年


3. 分断への抵抗

7. ケルヴィン・キョン・クン・パク(韓国, 1978- )《軍隊:600,000人の肖像》、2018年
8. チョン・ミナ(韓国, 1973- )《ミサイルよ、さようなら》、2018年 スライド
   《三美神》、2014年
   《リル・キム》、2014年
   《幸せな北朝鮮の子どもたち》、2015年
   《一緒にチョコパイを食べよう》、2018年
   《オンマ・マスゲーム》、2018年
   《USBインターヴェンション・レクチャー》、2017-18年
9. イム・ミヌク(韓国, 1968- )《もしの約束》、2018年
10. ハビエル・テジェス(ベネズエラ, 1969- )《無の上を飛んだもの(失われた弾丸)、2005年
11. 田村友一郎(1977- )《蜘蛛の糸》、2018年


4. まとめ

 ・釜山ビエンナーレの変遷史

―グローバル化する社会について問うテーマが多い
―第5回展以降、国外のキュレーターを芸術監督に抜擢
―光州ビエンナーレ(1995年開始)→アジア文化センター(2015年開館)
―釜山ビエンナーレ(2002年開始)→釜山現代美術館(2018年開館)

 ・分断された社会

―韓国国内での分断を主題とする作品
―国外の分断の事例(イスラエルとパレスチナ、米国とメキシコ)
―冷戦の余波/グローバル化
―沖縄の基地問題、在日朝鮮人、アイヌへの補償問題
―被災者と未災者


辺野古埋め立て中止嘆願署名 to ホワイトハウス 「WE the PEOPLE」 スライド

Stop the landfill of Henoko

Oura Bay until a referendum can be held in Okinawa

https://petitions.whitehouse.gov/petition/stop-landfill-henoko-oura-bay-until-referendum-can-be-held-okinawa

※2019年1月7日までに10万署名目標のところ、207,593署名が集まった