示差走査熱量計
理学電機工業株式会社製;DSC8230B
Differential Scanning Calorimeter
Rigaku Corporation; DSC8230B

 温度を変化させることにより、物質に起こる何らかの物性変化(構造相転移、熱変性、融解、結晶化等)を検出して分析を行う方法を『熱分析』と総称するが、示差走査熱量計では熱の出入りの量を測定することができる。 示差走査熱量計は、試料と熱特性が既知である標準物質(おもにα−アルミナ)を温度可変炉にいれ、その雰囲気温度を一定速度で上昇もしくは下降させながら、両者の温度を熱電対を用いて測り、温度差が生じないようにヒーター電流を制御し、試料に供給する熱量速度を記録することにより、定量性を向上させ、温度変化域や昇温速度、降温速度を幅広く変化できるようにし、高い熱量感度の分析を可能としたものである。本装置の通常の使用温度域は、室温から500℃(不活性ガス雰囲気では725℃まで)の範囲であるが、低温用アタッチメントを装備することにより−150℃からの測定が可能となる。

示差走査熱量計の測定原理図

構造相転移に伴う潜熱の測定例

 試料(Rd2Znl4)24mg,昇温速度2K/min での測定結果を示している.
また,図中の1〜3の数字は繰り返し測定の1〜3回目ということを表している.
この図より,この転移の転移エントロピーは13J/K-mol であり,バージン結晶に比べて2回以降の転移では転移温度が10℃高くかつ転移はブロードになることがわかる.