2010年は9月にアラスカで開かれた反芻動物繁殖学会で発表したついでに、アラスカの野牛などを見てきました。左の写真が野牛の一種で、もっとも印象深い点は、極地に適応した大型の体(体高2メートル以上)、特に、巨大な頭部と、粗悪な粗飼料を大量に摂取するための大きそうな反芻胃を納める前駆。反対に後駆は前駆に比べると小さく、おそらく雪が深い中でも早く走るためにも有理な、典型的な”前勝ち”の体型です。



翌月の10月には、赤道直下のインドネシアの大学に出張しました。現地の家畜、バリ牛(サピバリ, Sapi Bali)が右の写真です。極地の野牛と赤道直下の牛を比べやすいように、写真を並べてみました。

バリ牛を最初に見た印象は、ウシというよりもシカのように見え、成牛でも体高が1.2メートルという体の小ささが非常に印象的です。一部、現地では、シンメンタール等との交配で体を大きくしようとする試みもされているけれども、この体の小ささや、体の薄さは、暑熱ストレスに対する抵抗性の源でもあるらしく、肉量の不利な点には目をつぶりこれを主要品種として位置づけるというのが現在の主流の考え方のようです。



下の写真は、角川教官(身長172センチ)と比較できる写真です。

インドネシアで興味深かった動物と人間の関係を示す典型的な写真が次です。
インドネシアの道を自動車で移動していると、イヌやニワトリはもちろん、ブタやウシまで自由に放し飼いされています。ウシも下の写真のように、住宅街を自由に動き回り、時には、写真のようにゴミあさりや、花壇の花まで食べてしまいます。いたずらされた人は怒るけれども、動物を自由にしておくという考え方自体は広く容認しているようです。
アラスカの野牛と熱帯の家畜牛
Wild Bison in Alsaka (Huge!), and Domestic Cattle in Indonesia (Tiny!)