歴史学コース

 過去の人類の歩みの中に現代人の生き方を見いだそうとするものが歴史であります。また、歴史は人間の生き方の鏡であるともいいます。歴史には、人類の英知と愚行、美徳と悪徳、成功と失敗など、今日に直結し、参考となるいろいろな問題がちりばめられています。これらの諸問題の原因・経過・影響などを史料という根拠に基づいて考え、明らかにしようとする学問が歴史学です。歴史に内在するどのような問題を取り上げるかは、歴史に関わろうとする個人(あなた)が、歴史という人類の鏡の中で、何を見出そうとするかによって決まります。歴史ブームという潮流の根底には、歴史の中で息づく人々や事柄が、多くの人に共感を与えるということがあります。歴史を学ぶ喜びは、現在と過去の共感にあります。
 この地球上に存在する(した)いろいろな民族は、それぞれが生活する地域において、民族特有の社会的営みと文化的遺産とを築いてきました。このため、歴史を学ぼうとする学問分野を、人文学部では、「歴史学コース」と称し、対象とする地域を、日本、中国及びその周辺アジア、ヨーロッパ、アメリカなどに大きく分け、講義・講読・演習を通して、皆さんと共に考え、勉学の方向付けの手助けをいたします。以上のように、歴史にちりばめられた人間の営みを学ぶ学問分野が「歴史学コース」です。
 それぞれの地域の歴史と文化の特色はどのように形成されたのでしょうか。ある時代・ある地域の社会的・経済的発展の要因は何であったのでしょうか。過去の歴史は現代とどのように連続し、何を訴えているのでしょうか。このような問題を考えてみませんか。歴史は、尽きることのない泉のように私たちに多くのことを語りかけてくれます。歴史学は、時間と空間の中で人間が織り成す社会や文化を解明する、創造的で興味深い学問です。好奇心と勇気と知性とをもって、新しい歴史を発掘しようではありませんか。


教員紹介(名前をクリックすると、詳しいプロフィールをご覧になれます)

 中村 友博 教授(考古学)

私は考古学の担当で、先史時代の土器の分類学をおもに専攻しています。担当する授業科目には、比較考古学、考古学演習、考古学実習などがあります。実習は発掘調査に必要な測量技術を学習するもので、演習では、発掘して出てきた遺物などを屋内で整理・分析するために文献資料を批判的に取り扱うことを学びます。比較考古学は、特殊な主題についての資料吟味と組織化を講義によって学びます。

 田中 誠二 教授(日本史)

私は日本近世史(信長の頃から廃藩置県頃まで)を専門としており、社会史から政治史まで広く興味を持っております。もっとも得意とするのは、年貢や検地といった石高制の研究です。現在は、地元長州藩をフィールドとすることが多いです。担当授業は史料講読(近世史料の読解)、日本政治・社会史論(私の専門研究)、演習(各自のテーマでの報告と討論)、日本史概論、古文書・古記録(原史料の解読と理解)です。

 纐纈 厚 教授(政治学)

私の専攻分野は歴史学と政治学にわたっています。歴史学分野では、1930年前後の日本政治・軍事史を欧米の政軍関係理論をベースにして研究しています。政治学分野では、権力論や国家論を中心にして、現代社会や現代国家の構造分析をしています。それと関連して、今日における戦争の原因追及と、新しい平和思想の構築に取り組んでいます。また、人権を破壊する差別・貧困・不正抑圧などの「構造的暴力」を、どのようにしたら解消できるのかも考えています。

 橋本 義則 教授(日本史)

日本古代史、特に平安初期政治史を研究しています。飛鳥・藤原宮・平城宮発堀・調査の経験を生かして、文献史料と考古学の発掘成果との融合をめざし、新たな古代史像の構築を図っています。文献史料の少ない古代史にあって、木簡・遺跡・遺物の新資料を活用することは大変意義のあることです。古代律令国家再建期である平安初期政治史を、日記等をも読み解きながら研究していきたいと思っています。

 馬 彪 教授(東洋史)

中国古代史、特に秦・漢・三国時代の社会史を研究しています。秦の始皇帝、漢の武帝、項羽、曹操、劉備、諸葛亮、関羽など、英雄たちがぞくぞくと登場したこの時代について、社会・文化・精神史上の諸問題を取り上げ、中国社会の特質を研究したいと考えています。とりわけ、秦漢時代における民間豪族社会や官僚士大夫階層の研究を中心として、中国古代社会の成立・展開・崩壊の過程を、その基層社会の構造から国家構造に至るまで全面的に研究しています。同時に、兵馬俑・木簡・帛書や宮殿・城壁など、世界的に注目されている古代中国特有の出土文物と文献資料との融合を目指し、中国古代の人間関係、生活習俗の特徴などに触れ、当時の人々ののもの考え方や精神のあり様などを明らかにしています。

 真木 隆行 准教授(日本史)

日本中世史を担当します。私個人の当面の関心は、鎌倉末期の動向を時代のうねりの中にどう位置づけるかにあり、今は京都の東寺の関係史料などを素材として検討中です。講義内容はこの成果を中心としますが、演習では中世史(院政期・鎌倉期・室町期・戦国期)を専攻する諸君がそれぞれの興味関心を掘り下げ、いい卒業論文を作成してくれるようお手伝いします。従って、古文書の読解力も身につけていただきます。

 滝野 正二郎 准教授(東洋史)

15〜18世紀中国の交通を中心とする社会経済史を専門に研究し、東洋史概説・中国社会経済史論・東洋史史料講読・中国史演習の授業を担当しています。史料講読・演習では、漢文で書かれた史料を学生自ら読解し、それを基礎として立論する力を涵養することを重視した授業を行い、中国社会経済史論では、私個人の研究成果を中心に講義を行います。

 尼川 創二 教授(西洋史)

ソ連は1991年についに崩壊しましたが、私が取り組んでいるのは、「ソ連型社会主義」とは何であったかという問題です。とりわけロシア革命前後の時期とスターリン時代を研究しています。この専門研究と関連して、「ヨーロッパ近・現代社会」の明暗という問題にも大きな関心を持っています。演習では、学生諸君が各自関心ある西洋史上のテーマについて発表したのち、全員で討議します。独書・仏書・露書講読(選択)も行います。

 藤永 康政 准教授(西洋史)

第2次世界大戦後のアフリカ系アメリカ人の運動を専門にしています。中でもとりわけて関心があるのが、ブラック・ナショナリズム(汎アフリカニズム)の展開であり、基本的に“モダン”な運動であった南部公民権運動が、およそ1966年を境にポストモダン的傾向を強めていくモメントに現在の研究の焦点をもっていっています。

 村田 裕一 准教授(考古学)

考古学は、「モノ」と対話する学問です。考古学が対象とするのは、数百年・数千年・数万年の長い間地中に埋もれていたモノなのです。対話の手法は様々で、古典的な方法から最新の科学技術を使った方法まで多種多様です。しかしどのような方法を使うにしても、基本となるのは、対象をよく観察することでその本質を見極め、そこに論理的な意味を見出すことです。私の授業では、講義・演習・実習を通してこのような基本的方法を学んでゆきます。素材として、私が研究対象としている石器・金属器・ガラスといった考古遺物を中心に取り扱います。