アスラフンさんの研究成果が、国際ジャーナルであるAnimal Reproduction Scienceに発表されました。


バングラデシュからの留学生のアスラフンさんの論文が、世界中の繁殖研究者が読むAnimal Reproduction Scienceに発表されました。小さなお子さんを連れて、母子家庭(だんなさんは韓国に留学中)の切り盛りをしながらの仕事です。

   



卵管は、新たな生命の誕生の場という大切な臓器です。すなわち、卵巣から排卵された未受精卵が下降し、その卵子をめざして射出された精子が卵管をのぼります。卵管の状態がよく優れた舞台として働いていて、タイミングよく精子と卵子が出会えれば、受精という生命誕生のためのイベントが起こり、受精卵になり、分割をしながら発生を開始し、胚へと発達していきます。卵管膨大部(Ampulla)は、まさに卵子と精子が出会い、受精をし、卵割をはじめるための舞台です。一方、卵管狭部(Isthmus)は、卵割を開始した初期胚を子宮へ送り届ける場所です。アスラフンさんと牧さんは、そのような重要な卵管には、GMCSFという受精や発生を促進するタンパクが発現していることを明らかにし、そして肥満のウシの卵管膨大部では、正常なウシの卵管膨大部よりも有意に、GMCSFのmRNAやタンパクの発現量が低下していることを発見して、報告しました。

左上の図は、卵管膨大部(Ampulla)と卵管狭部(Isthmus)におけるタンパク発現量を、ウエスタンブロット法により比較したものです。痩せているウシ(lean)や正常なウシ(normal)に比べて、肥満のウシ(obese)では、GMCSFの発現量が低下しています。

右上の図は、卵管膨大部の凍結切片を作成し、GMCSFに対する抗体を用いて免疫染色をした写真です。左列は抗体を用いて染色をした組織の低倍率の顕微鏡写真、中列はそれらの高倍率の顕微鏡写真です。右列は、ネガティブコントロールとしての染色の結果です。卵管では、粘膜上皮層でGMCSFが発現をしています。そしてウエスタンブロット法の結果と同様に、痩せているウシ(lean)や正常なウシ(normal)に比べて、肥満のウシ(obese)では粘膜上皮層でのGMCSFの発現量が低下しています。

アスラフンさんは、材料として、ウシの卵管を用いています。大動物であるウシは、ときとしてヒトをはじめとする様々な動物の分野にも貢献する貴重なデータをもたらしてくれますが、この論文もそのような例になります。



具体的には英語アブストラクトは次の通りです。

Suppressed expression of granulocyte macrophage colony-stimulating factor in oviduct ampullae of obese cows.
Nahar A, Maki S, Kadokawa H.

Obese heifers have been found to produce fewer excellent-grade embryos than lean and normal heifers due to unknown mechanisms. Oviducts synthesize granulocyte macrophage colony-stimulating factor (GMCSF) to promote embryogenesis, and GMCSF expression may be down-regulated in the oviducts of obese cows. The present study evaluated the relationship between the degree of obesity and GMCSF expression in the ampullary or isthmic section of oviducts in lean [n=5; body condition score (BCS) on a 5-point scale, 2.5], normal (n=6; BCS, 3.0), and obese (n=5; BCS, 4.0) Japanese Black cows. GMCSF mRNA and protein expression in the ampulla, measured by real-time PCR and western blotting, respectively, were less (P<0.05) in the obese group than in the normal group. mRNA and GMCSF protein did not differ significantly in the isthmus among the three groups. The obese group had less GMCSF immuno-reactivity in the tunica mucosa, the primary site of GMCSF gene expression, of the ampulla than the normal and lean groups. In conclusion, unlike normal and lean cows, obese cows had suppressed GMCSF gene expression in the ampulla.


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