toxinAとtoxinBを産生し、抗菌薬関連下痢症、偽膜性大腸炎を惹起するC. difficile の現在の検査法は、この2毒素の検出と培養法が中心となっていますが、2毒素の内、特にtoxinB が病原性と関連が深いとされてきました。最近、これら毒素の組み換え体を用いたハムスターモデルでの実験によりtoxinBが病原性に必須であることが証明されています(Nature
2009;458:1176-9)。
さて、2000年以降C. difficileの一部の株(BI/Nap1/027 strain)によるアウトブレイクが、北米、カナダ、英国で問題となっています。この株はtoxinAとtoxinBの産生抑制遺伝子tcdCに変異があり、従来の10倍以上の毒素産生能力と、加えてbinary
toxinという第3の毒素を産生する強毒株であり、重篤な臨床症状と高い死亡率が特徴です。国内ではこれまでに2例が確認されています。
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