シナシッドはストレプトグラミン系に属し,細菌のリボゾームに作用してタンパク合成を
阻害するdalfopristin とquinupristinが70:30の比率で配合された抗菌薬です。
国内では2002年にバンコマイシン耐性Enterococcus faecium (VREF) 感染症のみの適応で承認されました。 グラム陽性菌に対して抗菌力を持つ特徴がありますが,E. faeciumと同属のE. faecalisは,dalfopristinに対するエフィラックス排出機構があるため
シナシッド自然耐性です。
さて,過去にバンコマイシン耐性腸球菌 (VRE) が出現した背景に,家畜飼料に
成長促進剤として添加されたアボパルシンがバンコマイシンと交叉耐性があり,VRE出現の選択圧となったことは有名です。このシナシッドも,家畜の成長促進剤として使用される
バージニアマイシンが,シナシッド耐性菌出現の選択圧となったことが指摘されています (Lancet Infect Dis 2003: 3, 241-249) 。
バージニアマイシンは鶏と豚の飼料添加物として,現在も国内で使用されています。
臨床分離株中のシナシッド耐性菌の割合ですが,韓国においてE. faeciumに対する
シナシッドのMIC90が,25μg/ml (1998年臨床分離株) → >100μg/ml (2005年) に上昇したことが報告されています (J. Biochem. Mol. Biol. 2007: 40, 881-887) 。
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