山口大学医学部医学科の教育研究講座をご紹介します。
令和4年8月1日作成
当講座では、地域の基幹病院として、婦人科悪性腫瘍分野、周産期分野、不妊・生殖内分泌分野で高度な医療・研究を行っています。
婦人科悪性腫瘍分野では、診断から治療まで包括的な医療を提供するとともに、それぞれの患者さんの状態に応じて、手術療法、化学療法、放射線療法などの治療法を適切に組み合わせた集学的治療を行っています。また、腹腔鏡下手術やロボット手術といった低侵襲手術の導入にも積極的に取り組んでいます。最新のエビデンスに基づいて当科での治療方針を定め、過不足のない治療を安全に行うことをモットーとしています。また、県内唯一の早期子宮体癌に対する腹腔鏡下手術を行っています。
周産期分野では、正常妊娠、ハイリスク妊娠、合併症妊娠に対して、先端の周産期医療を行っています。分娩監視装置や呼吸循環モニターを備えたMFICU(母体・胎児集中管理室)を開設し、これまでにあったNICU(新生児集中治療管理室)と合わせて、24時間体制で母体および新生児の搬送を受け入れています。「最後の砦」としての役割を果たすべく、日々活発に診療に当たっています。また全国で9カ所の施設でのみ治療可能である双胎間輸血症候群に対する胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術を行っています。
不妊・内分泌分野では、不妊症をはじめ、ホルモン異常、月経異常、子宮内膜症、子宮の先天奇形といった生殖領域の広範な問題に対応しています。若年者の月経異常に関しては、分子生物学的手法を用いたDNAレベルでの高度な診断を独自に行っています。また不妊症では一般不妊治療のほか、腹腔鏡や子宮鏡などの内視鏡を用いた治療、さらには体外受精、顕微受精といった生殖補助医療も積極的に行っています。さらに当科での研究結果から、卵の質を向上させる目的でメラトニンを投与し、良好な成績を得ています。
講座内のミーティングとしては、週1回の病棟回診、週2回の病棟カンファレンスと、最新の医療情報を得るための週1回の抄読会を行っています。また、研究室では月1回のリサーチプログレスの発表会を開き、お互いの研究を検討し合っています。
臨床に重点を置く者は、病棟や外来で臨床の研鐙に努め、研究に興味を持つ者は大学院に進学します。この大学院でのテーマは、産科婦人科学の中でも最も議論が盛んに行われている最新領域から、本人の希望も考慮して決められます。現在は、大学院修了後も研究に重点を置いている者、大学院で培った知識や思考法を臨床で活かしている者、臨床で卓越した経験と知識によりエキスパートになっている者が、互いに協力して教室を支えています。