山口大学医学部医学科の教育研究講座をご紹介します。
令和4年8月1日作成
泌尿器科とは,副腎,腎臓,尿管,膀胱,尿道などの後腹膜臓器および精巣,前立腺などの男性性腺疾患に対して,主に外科的治療を行なう専門性の高い分野です。人口の高齢化に伴って,前立腺癌,膀胱癌や腎臓癌が増加し,排尿障害を有する患者さんも増加しています。ロボット支援手術(da Vinci)の導入により前立腺癌を中心に癌の根治性のみならず低侵襲性と機能温存の両立を図っております。当科の臨床の3本柱は,①尿路性器悪性腫瘍,②腎代替療法,③男性不妊症・小児泌尿器科です。①は膀胱温存療法や5-ALAを用いた光力学的診断・治療などを,②は腎移植を中心とし腹膜透析や腎代替療法選択外来などを,③は非閉塞性無精子症に対するホルモン治療や精索静脈瘤および精路再建手術、また尿道下裂の手術などを中心に活発に取り組んでいます。いずれの分野も,ユニークな治療・診断法として国内外から注目されています。そのほかにも,女性に特有な尿失禁や膀胱瘤などを治療する女性泌尿器科についても多くの手術実績をあげています。
研究面では,①は尿路性器悪性腫瘍の予後予測マーカーの検索を中心とし研究を継続し,国内外で多くの賞を受賞しています。膀胱癌における中心体複製異常の研究は,世界に先駆けて報告され,特許(国内)も取得しました。②は腎虚血再灌流後の腎障害メカニズム解明とその回避という臨床に則した研究を行っています。③は世界で始めて非閉塞性無精子症に対し、ホルモン療法による精子形成に成功し、メディアでもしばしば紹介されています。男性不妊症の原因や新規治療法解明に向け次世代シーケンサーを用いた基礎研究を行い,世界的な評価を得ています。
これらの疾患に対して現在行なわれている治療,診断の改良および疾患発生原因を解明するために,得られた治療結果を正しく理解し,臨床的分析および分子生物学的手法を用いて研究することを理念の一つに挙げ,外国との継続的な交流を盛んに行っているのも当分野の特徴です。また毎年国際学会でも多くの発表を行っております。
泌尿器科の特徴は,アットホームな雰囲気でオンとオフの切り替えをしっかりするところです。年1回の医局旅行や飲み会,同門会ゴルフコンペでは大いに盛り上がります。興味のある方は,是非ホームページをご参照ください。