第71回西日本脊椎研究会  抄録 (一般演題U)

5.頚椎椎間板ヘルニアに対する顕微鏡視下後方摘出術の10年以上長期成績

広島市立安佐市民病院整形外科

加藤智弘(かとうともひろ)、住田忠幸、真鍋英喜、小林健二、宮内 晃、藤原 靖、土井一義、住吉範彦、力田高徳、高澤  篤之

【目的】当科では頸椎椎間板ヘルニアに対する神経根障害に対し、1988年より手術用顕微鏡を用いて椎間孔開放術後髄核摘出術(microcervical discectomy;MCD)を行ってきた。今回MCD術後10年以上の長期成績について検討したので報告する。【対象および方法】1990年から1997年まで当科でMCDを行い、10年以上経過した64症例(男性31例、女性33例、平均年齢65.4歳)を対象とした。【結果】54例が調査可能であり,術後平均経過観察期間は14.4年(10年〜18年4ケ月)であった。頭部神経根症治療成績判定基準では術前平均7.45点から最終調査時18.8点へ改善し平均改善率は93.1%であった。同椎間同側再発は1例(2.0%)のみであり、その他、同椎間対側と他椎間でヘルニア発生例を各1例ずつ認めた。【考察】MCD術後10年以上の長期成績は非常に安定していた。MCDは技術的な習熟を要するが、頸椎椎間板ヘルニアにおける第一選択となるべき術式と考えられた。

6.頸椎椎間板ヘルニアに対する前方除圧固定術の長期治療成績 

久留米大学整形外科 

 

脇岡 徹(わきおかとおる)、佐藤公昭、朴 珍守、山田 圭、吉田龍弘、永田見生

 
【はじめに】頚椎椎間板ヘルニアの観血的治療として、長期の経過において隣接椎間障害等の合併を認めることより、後方手術を選択するという報告が近年散見される。今回我々は、前方除圧固定術後5年以上経過した症例において、治療成績および合併症について検討を行った。【対象】1998年より2002年まで当科において頚椎椎間板ヘルニアの診断で前方除圧固定術を施行した29例を対象とした。男性18例、女性11例であり、手術時年平均齢は53.5歳である。検討項目は手術時間、出血量、JOAスコアを含めた治療成績、術後中長期合併症(頸椎アライメント、隣接椎間障害等)である。【結果】脊髄症症例の治療成績はJOAスコア術前平均11.1点より術後15.1点へ改善が得られた。神経根症症例においては上肢の疾病、しびれを4段階評価(なし,軽度,中等度,重度)にて行ったが、いずれも軽快していた。経過観察中に悪化した症例がみられたが、そのうち3症例に画像上隣接椎間に不安定性および椎間板の輝度変化やヘルニアの所見が認められた。【まとめ】頸椎椎間板ヘルニアに対し前方除圧固定術を施行した29例について検討した。臨床成績はおおむね安定していたが、経過観察中悪化例が4例(13.9%)、そのうち隣接椎間障害がみられた症例は3例(10.3%)であった。しかしながら、再手術までには至らず保存的治療にて軽快した。

7.頸椎椎間板ヘルニアによる脊髄症に対する手術成績

久留米大学整形外科 

 

岡山医療センター整形外科

○荒瀧慎也(あらたきしんや)、中原進之介、竹内一裕、高橋雅也


【目的】頸椎椎間板ヘルニア(CDH)による脊髄症に対しては脊髄の非可逆性変化が危供されることにより比較的早期に手術が選択されることが多い。脊柱管狭窄を伴わない症例に対し、前方固定術を選択し治療してきたのでその手術成績を報告する。【対象と方法】CDHによる脊髄症28例(男20例、女8例)を対象とした。手術時年齢は平均60歳、経過観察期間は平均2.8年であった。これらの症例について、責任高位、MRIでのヘルニアの形態、頚椎アライメントの推移、合併症、JOA scoreによる神経症状の推移を検討した。【結果】責任高位は、C3/4が5例、C4/5が9例、C5/6が11例、C6/7が2例、C7/Thlが1例であった。MRI横断像ではmedian typeが多く、ヘルニアによる脊髄圧排・T2強調画像での脊髄内輝度変化を多くの症例で認めた。C5麻癖を1例(3.6%)で認めたが、経過観察のみで完全回復が得られた。JOA scoreは術前平均10.7点が、術後平均14.7点となり、改善率は平均67%であった。【考察】前方固定術後長期経過に伴い隣接椎間障害が問題となる。後方除圧単独でも限界があり、術式選択は慎重に行う必要がある。

8.脊髄症を呈した頚椎椎間板ヘルニアに対する前方除圧固定術の治療経験

長崎労災病院整形外科  

 

津田圭一(つだけいいち)、小西宏昭、稲冨健司郎、奥平 毅、山根宏敏、久芳昭一、古矢文雄

 

【目的】脊髄症を呈した頸椎椎間板ヘルニア(CDH)に対し前方除圧固定術(ASF)を施行した症例について検討すること。【対象および方法】1992年から2005年の間にASFを施行した症例は68例であり、3年以上経過を観察できた30例を対象とした。男性19例、女性11例で、手術時年齢は28歳〜72歳(平均50.7歳)、経過観察期間は3年〜12年5ケ月(平均5年4か月)であった。1椎間19例、2椎間10例、3椎間1例であった。周術期合併症、骨癒合率、JOAスコア、固定椎開角、C2-7角、隣接椎の変化、再手術例について検討した。【結果】移植骨の脱転を3例に認めた。全例に骨癒合を認めた。JOAスコアは術前11.0点から15.8点に改善していた。固定椎開角は術直後は局所前攣が得られていたが、最終時は前攣位の損失を認めた。下位隣接椎にヘルニアを3例に生じ、2例に再手術を施行した。【考察及び結語】CDHに対するASFの治療成績は良好であるが、移植骨の問題、隣接椎の問題があり、注意を要す。