K. pneumoniaeは菌体表面にある粘稠性の莢膜多糖体により、食細胞による貪食に抵抗
して病原性を発揮します。この莢膜多糖体の粘稠性が極めて高い株による重篤な感染症が、1990年代より東南アジアに限局して市中感染型として発生していたことが2004年に
報告されました (J Exp Med. 2004;199:697–705) 。
この組織侵襲性が高いK. pneumoniaeは、肝膿瘍、敗血症、髄膜炎、眼内炎などを惹起しやすく、最近ではアメリカ、フランス、および国内においても1例が報告されており (感染症誌 2011;85:366-369)
新興感染症として注目されています。これまでに染色体性のmagAと
プラスミド性のrmpAの2つの遺伝子が高い粘稠性に関係していることが報告されています。
さて、この侵襲性株を見分ける簡便なスクリーニング検査ですが、羊血液寒天培地で一夜培養したコロニーを釣菌し、>5mm糸を引く株が2つの遺伝子の存在と相関があり陽性と
判断されます(string test:粘稠性試験)。
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