山口大学医学部医学科の教育研究講座をご紹介します。
令和4年8月1日作成
歯科口腔外科が担当する歯と口腔領域は、消化器と呼吸器の入り口にあたり、哺乳、咀嚼、嚥下、発音、呼吸という重要な機能を司っています。また、審美性や整容性といった形態的な問題も生じる領域です。
歯科口腔外科が対象とする疾患は、口腔癌、顎変形症、口唇口蓋裂が中心となり、顎顔面の外傷や顎関節疾患、口腔粘膜疾患、口腔感染症等が対象となります。顎顔面の形態と機能の高度な回復を目標とし、各疾患に対して専門外来を設け、そして標準治療をベースとした治療体系の確立を図り、治療成績の向上を目指しています。また、医学部附属病院における歯科口腔外科の重要な役割として、周術期をはじめ、化学療法や移植医療における口腔ケアに力を入れており、さらに、チーム医療として、摂食・嚥下やNSTの活動に参画しています。
教育面では、歯科口腔外科疾患の診断と治療のみならず、口腔内の感染巣と全身との関連、咀嚼や嚥下等の口腔機能の維持・改善が健康寿命延伸へ寄与する点は重要であると考えております。また、歯科医師卒後臨床研修の充実を図り、卒後臨床研修の質の向上を目指し、口腔外科専門医・指導医の育成にも力を入れております。
研究面では、基礎研究として、口腔癌に生じる遺伝子異常の機能解析に基づいた新規治療法の開発、抗癌剤による細胞死誘導に関する研究、細胞周期を分子標的とした口腔癌治療への応用を柱として取り組んでおります。近年では、オーラル・フレイルの予防を目標に、網羅的口腔細菌叢解析による疾患特異的な口腔細菌の同定、アミノ酸製剤による口内炎の予防・増悪抑制に関する研究も行っております。臨床研究としては、口腔・顎・顔面の形態と機能の解析法の開発、早期口腔癌に対するセンチネルリンパ節生検の検討、口腔癌治療後の生活の質に関する研究等を行っており、口唇口蓋裂や口腔癌の治療に関する多施設共同研究にも積極的に参加しております。