美学・美術史概論(美術史) 二〇一九


<第六講> ベルリン、国立美術館絵画館、ほか

ヨーロッパ地図

◆EUの「首都」―ベルリン

・プロイセン王国の首都プロイセン王家の美術蒐集→博物館島ムゼウムスインゼル=世界遺産)

・「シュプレー河畔のアテネ」

・「ベルリンの壁」(1961年8月〜1989年11月)

・1990年10月3日、ドイツ再統一

・東西ベルリンと美術館の再編

・ベルリン国際映画祭/金熊賞(2002年 千と千尋の神隠し)

チェックポイント・チャーリーとベルリンの壁

チェックポイント・チャーリー


◆プロイセン王家

・1701年 フリードリヒ1世が初代プロイセン王となる。

ベルリン芸術アカデミーやベルリン学術協会の創設

リーツェンブルク宮殿(現シャルロッテンブルク宮殿)の造営など学芸を奨励

・大王フリードリヒ2世(哲人王)の時代に全盛期を迎える(在位1740-1786)。サンスーシ宮殿(ロココ建築)の設計も一部手掛けた

・1830年、旧博物館(アルテス・ムゼウム)設立

・1841年、フリードリヒ・ヴィルヘルム4世(在位1840-1861)がシュプレー川の中洲を「芸術と科学のための地域」に指定

・1918年のドイツ革命で王政が廃止され、皇帝ヴィルヘルム2世がオランダへ亡命、プロイセン文化財団の管理下に


ベルリン主要部地図

博物館島

1999年 世界遺産登録

1. 旧博物館(アルテス・ムゼウム):古代ギリシア美術
2. 新博物館(ノイエス・ムゼウム):古代エジプト美術
3. ペルガモン美術館:ペルガモンの大祭壇
4. ボーデ美術館:中世彫刻
5. 旧国立美術館:ドイツ・ロマン主義絵画

博物館島

新博物館(ノイエス・ムゼウム)

51. ネフェルトイティ王妃胸像、新王国 第18王朝、紀元前1340年頃、テル・アル=アマールナ、トトメスの工房址出土、石灰岩、彩色、高さ48cm、新博物館(ノイエス・ムゼウム)

51 ネフェルトイティ王妃胸像 左側面と正面

博物館島

ペルガモン美術館(1), (2)

52. ペルガモンの大祭壇、紀元前165-150年頃、トルコ、ペルガモン(現ペルガマ)出土、大理石、高さ230cm、ペルガモン美術館

52. ペルガモンの大祭壇(部分1)、「階段北側フリーズ:海の神々と巨人族の戦い」

52. ペルガモンの大祭壇(部分2)、「東側フリーズ:ゼウスと巨人族の戦い」

52. ペルガモンの大祭壇(部分3)、「東側フリーズ:アテナと巨人族の戦い」

博物館島

ボーデ美術館

53. ミヒェル・エアハルト《外套の聖母》、1480年頃、菩提樹、高さ135cm、ボーデ美術館

53. ミヒェル・エアハルト《外套の聖母》(部分:聖母)

53. ミヒェル・エアハルト《外套の聖母》(部分:信者たち)

美術用語R  ミゼルコルディア

博物館島

旧国立美術館(アルテ・ナチオナルガレリー)

54. フリードリヒ《海辺の修道士》、1808-10年、油彩・カンヴァス、110×171.5cm、旧国立美術館

フリードリヒ作品の展示風景


ベルリン主要部地図

絵画館(ゲメルデガレリー)

・13-18世紀のヨーロッパ絵画約2,700点を所蔵
・1815年以降、プロイセン政府による体系的収集
・フリードリヒ・ヴィルヘルム3世 (プロイセン王)が庇護
・ポーランドからの略奪美術品含む
・第二次大戦後、アメリカ、ソ連にコレクションを押収され、米国分は返還されたが、ソ連分は返還されなかった

55. ルーカス・クラーナハ《若返りの泉》、1546年、油彩・板、122.0×186.5cm、国立美術館 絵画館

55. ルーカス・クラーナハ《若返りの泉》 (公式サイトの画像との合成) ※色味の違いに注目

55. ルーカス・クラーナハ《若返りの泉》 (部分1), (2), (3)

クラーナハ作品の展示風景

56. シモン・ブーエ《ヴィーナスの化粧》、1625/27年、油彩・カンヴァス、135.0×98.0cm、国立美術館 絵画館

美術用語S アフロディテ

57. カラヴァッジョ《愛の勝利》、1601-02年、油彩・カンヴァス、156×113cm、国立美術館 絵画館

カラヴァッジョ 《愛の勝利》とミケランジェロ 《勝利》

シモン・ブーエ、カラヴァッジョ作品の展示風景

美術用語㉑ バロック美術


美術史の方法論D 世紀毎に傾向を把握する

・13-14世紀:ゴシック

・15世紀:ルネサンス

・16世紀:盛期ルネサンス、マニエリスム

・17世紀:バロック

・18世紀:ロココ、新古典主義

・19世紀:ロマン主義、印象主義、象徴主義


58. レンブラント《プロセルピナの略奪》、1630年、油彩・板、83.0×78.0cm、国立美術館 絵画館

58. レンブラント 《プロセルピナの略奪》(部分)

59. ヘラルト・テル・ボルフ《父の訓戒》、1654/55年、油彩・カンヴァス、71.4×62.1cm、国立美術館 絵画館

テル・ボルフ作品の展示風景

60. フェルメール《真珠の首飾りの女》、1662-65年頃、油彩・カンヴァス、55.0×45.0cm、国立美術館 絵画館

60. フェルメール 《真珠の首飾りの女》(部分)

美術用語㉒ ヴァニタス

フェルメール展(2018年、東京)での展示順

卒論のヒント E 17世紀オランダ絵画の寓意と擬人像


まとめ

・EUの「首都」ベルリン=かつてのプロイセン王国の首都

・東西ベルリン再統合後の美術館コレクションの再編

・新博物館(ノイエス・ムゼウム)

・ペルガモン美術館

・ボーデ美術館

・旧国立美術館

・国立美術館 絵画館(ゲメルデガレリー Gemäldegalerie )

・美術用語:ミゼルコルディアアフロディテバロックヴァニタス

・美術史の方法論:世紀毎の傾向把握=ゴシック、ルネサンス、バロック、ロココ、ロマン主義、印象主義、象徴主義


作家一覧

1.ミヒェル・エアハルト(1440/45-1522)Michel Erhart

2.ルーカス・クラーナハ(父)(1472-1553)Lucas Cranach der Ältere

3.シモン・ブーエ(1590-1649)Simon Vouet

4.カラヴァッジョ(1571-1610)Caravaggio

5.レンブラント(1606-1669)Rembrandt Harmensz. van Rijn

6.ヘラルト・テル・ボルフ(1617-1681) Gerald ter Borch

7.ヨハネス・フェルメール(1632-1675)Johannes Vermeer