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悪性黒色腫の進展を支える遺伝子発現メカニズムを解明~がんの治療法開発に期待[2022.08.02] [医学部]

 熱ストレスなどによるタンパク質の構造異常に対して、細胞は一群の熱ショックタンパク質(HSP)の転写を誘導することで適応します。この転写誘導はクロマチン構造変化を伴っており、活性化された転写因子HSF1によって制御されます。興味深いことに、活性化HSF1はヒトのがんの発症と進展を支えることも知られています。
 山口大学大学院医学系研究科の藤本充章准教授、中井彰教授らの研究グループは、熱ストレス時に活性化されたHSF1がクロマチン構造変化を引き起こす仕組みを明らかにしました。さらに通常状態のがん細胞では、このHSF1リン酸化を介する仕組みが作動することでその増殖を促進することが分かりました。特に、悪性黒色腫細胞のマウスでの腫瘍形成は、このHSF1リン酸化に強く依存していることを見出しました。本研究結果は、細胞のストレス応答におけるクロマチン制御機構の解明につながる成果であると同時に、リン酸化をターゲットとする悪性黒色腫の新規治療法を提案しています。
 本成果は、2022年7月29日に、英国の国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました(DOI:10.1038/s41467-022-32034-4)。

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