講座・教員紹介

山口大学医学部医学科の教育研究講座をご紹介します。

先進温度神経生物学

Department of Advanced ThermoNeuroBiology

令和元年7月1日作成

顔写真:

講師名
井上 貴雄
講座のメンバー
医学科担当科目
居室
講義棟B 3階
TEL
0836-22-2295
FAX
0836-22-2294

講座の紹介

 本講座は山口大学大学院医学系研究科脳神経外科(主宰 鈴木 倫保 教授)が20年弱にわたり取り組んできた局所脳冷却による脳神経疾患治療装置の実現を目指し、2019年7月に開設されました。

 本講座では、奈良先端大、京都大学、熊本大学、㈱伸和精工、㈱カネカ等による産学医工連携を基盤とした共同研究開発体制により、医療機器としてはもっとも侵襲性の高いクラスIV(高度管理医療機器)の頭蓋内埋植型の脳冷却装置の開発を目的としています。また、脳冷却の持つ脳保護効果や病態制御能のON/OFFに関わる温度感受性TRPチャネルを薬剤により直接制御することで擬似的に脳冷却効果を発現させる創薬基盤技術の開発も進めています。

 生体の冷却は炎症反応を抑える効果的な手法であるという事実は、一般的にもよく知られており、特にスポーツ外傷における捻挫・打撲・脱臼・骨折などほとんどの外傷に対する基本的処置の1つです。この経験的にも医学的にも効果の知られている生体冷却による炎症反応抑制技術は、様々な疾患や病態への治療に対する応用可能性があります。我々の開発している技術は、てんかんから脳卒中・頭部外傷までの幅広い脳神経疾患に対して脳を直接的に効率よく冷却することで、急性期から慢性期まで幅広く治療につなげようとするものです。

 医療機器・医薬品を上市するためには、臨床上の利益との兼ね合いでリスクが受容できるかどうか、いわゆる「リスク・ベネフィット」の考え方が重要になってきます。脳疾患部位を直接冷却する方法は高い治療効果を得られるものの、やはりリスクを伴います。そこで、本講座が軸となって局所脳冷却の患者さんにとってのリスク・ベネフィットから医薬品・医療機器としての安全性・有効性までを包括的に検討を進め、医療ニーズに立脚した出口戦略により局所脳冷却技術の実用化を目指します。

 

脳状態をモニターするマルチモーダルセンサの開発

疾患部位を選択的に治療するためのチタン製局所脳冷却デバイスの開発

温度感受性TRPチャネルによる創薬基盤技術開発

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