第68回西日本脊椎研究会  抄録 (一般演題U)

6.脊椎手術における手術計画表の有用性について

 

産業医科大学 整形外科 

 

○清水 建詞、成澤研一郎、中村英一郎、高橋 良正、鈴木 聖裕、亀川 修一、中村 利孝

 

【目的】

instrumentation手術など操作手順の多い手術では予め作成した手術計画表を見ながら術前検討を行うようにしている。今回この手術計画表の有用性について検討した。

 

【方法】

手術計画表は皮切から閉創までの操作手順と個々の操作に要する予定時間を記載する。手術中は手術室内に計画表を貼付し予定時刻の横に実際の時刻を書き込む事で進行状況がわかるようにしている。 2003年以降に行った脊椎instrumentation手術105例のうち手術計画表は63(60%)で作成していた。病態によって対象手術を5つに分類し、手術時間、出血量、合併症の頻度を計画表あり群となし群で比較した。またチーム医療における計画表の有用性について検討した。

 

【結果】

分類した5つの病態いずれにおいても計画表あり群となし群で手術時間、出血量、合併症頻度に有意差を認めなかった。しかし手術進行手順や進行状況について麻酔科医やコメディカルスタッフ、関連業者と共有するのに手術計画表は有用な手段であると思われた。

 

7.看護師による「手術中クニリカルパス」の使用経験

 

総合せき損センター 整形外科

 

○森  英治、芝 啓一郎、植田 尊善、弓削  至、河野  修、高尾 恒彰、坂井 宏旭、久保 勝裕、益田 宗彰 

 

脊椎・脊髄手術の安全性を高めるためには看護師の協力は必須である。手術室看護師を中心とした「全身麻酔下における手術中クリニカルパス」を導入することにより、周術期の安全性の向上を目指したので紹介する。以前に手術室で使用していた記録用紙は病棟への伝達事項が主であり、実施したケアや処置を備考欄に記載する書式であったため経時的なものが把握できなかった。さらにケアや処置の記載基準がなかったため、必要事項の実施確認が不十分であり、看護師によりばらつきがみられた。導入したパスは、患者情報、術前手術室内準備項目、入室時項目を前半に配し、「入室〜手術開始まで」「術中」「手術終了〜麻酔覚醒」「退室」の時間軸を横軸に、チュック項目を縦軸にして中盤に、術後指示などを後半に配した1枚の用紙とした。これにより、時間経過に沿ったケア・処置が標準化され個人によるばらつきやチェック漏れが減少し、手術中記録に対する意識が高まり、看護の質や周術期の安全性の向上に結びついた。

 

8.脊椎治療の安全性を高めるための工夫〜脊柱管狭窄症に対する患者教育と保存的治療〜当院での取り組み

 

長崎市立市民病院 整形外科

 

○内田  雄、麻生英一郎、依田  周、朝長  匡

 

 当院では脊柱管狭窄症の症例に対し、外来通院加療でコントロールが困難な場合や、他院より手術依頼で紹介された患者を対象に、約3週間のクリティカルパスを用いた入院加療を行っている。その目的は十分な保存的加療と、正確な病態の把捉、患者本人と家族に対する疾患についての教育、合併症の検索である。将来手術的治療を行う場合のリスク評価が容易となり、術前の入院期間を短縮できる利点もある。今回はその具体的な治療方法を紹介するとともに、平成184月以降に入院加療を行った症例を対象に、保存的治療の効果判定、合併症について調査したので報告する。

 

 

9.腰椎手術患者に対するBS-POPを用いた心因性評価の検討

 

長崎三菱病院 整形外科 

 

○矢部 嘉浩、北原 博之、山口 貴之、 瀬良 敬祐

 

【目的】

近年、腰椎疾患は他の身体疾患と比較し、心理的・社会的因子が深く関与していることが明らかとなってきた。今回われわれは腰椎椎間板ヘルニア手術症例における心理的因子の評価をBS-POPを用い検討したので報告する。

 

【方法】

腰椎椎間板ヘルニア手術症例136例に対し、BS-POP患者用・治療者用を記載し、術前後の 疼痛の改善度(VAS) ADLの改善皮(JOA score)との相関を調査した。

 

【結果】

 BS-POP患者用点数が15点以上かつ治療者用点数11点以上で精神医学的問題ありと判断された症例は10(7.3%)であり、これらの症例では 疼痛の改善度・ ADLの改善度ともに低い傾向がみられ、入院期間も長期を要した。

 

【考察】

腰椎手術患者における心理的因子の評価を行うことにより、精神医学的問題を有する症例の術後成績を予測し、適切な対応をとることが可能であると思われた。