Trichophyton tonsurans
は主に頭部白癬の原因となる真菌です。
本菌は、国内では比較的まれに分離されていましたが、2000年以降全国的に柔道やレスリングなどの格闘技競技者に集団感染を起こす例が増加しています。
この理由に、外国人との試合を行うことで海外より持ち込まれたクローンが広がったことが指摘されており、実際、rRNA遺伝子のITS-1領域を比較することで在来株と輸入株との種内多型が証明されています。 近年のペットブームにより、ペットから感染するArthroderma
benhamiae (Trichophyton
mentagrophytesの有性世代の一種)による白癬も注目すべき感染症です。
2003年に発表された日本医真菌学会からの注意喚起では、国内には分布しない本菌が汚染動物の輸入により国内に広まっており、ヨツユビハリネズミ(針毛から高率に分離される)やウサギ、モルモットからの感染の可能性が指摘されています。
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