Streptococcus bovis は、Lancefield 分類のD群に属するグラム陽性連鎖球菌で、健常人の腸内細菌叢に存在します。
このS.bovis が消化管疾患に関係していることは古くから知られており、マンニトールの
発酵性、β-glucuronidase 活性により生物型I、Ⅱ/1、Ⅱ/2 に分類して疾患との関係を詳細に報告した例は数多くあります。この中で特に注目されたのが1989年のRuoff
らの報告で、
生物型Ⅰによる菌血症患者の94%に心内膜炎があり、71%が大腸癌を合併した報告が
あります(JCM. 27:305-308, 1989)。
今日の「サンフォードガイド 熱病」にも、感染性心内膜炎のコメント欄には、本菌が潜在的な消化管病変を示唆するといった記載がされています。
S. bovis 生物型 Iは2003年の遺伝学的分類により、現在は種名がStreptococcus gallolyticus subsp. gallolyticusに変更されています。
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