山口大学医学部医学科の教育研究講座をご紹介します。
令和4年8月1日作成
担当する専門分野は消化器内科学であり,消化器病学,肝臓病学,胆道膵臓病学(消化,吸収,代謝制御,ウイルス学),内視鏡学(光学医療診療部),腫瘍学,漢方医学,再生医学と多岐にわたります。
近年の消化器内科領域での技術革新は目覚ましく,当教室では,カプセル内視鏡,小腸ダブルバルーン内視鏡の導入により,全消化管(食道~胃~小腸~大腸)の内視鏡治療が可能になりました。また,早期胃癌,食道癌に対する内視鏡的粘膜剥離術,胆膵疾患に対する超音波内視鏡検査を使った生検や減黄術,肝癌に対するラジオ波焼灼療法~経カテーテル治療~分子標的薬/肝動注化学療法,門脈圧亢進症に対する内視鏡治療(食道・胃静脈瘤治療)~経カテーテル治療(バルーン下逆行性経静脈的塞栓術)などの先進的な診療を行っています。
医学教育においては,展開系講義や病棟実習などの中でこれら最新かつ専門的な医療技術に接する機会を数多く提供するとともに,生命活動の根源である「消化吸収」という分野を通じて,プライマリからサブスペまで幅広い知識の習得を目指しています。また臨床研修医や内科専攻医の指導も積極的に行い,県内はもとより日本そして世界で活躍できる医療人の育成に努めています。
研究においては,上記の専門的医療技術の発展と新たな治療法の開発のため,多くの基礎研究や臨床研究を行っています。その成果のひとつには,肝硬変症に対する再生療法があります。これまでに「自己骨髄細胞投与療法」を世界に先駆けて開発し,先進医療Bとして認可されました。さらに現在は,培養自己骨髄細胞を用いた「自己完結型肝硬変再生療法」を開発し,医師主導治験として実施中です(http://www.hosp.yamaguchi-u.ac.jp/news/news/post_375.html)。このような一連の研究成果はnature誌に「肝硬変症が可逆的で治療可能である」として紹介されました(nature outline: https://www.nature.com/collections/ycpfrvtnhj)。その他にも,治療抵抗性の進行肝癌に対して,独自に開発した鉄キレート剤治療が"The New England Journal of Medicine"に掲載されています。このように当科では臨床への橋渡し研究を行うために,教室員が一丸となって取り組み,国内外の大学と幅広く連携しています。研究室には,これまでにブラジル,エジプト,インド,韓国,ロシアからの研究者が来日し,一緒に開発研究を行っています。
当科は,‟全員がそれぞれに夢をもち,それを実現する"ため,それぞれの個性と協調を発揮するオーケストラのような教室を作ることを目標に運営しています。いい音色を作る中で,‟山口県はもとより県外の大学,研究機関,病院,地域医療のリーダーを輩出できる教室にしたい"と思っています。