山口大学医学部医学科の教育研究講座をご紹介します。
令和4年8月1日作成
当講座は昭和20年に開講し、平成14年より5代目の濱野公一教授が主宰しています。現在医局員は103名であり、学内に30名、学外の関連病院に73名が勤務しています。当講座では、「優れた臨床外科医を養成することを主眼とするとともに、社会人としても常識を備えた全人的教育」を教室開講以来のモットーとしています。当講座は総合外科の形態を今も維持しており、心臓班、血管班、呼吸器班、消化器・一般外科班、小児外科班で構成されています。山口大学が地方大学であり、県内には第一外科の関連病院が多く存在するため、それらの関連病院を維持し、地域医療を展開していくには、外科学全般をカバーする必要があるからです。また昨今では、医療体系があまりにも細分化された結果、専門分野間のギャップが社会問題化し、プライマリ・ケアの重要性が声高に叫ばれています。このような現況において、当科は前述の通り外科学臨床の全てを網羅しており、「プライマリ・ケアから専門分野へと一貫した臨床外科医養成の場」として、絶好の環境を備えています。単科で外科学会の専門医を修得できる科は、日本広しといえど、多くはなく貴重と考えております。
また当講座では臨床はもとより研究活動も活発に行っております。当講座の特徴としては、臨床講座でありながら基礎研究を主に行う研究班を設け、専属のスタッフを配置していることです。研究班は、医学部出身のみならず、バックグラウンドが異なるメンバーから構成されています。その分、自分自身で思いつかなかった視点からアイディアを得ることができ、お互いにプラスの作用が働いています。また、当講座は、ラボと臨床との距離が近く、トランスレーショナル(橋渡し)研究や臨床検体を用いた研究を行うことができ、研究を幅広く展開することが可能な環境になっています。
現在、15件の科学研究費受託研究が進行中で、その他にも幾多の競争的外部資金を獲得致しております。具体的には、機能増強させた細胞由来のエクソソームを用いたcell-free血管再生療法の開発、血管再生因子を搭載した人工型エクソソームによる難治性心疾患の新規治療法の開発、大動脈瘤の退縮治癒を促進する力学刺激‐免疫連関制御療法の創成、虚血プレコンディショニングによるステントグラフト内挿術後臀筋虚血障害の克服、他家積層線維芽細胞シート移植が術後気管支断端にもたらす血流増強効果の検討、他家細胞を用いた機能強化型積層細胞シートによる難治性皮膚潰瘍の治療法の開発など、臨床へ直ちにフィードバックできる研究を中心に行っております。