淋菌感染症において、確実に治療できることで推奨されているceftriaxone (CTRX) に耐性を示す淋菌が、国内で検出されたことが報告されました。
この株は、性風俗業の女性の咽頭から分離され、CTRX のMICはこれまで報告されている4~8倍高い2~4μg/mlでした。H041と名付けられたこの株は、他のセファロスポリンあるいは別系統にも耐性である多剤耐性菌でした(cefixime:
8, cefotaxime: 8, cefepime: 16, penicillinG: 4, ciprofloxacin: >32,
azithromycin: 1, tetracycline: 4μg/ml )。
多剤耐性淋菌は、ペニシリン結合蛋白 (PBP2) との結合親和性が低下することによる染色体性の耐性機序を持ち、PBP2遺伝子 (penA) の一部が他のナイセリア属菌から遺伝子を寄せ集めたモザイク型変異を起こしていることが知られています。
このH041は、penAの一部にナイセリア属菌ではこれまでに報告されていない新しい変異があり、この遺伝子の伝播が懸念されます。(Antimicrob Agents Chemother.
2011 July; 55(7): 3538–3545.)。
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