第69回西日本脊椎研究会 抄録 (一般演題W) |
21.MRIにおける腰椎椎間関節の信号変化の検討
鹿児島赤十字病院1 鹿児島脊椎脊髄研究会2 鹿児島大学保健学科臨床理学療法学3 鹿児島大学整形外科4
○竹之内 剛l.2、武富栄二1・2、米 和徳2・3、小宮節郎2,4
【はじめに】椎間板は、腰椎の前方支持組織として、その画像評価も多くの研究がなされている。一方で、後方支持組織としての椎間関節は、股関節や膝関節のように関節を形成するが、その画像評価は、一定の見解を得ていない。今回、我々は、腰下肢痛を主訴に外来受診し、 MRIで椎間関節の信号変化を認めた症例を検討したので報告する。
【方法】 MRIが導入された2006年11月から2007年10月の一年間に、腰下肢痛にて、単純レントゲン並びにMRIを撮影した675人平均年齢63.2歳(男性339人、女性366人)を対象とした。
【結果】 MRI T2Wl axialにおける椎間関節の信号変化を認めた244人の椎間関節を検討した。
【考察】 MRIにおける椎間関節の信号変化を病的なものととらえるか否かは、他の関節症性変化におけるMRIの信頼度の精度から考えると即断できるものとは考えられないが、今後、術中の椎間関節所見や病理所見等を検討することで椎間関節の画像上の異常所見が病的意味をもつ可能性について検討する必要があると思われた。
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22.腰椎椎間孔狭窄症の画像評価についての検討
熊本中央病院整形外科
○森 信太郎、岡嶋啓一郎、阿部靖之、田上 学、村上直也、砥上若菜
【はじめに】当院では2006年1月以降、脊柱管外病変に対して通常のMRIによる画像評価に加え3次元MRIを用いた画像評価をおこなっている。今回我々は2006年1月から2008年3月までに明らかな外側ヘルニアをのぞく腰椎椎間孔狭窄(以下FS)で手術を行った43例について画像評価を中心とした検討を行ったので報告する。
【対象】 43例(男性23例、女性20例、平均年齢3.6歳)
【結果】手術は椎間関節切除+固定41例、内外開窓2例だった。固定の内訳は片側固定20例、両側固定21例だった。
【考察】臨床症状で強烈な片側性、持続性の痛み、しびれ感を伴い、単純]線写真で変性側弯や単一椎間の楔状化、椎間関節の片側変性、不安定性、すべり、側方動揺性が見られた場合はFSを疑う必要がある。さらに3次元MRIを用いることで、神経根の走行がより捉えやすくなった。今回は診断に苦慮したFS症例やLCS合併症例を中心に画像評価をおこなった。しかし、いまだ責任高位の同定を確実におこなえるレベルではなく、臨床症状とのタイアップが必要である。
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23.外側型腰椎椎間板ヘルニアのMRI T2Wの横断像の検討 一保存療法と手術療法の比較−
熊本整形外科病院
○内田 仁、栄 輝巳、平川 敬、矢渡健一
【緒言】 MRI T2W横断像を分類し保存療法と手術療法の画像の比較
【対象】保存療法54例、手術療法39例
【方法】 ABCD分類:椎間板ヘルニアの横方向のヘルニアの局在(A.中心が椎間孔外、 B.中心が椎間孔内、 C.脊柱管内から椎間孔外に存在、 D.脊柱管内から椎間孔内に存在) UML分類:上下方向のヘルニアの局在。椎間板レベルを上中下に3分割した横断像を比較し上中下に信号が大きいものをUMLとした。
【結果】保存療法はL2/3は5%、 L3/4は18. 5%、 L4/5が50%、 L5/Slが24%、手術療法はL3/4は15%、 L4/5が41%、 L5/Slが38%。 ABCD分類:保存療法はA53%B26%C20%手術療法はA67%C33%サ UML分類:保存療法はU66%M28% L5. 5%手術療法はU66%M20%L12%。
【考察】手術療法はL5/SIAとL4/5Cが多い。L5/Slは神経根が横突起や腸骨にはさまれ圧迫を受けUMLのいずれでも手術療法になる可能性が高くBやL5/Sl以外のMでは保存療法が有効。
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24.当院における頚椎後縦靭帯骨化症に対する手術方法を決定するための画像評価指標の検討
長崎労災病院整形外科
○津田圭一、小西宏昭、稲冨健司郎、奥平 毅、森本忠嗣、山根宏敏
【目的】頚椎OPLLに対する治療法を決定するために、当院では画像指標としてK-1ineを参考にしている K-1ineとはMRIの矢状断像にてC2とC7の脊柱管の中点を結んだ線である。その有用性について検討した。
【対象及び方法】当院で頚椎OPLLに対して手術を行い1年以上経過観察が可能で、 MONなど除いた46例(男性39例、女性7例)を対象とした。年齢は40-80歳(平均58.5歳)、経過観察期間は1年〜7年8ケ月(平均3年5ケ月)であった OPLLがK-1ine を越えるものを(-)、接するものを(0)、越えないものを(+)とした。JOAスコア、平林の改善率、頚椎アライメントについて調べた。
【結果】術式は前方除圧固定術5例、後方拡大術41例であった K-line(+)31例、 (0)13例、(-)2例であったJOAスコアは平均11.7点が13.9点に改善し、改善率は平均42.3%であった。
【考察及び結語】 K-lineは頚椎OPLLに対する手術法の選択の指標として有用であった。
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25.頚椎外傷におけるMRIによる椎骨動脈損傷のスクリーニング
高知医療センター整形外科
〇時岡孝光、菊池 剛、阿部光伸
頚椎頚髄損傷では初期診察時にVA損傷を評価する必要がある。今回、通常の頚椎MRI撮像によるVA損傷の評価を行い、スクリーニングテストとしての有効性を検討した。対象は2005年3月から2008年3月までに治療した頚椎頚髄損傷の52例で、受傷時年齢は22歳から83歳、平均59. 4歳であった。 VAは通常の頚椎MRIのT2強調横断像で、 VAのflow voidの欠損があればVA閉塞疑いとして検査を進めていった。 VAのflow void欠損は11例(21.2%)に認められた。VAで左右差があり、狭窄または低形成が疑われたものが7例(13.4)であった。骨傷がある15例のうち9例(60%)でflow voidは欠損していた。骨折形態では12例に外側塊に骨折があり、そのうち6例(50%)でflow voidが欠損していた。初期の例では flow void欠損にはまったく気づかなかったが、最近では、 flow void欠損があればMRAでVA閉塞を確認し、さらには血管造影を行い、2例でVAの塞栓術を行った。
【結語】 MRIT2横断像でVAにflow void欠損があればVA損傷が強く疑われ、スクリーニングとして有用である。
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26.特発性側弯症における頚椎MRIの有用性
岡山大学整形外科
○高畑智宏、田中雅人、三澤治夫、越宗幸一郎、尾崎敏文
【目的】特発性と考えられている側琴症の中に、漢椎MRIにてキアリ奇形が発見されることが報告されている。今回、特発性と考えられた側琴症に対し頚椎MRIを施行し検討を行った。
【方法】 2006年4月から2008年3月までに頚椎MRIを施行した特発性と考えられた側弯症54例を対象とした。キアリ奇形の有無、年齢、Cobb角、神経学的症状の有無について検討した。
【結果】 54例中6例(11%)にキアリ奇形が認められ、4例は脊髄空洞症を合併していた。2例に神経学的異常が認められた。キアリ奇形が認められた群と認められなかった群の平均年齢はそれぞれ11. 8歳、14. 5歳で前者の方が有意に低かった。Cobb角はそれぞれ41.7度、38.0度で有意差はみられなかったものの、キアリ奇形が認められた群の方が若干悪い傾向にあった。一般に手術適応とされるCobb角が50度以上の症例では10例中3例(30%)にキアリ奇形が認められた。
【考察】高度の側弯症はキアリ奇形を伴う頻度が高く、頚椎MRIによる検索が重要である。
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