医師国家試験出題基準(H17)と法医学

必修の基本的事項(のうち法医学に関連するもの) 変更のあった部分 

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1 患者の人権、医の倫理 A 医の倫理と医師の義務   基本的人権、患者の権利と自己決定権、informed consent、守秘義務・プライバシー尊重、法の尊守(compliance)
B 医師と患者及び家族との関係 患者 の視点を重視した、社会生活機能を重視した医療、患者・家族の医療への参加、患者の価値観の尊重と自己責任
C 末期患者への対応 身体的苦痛の緩和・除去、精神的苦痛の除去、緩和ケア、ホスピス、尊厳死、安楽死、小児の特殊性
2 社会と医療 A 患者・障害者のもつ心理・社会的問題 疾病・障害の概念と構造、QOL(quality of life)、リハビリテーションの理念、ノーマライゼーション・バリアフリー、患者・障害者の心理、障害者の社会活動
B 保健・医療・福祉・介護・教育の制度と連携 保健・医療・福祉・介護の各職種、地域保健活動の中での各職種の連携、保健・医療・福祉・介護・教育の社会資源
C 先端医療技術の社会との調和 ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針、臨床研究に関する倫理指針、疫学研究に関する倫理指針、遺伝子治療臨床研究に関する指針、遺伝カウンセリング、臓器移植
D 臨床試験と倫理性 第T・U・V・W相試験、ヘルシンキ宣言、GCP(医薬品の臨床試験実施の基準)、IRB(施設内倫理委員会)
3 診療情報と諸証明書 A 診療録、医療記録 診療録・医療記録の管理と保存、診療録の内容、診療情報の開示とプライバシーの保護、問題志向型医療記録(POMR)、電子カルテ 
B 診療に関する諸記録 処方箋、手術記録、検査所見記録、画像記録
C 診断書、検案書、証明書 診断書、出生証明書、死産証明書、死胎検案書、死亡診断書、死体検案書
4 人体の構造と機能 H 終末期 死の三徴候、脳死、異状死体
5 医療面接   プライバシーの保護、解釈モデル、患者・家族の価値観、個別性の理解、患者の満足度、コンプライアンス・アドヒアランス
6 主要症候    
7 一般的な身体診察    
8 検査の基本 C 検査の倫理と安全 患者 ・検体の確認、検査の倫理規定、説明・告知
D 検体の採取 採血、採尿、採痰、穿刺、生検
E 検体の保存 抗凝固薬・血清血漿分離、保存法、保存期間
G 血液学検査 血液型・輸血関連検査
M 病理検査 細胞診、組織診
N 結果の解釈 病歴との関連、症候との関連、パニック値
9 臨床判断の基本 A 根拠に基づいた医療(EBM) 患者の問題の定式化、情報収集法、批判的吟味、患者への適用、研究デザイン 、メタ分析、診療ガイドライン 
B 臨床疫学的指標 内的・外的妥当性、バイアス・交絡因子、アウトカム、信頼区間、検査前確率(事前確率)、感度・特異性、検査後確率(適中度)、尤度比、ROC曲線
C 誤差と精度 正確度、精密度・再現性、変動係数、偶然(偶発)誤差、系統誤差
D 基準値 基準範囲の概念、生理的変動、性差・年齢差、パニック値
E 有効性と効率性 効率とリスク、費用対効果
10 初期救急 A 救急患者の診察 バイタルサインの把握、致死的な病態・疾患・外傷の鑑別、重要臓器機能の障害を招く病態・疾患・外傷の鑑別、緊急治療の要否の判断、部位別治療優先順位の判断
B 基本的な救急処置 1次救命処置、2次救命処置、気道確保、人工呼吸、除細動、静脈路確保、酸素療法、基本的救急薬品、止血法、輸液療法・輸血
C 症状・傷病別の初期対応 心肺停止、失神・意識障害・麻痺、ショック、けいれん、激しい頭痛、高熱、眼の化学的損傷、めまい、呼吸困難、喀血、激しい胸痛、激しい腹痛、嘔吐、吐血・下血・急性消化管出血、下痢・粘血便、誤飲・誤嚥、尿閉、急性腎不全、呼吸器・消化器異物、外傷、熱傷、急性中毒、急性感染症、流早産・正期産、精神科領域の救急
11 主要疾患・外傷・症候群 A 基本的疾患・症候群(46疾患) 悪性腫瘍、
自律神経の障害(血圧調整障害を含む)、緊張性頭痛・片頭痛、脳虚血・脳梗塞、脳出血・くも膜下出血、 脳・脊髄外傷(頭部外傷、急性硬膜外・硬膜下血腫)、
湿疹・皮膚炎症候群・接触性皮膚炎・アトピー性皮膚炎、ウイルス性発疹症(麻疹・風疹・水痘・ヘルペス)、 蕁麻疹、
結膜炎、白内障、緑内障、急性中耳炎、アレルギー性鼻炎、良性発作性頭位眩暈症、
上気道炎・扁桃炎・急性気管支炎・急性細気管支炎、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)・気管支拡張症、肺炎 ・胸膜炎、インフルエンザ、肺結核、慢性呼吸不全、睡眠時無呼吸症候群、
不整脈、高血圧症、急性心筋梗塞・狭心症、
急性胃炎・腸炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍(消化性潰瘍)、過敏性腸症候群、 肛門疾患、急性・慢性肝炎、アルコール性肝障害・薬物性肝障害、肝硬変・肝不全・肝性脳症、胆石症、
鉄欠乏性貧血、二次性貧血、
腎炎・急性慢性腎不全・透析、尿路結石、尿路感染症、
子宮筋腫、前立腺肥大症、
変形性関節症、関節リウマチ、
甲状腺機能亢進症、糖尿病、高脂血症、骨粗鬆症
B その他の疾患・症候群の主要徴候とプライマリ・ケア(62疾患) 痴呆・老年期痴呆、Alzheimer病、血管性痴呆、うつ病、統合失調症、不安障害、身体表現性疾患(心身症)・ストレス関連障害、アルコール・薬物依存症、脳性麻痺、てんかん、
薬疹、アナフィラキシー、角結膜炎、糖尿病・高血圧・動脈硬化による眼底変化、急性・慢性副鼻腔炎、
過換気症候群、自然気胸・緊張性気胸、気道閉塞、肺循環障害(肺梗塞・肺塞栓症)、
肺水腫・うっ血性心不全、先天性心疾患、弁膜症(僧帽弁膜症・大動脈弁膜症)、心筋症、動脈硬化症、大動脈解離(解離性大動脈瘤を含む)、大動脈瘤破裂、閉塞性動脈疾患、
食道静脈瘤、深部静脈血栓症、下肢静脈瘤、急性虫垂炎、腸閉塞、腸重責、便秘症、乳児下痢症、急性食中毒、胆嚢炎・胆管炎、急性・慢性膵炎、反発性腹膜炎、鼠径ヘルニア、
急性・慢性糸球体腎炎症候群・ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、
急性白血病、悪性リンパ腫、出血傾向、紫斑病、播種性(汎発性)血管内凝固(症候群)(DIC)、
熱性けいれん、けいれん重積症、
Parkinson病、髄膜炎・脳炎・脳症、脳卒中後遺症、
腰痛症・腰椎症、腰椎椎間板ヘルニア、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群・頸椎症、鎖骨・肋骨・四肢骨の骨折、
尿毒症、敗血症、
肥満症、高尿酸血症・痛風、Cushing症候群、甲状腺機能低下症、
熱中症・寒冷による障害
12 治療の基礎と基本的手技 E 末期患者の治療 緩和ケア、対症療法、尊厳死・リビングウィル
V 薬物療法 適応・禁忌、薬物アレルギー、薬物依存、薬物耐性、薬物相互作用
13 チーム医療 連携、リーダーシップ、チームの調整技能、自己責任と自分の限界、社会復帰、自立 等
14 生活習慣とリスク 生活習慣病、ストレス対策、過労予防対策、自殺の予防、喫煙、生涯設計 等
F 飲酒 飲酒状況、飲酒の有害性、アルコール依存症への支援
15 心理・社会的側面についての配慮 A 医師の心理・社会的側面 B 患者・障害者の心理・社会的側面 C 家族機能 D 行動変容 診療に臨む姿勢・意識、医療責任と職能の限界、社会における医師の役割の認識、患者の心理・信念、病気・障害に対する 態度、心理教育、社会参加、社会復帰、家族理解、家族機能の活用、心理・行動の要因分析、意識変容
16 医療の質と安全の確保 A 医療の質の確保 病院機能評価・国際標準化機構(ISO)、臨床機能評価指標(クリニカルインディケーター)、患者満足度、患者説明文書、クリニカルパス、診療録開示、セカンドオピニオン、PDCAサイクル(デミングサイクル)
B 医療事故の防止 患者の安全(誤薬、出血、外傷、感染、電撃、転倒、被爆)、医療者の安全(感染、針刺し事故、被爆)、医療危機管理(リスクマネージメント)、インシデント・アクシデント、麻薬・向精神薬の管理、医療廃棄物処理
C 院内感染対策 院内感染サーベイランス、院内感染対策チーム(ICT)、手洗いの励行、抗菌薬の適正使用
D 医療裁判 医療事故、医療過誤、医事紛争、賠償、医療訴訟(刑事裁判、民事裁判)
E 医薬品・医療用具の副作用 有害事象と副作用、副作用への対応(報告義務、治療、補償)
F 血液・血液製剤の安全性 使用記録保管義務
17 一般教養的事項 A 医療を含め人文・社会科学・自然科学・芸術などに関連する一般教養的知識や考え方

医学総論(のうち法医学に関連するもの)

<T保健医療論>
7 保健・医療・福祉・介護関係法規 A 医事

医師法
刑法(秘密漏示の禁止、堕胎の禁止、虚偽私文書作成の禁止)
死産の届出に関する規程
死体解剖保存法、臓器の移植に関する法律

<V病因、病態生理>
3 損傷、炎症 A 創傷の種類

開放性・非開放性損傷
鋭的外力による損傷
鈍的外力による損傷
銃器による損傷

B 創傷の治癒過程 一次治癒・二次治癒、肉芽組織、瘢痕組織、肥厚性瘢痕、ケロイド
C 創傷治癒に影響する
 因子
D 外傷の病態
E 化学的損傷
F 物理的損傷 熱傷、凍傷、電撃傷、光線損傷、放射線損傷、褥瘡
G 炎症の局所的変化 組織反応、症候
H 炎症の全身的変化 血液の変化、代謝性の変化、全身性炎症(性)反応症候群(SIRS)
I 急性炎症と慢性炎症
4 感染 K バイオテロに関連する伝染性疾患 備考:天然痘、炭疽、ペスト、ボツリヌス症、野兎病、ウイルス出血熱
9 中毒、放射線障害 A 中毒の発生要因
B 中毒の病態生理 化学物質の吸収・代謝・排泄,
中毒量・致死量・LD50
急性中毒、慢性中毒、依存
10 医原病 A 診断に伴う医原病 医師の対応による医原病
診断操作による医原病
B 治療に伴う医原病
11 死 A 死の概念と定義 死の判定
心臓死、脳死、脳死判定基準、植物状態
B 突然死 乳幼児突然死症候群(SIDS)
心臓突然死
C 院内死亡 院内死亡と病理解剖、病理解剖の目的
D 異状死

異状死の判断
異状死体届出の義務
死体検案
監察医制度
法医解剖、司法解剖、行政解剖

E 死後変化 早期死体現象
晩期死体現象
死後経過時間の推定
<VII診察>
1 2次・3次救急患者の診察 A 初診時の診断診療(プライマリケア) バイタルサイン、意識障害の評価(JCS, GCS)、来院時心肺停止(CPAOA)に対する心肺蘇生法(ACLS)、臓器障害の状態把握、運動機能障害の判定、緊急治療の要否・部位別優先順位の判断
  B 病態に応じた診察 重症度と緊急度の評価、
血液ガス分析の評価、
ショックの鑑別、意識障害の鑑別、
脳血管障害、急性呼吸不全、急性心不全、急性冠症候群、急性腹症、急性消化管出血、腎・泌尿器疾患(急性腎不全・尿毒症)、内分泌・代謝疾患(糖尿病性昏睡、肝性昏睡、甲状腺クリーゼ、副甲状腺クリーゼ、副腎クリーゼ)、精神救急疾患、急性感染症、
外傷の判断(部位、程度、性状)、
急性中毒、熱傷、
NBC(nuclear, biological and chemical)テロ、急性放射線障害
<VIII検査>
1 検体検査 A検体の採取と保存 法医学的試料の採取
抗凝固薬、血清・血漿分離、保存法、保存期間

医学各論(のうち法医学に関連するもの)

<]V生活環境因子・職業性因子による疾患> 他の項目の損傷等は省略

1 食中毒および病害動物による疾患 細菌性食中毒、化学性食中毒、自然毒食中毒、旅行者下痢症、毒ヘビによる咬傷、節足動物による疾患  
2 アルコールによる障害および薬物依存・中毒 A 急性アルコール中毒
B アルコール依存症
C アルコール精神病
D 慢性アルコール性臓器障害
E ニコチン中毒
F 睡眠薬依存・中毒
G 向精神薬依存・中毒
H 解熱鎮痛薬依存・中毒
I 麻薬依存・中毒
J 覚醒剤依存・中毒
K 有機溶剤依存・中毒
L 毒劇物中毒
M 薬物の副作用

Korsakoff精神病、Wernicke脳症
3 産業中毒およびその他の職業性疾患 ガス中毒、有機溶剤中毒、有機化学物質中毒、無機化学物質中毒、農薬中毒、酸素欠乏症、作業関連疾患  
4 物理的原因による疾患およびその他の生活環境因子による障害

A低温・高温環境による疾患
D気圧による障害
G家庭用品による中毒
H家庭におけるアレルギー・過敏症(化学物質過
 敏症)
Iシックビル症候群、シックハウス症候群

J事故による障害







交通事故、家庭内事故、自然災害

医師国家試験出題基準の中の法医学的事項です。法医学は医師国家試験でも、重要です。

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