山口大学医学部医学科の教育研究講座をご紹介します。
令和4年8月1日作成
当教室は「すべてのこどものために」をキャッチフレーズに、診療・研究・教育に長けた小児科医の育成を目指しています。小児科は、新生児から成人に至るまでの"こどもの総合診療科"です。発症する病気の種類と性質は成人と大きく異なり、年齢によっても変化するため、各専門領域の幅広い知識と技術が必要です。また、母親と接触する機会が多いことから、子どもの教育、心理面での相談を受けることもあります。
診療において、すべてのスタッフは一般小児疾患の診療と各分野の専門診療を行っています。各専門領域の診療については、それぞれの専門施設等で研修を終了した上で専門外来および重症の入院患児の治療にあたっています。超音波検査、電気生理検査(脳波、各種誘発電位、末梢神経伝導速度など)、呼吸機能検査、筋生検、腎生検、食物負荷試験などの検査を随時施行するだけでなく、当教室ではフローサイトメーターを用いた末梢血の免疫担当細胞の機能解析やサイトカイン測定なども行い、診療に役立てています。また、血液・悪性疾患に対する化学療法、新生児低酸素性虚血性脳症および急性脳炎/脳症に対する脳低温療法、川崎病などに対する血漿交換療法、新生児でのNO吸入療法、食物アレルギーに対する経口免疫療法などの特殊治療も行っています。小児の疾患は多岐にわたりますので、専門分野に偏ることなく総合的に治療することが重要で、1つの疾患にとらわれずに患児1人をスタッフ全員できめ細かく診療することが大切と考えています。さらに、患児とご家族へのメンタルケアにも配慮できる丁寧な診療を心がけています。
研究においては、診療に役立つ研究 (トランスレーショナルリサーチ) を主体に行っています。小児科は幅広い領域をカバーしており、多くの専門分野がありますが、中でも病態に炎症が関わる疾患は、小児患者全体の約9割とも言われています。最も多いのが感染症であり、アレルギー疾患が続きます。その他自己免疫疾患や川崎病など多くの疾患が含まれます。当教室では「小児における感染症、免疫、アレルギーなどの炎症性疾患の病態解析とその制御」をメインテーマに、臨床および基礎研究を行っております。具体的な研究テーマは、各専門分野が独創性を持って追求し、国内外の大学・研究機関と共同研究も行い、世界に通用する研究を行っています。新しい知見を"山口から世界へ"情報発信できることを目指しています。