講座・教員紹介

山口大学医学部医学科の教育研究講座をご紹介します。

高次脳機能病態学(旧 神経精神医学)

Neuropsychiatry

令和4年8月1日作成

顔写真:

教授名
中川 伸
講座のメンバー
中川 伸,松原 敏郎, 樋口 文宏,原田 健一郎,小林 正明, 萩原 康輔,陳 冲,富永 香菜
医学科担当科目
高次脳病態系,加齢・老年病態系,自己開発コース,修学論文テュートリアル,AMRA,臨床実習
附属病院診療科
精神科神経科・心療内科
居室
臨床研究棟9階
TEL
0836-22-2255
FAX
0836-22-2253

講座の紹介

 患者さんの気持ちを理解し信頼関係を築けるよう,豊かな人間性・共感性と科学的思考を兼ね備えバランスのとれた医師育成を目指した学生教育に力を入れています。精神薬理学や神経科学的な基礎知識をまず身につけ,次に患者さんの心理社会的背景に配慮しつつ、科学的思考に基づいた治療計画を立てられるようになることが目標です。
 医学科3年生時の自己開発コースでは、当講座の研究グループに参加するほかに、学外の児童養護施設での実習・調査や国内外の先進的な研究施設での研究に携わることもできます。医学科4年生ではユニット講義を通して、精神医学や精神科医療に関する総合的な知識を学んだうえで臨床実習1(ポリクリ)に臨み入院患者1名を担当します。その他、外来初診患者の予診と本診陪席、学外実習(作業所)、症例報告会への参加を通じて、精神医学的現在症や状態像が理解できるようになります。医学科5年生の臨床実習2(クリニカルクラークシップ)を選択すると、入院患者複数名の「副担当医」となり診断過程の検討や適切な治療計画を担当医と策定するなど、診療により深く関わります。その他、外来初診患者の予診、リエゾン初診患者の診察の陪席、緩和ケアチームへの参加、学外実習(山口県立こころの医療センター、高嶺病院)など、より深く精神科臨床を経験できるバリエーション豊かな実習内容を用意しています。
 当講座の研究部門は3つのグループに分かれており、日常臨床で生じた臨床疑問を解決するための幅広い経験と技術が集積された場での研究が可能です。

<遺伝子・生化学グループ>
 うつ病などの気分障害は、原因がまだ十分に解明されておらず、診断できる検査方法もほとんどありません。うつ病の発症は、生物学的要因や心理学的要因に加えてストレスなどの環境要因の作用が考えられています。ストレスの影響に対する脆弱性や、予防・緩衝要因として抵抗力・回復力の生物学的基盤を解明することで、気分障害の診断に有用なバイオマーカー(遺伝子やたんぱく質)を同定し、ストレス関連精神疾患の発症・回復機序の理解をめざしています。

<認知機能・画像グループ>
 脳画像研究では、個々の患者さんに対する最適な治療法の確立を目指し、精神疾患の診断、病態解明、治療反応性、予後予測などに関するトランスレーショナルリサーチに力を入れています。具体的な研究手法としては、意思決定や情動認知などの認知・行動心理学的な実験課題を行いながら、機能的核磁気共鳴画像(fMRI)や光トポグラフィー(fNIRS)などの神経画像技術を用いて脳内をスキャンし、認知・行動心理学と神経画像に基づいた指標によって客観的に脳機能を評価し、実臨床で応用できる精神疾患のバイオマーカーの開発を行っています。

〈疫学治療研究グループ〉
 疫学研究とは、多数の人の情報を集め、健康や病気に関連するリスク因子と転帰の関連や、介入の有効性を分析し、その結果を、実臨床での病気の治療や予防に役立てる研究です。当科で実際に経験された臨床のデータを集め、解析しています。具体的には、大学生やがん患者さんのメンタル不調に関連するリスク因子、摂食障害の患者さんの退院後の再入院に関連するリスク因子、アルコール使用障害の入院患者の退院後の再飲酒のリスク因子(アルコール治療専門病院の高嶺病院との共同研究)などを現在、検討しています。


 

臨床カンファレンス

学生さんを交えた研究カンファレンス

 研究室での直接指導

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