講座・教員紹介

山口大学医学部医学科の教育研究講座をご紹介します。

神経生理学(旧 生理学第二)

Physiology

平成29年5月1日作成

顔写真:美津島 大 教授

教授名
美津島 大
講座のメンバー
美津島 大,木田 裕之,石川 淳子,﨑本 裕也
医学科担当科目
内分泌系,中枢神経系,自己開発コース,修学論文テュートリアル,Open Science Club,SCEA/AMRA
大学院担当科目
システム神経科学特論Ⅰ,システム神経科学特論Ⅱ
居室
基礎研究棟3階
TEL
0836-22-2211
FAX
0836-85-3726

講座の紹介

皆さんはそれぞれ,過去に経験した重大な出来事について,「いつどこで何をしていたか」「自身の感情がどの様な状態であったか」を鮮明に記憶していると思います。脳は環境から様々な情報を受け取り,海馬は上記のエピソード記憶の形成に中心的役割を持ちます (Scoville and Milner, 1957)。海馬には,自分の位置に関する情報 (Wills et al, 2010),一日の時間に関する情報 (Mitsushima et al, 2009),自身の情動に関する情報 (Chen et al, 2009)が集まっていることが解ってきました。また,特定のエピソードの記憶と想起の両方の反応するニューロン群も存在します (Gelbard- Sagiv et al, 2008)。我々の研究で,海馬のCA1ニューロンにおけるAMPA受容体の興奮性シナプスへの移行がエピソード維持に必要であることも解りました (Mitsushima et al, 2011)。さらに,エピソード学習はAMPA受容体を介する興奮性シナプスのみならず,GABAA受容体を介する抑制性シナプスも多様に強化するため,一つ一つの海馬ニューロンは多様なシナプス入力を示しました(Mitsushima et al,2013)。ただ,記憶断片がどの様に統合され一つのエピソードとなるのか?統合的な記憶のメカニズムはほとんど解っていません。

本研究室では,ラットを用いて遺伝子導入や学習実験を行い,スライスパッチクランプ法,in vivo ニューロン発火活動記録法,in vivo マイクロダイアリシス法を用いて,学習や記憶のシナプス・分子レベルでの機序解明を目指しています。

References

Scoville WB & Milner B. J Neurol Neurosurg Psychiatry, 20: 11-21, 1957.
Wills TJ, Cacucci F, Burgess N, O'Keefe J. Science, 328: 1573-76, 2010.
Mitsushima D, Takase K, Funabashi T, Kimura F. J Neurosci, 29: 3808-15, 2009.
Chen G, Wang LP, Tsien JZ. PLoS ONE, 4: e8256, 2009.
Gelbard-Sagiv H, Mukamel R, Harel M, Malach R, Fried I. Science, 322: 96-101, 2008.
Mitsushima D, Ishihara K, Sano A, Kessels HW, Takahashi T. Proc Natl Acad Sci USA, 108: 12503-508, 2011.
Mitsushima D,Sano A,Takahashi T. Nature Communications,4: 2760doi:10.1038/ncomms3760,2013.

 

遺伝子導入法とパッチクランプ解析

In vivoマイクロダイアリシス法

海馬CA1ニューロンにおける学習仮説

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