第74回西日本脊椎研究会 抄録 (電気診断・外傷) |
1.脊柱靭帯骨化症疾患特異的タンパク質の発見からの創薬研究
久留米大学整形外科、厚生労働科学研究脊柱靭帯骨化症に関する調査研究班 ○津留美智代(つるみちよ)、佐藤公昭、永田見生
【目的】脊柱靭帯骨化症疾患特異的タンパク質を同定し、遺伝子レベルの発症メカニズムの解明と靭帯骨化分子標的医薬品候補化合物のドラックデザインを行い、トランスレーショナルリサーチを行う。 |
2.脊髄誘発電位を用いた頚椎後縦靭帯骨化症の障害高位と骨化形態の検討
山口大学大学院医学系研究科整形外科 ○船場真裕(ふなばまさひろ)、加藤圭彦、寒竹 司、 今城靖明、鈴木秀典、田口敏彦
【目的】後縦靭帯骨化症(以下OPLL)の骨化形態が脊髄症の発症に関与することが多い。脊髄誘発電位から判定した障害高位が骨化形態に関係するか検討した。 |
3.OPLLに伴う脊髄症における経頭蓋電気刺激による誘発筋電位を用いた術中脊髄モニタリングの検討
高知大学医学部 整形外科 ○田所伸朗(たどころのぶあき)、谷口愼一郎、武政龍一、川崎元敬、南場寛文、葛西雄介、谷 俊一
【目的】近年、術中脊髄モニタリングの方法として経頭蓋電気刺激により四肢筋から筋活動電位(muscleMEP)を記録する方法が普及しつつある。その利点は、硬膜外電極を設置する必要がなくしかも臨床的に最も重要な運動機能を高感度でモニターできることであるが、欠点として麻酔方法が制約され、記録電位が不安定でアラームポイントの設定が難しいなどの問題点がある。今回、15例のOPLL手術におけるmuscleMEPによるモニターの結果を分析した。 |
4.頚椎後縦靭帯骨化を伴う高齢者頚椎外傷の検討
薩摩郡医師会病院 整形外科*1、
聖マリア病院 整形外科*2、 救急科*3、放射線科*4、久留米整形外科*5 密川 守*5、 佐藤公昭*5、 永田見生*5
【目的】頚椎後縦靭帯骨化症診療ガイドラインでは、頚椎OPLLを有する慰者が外傷により脊髄損傷となる可能性は正常群よりやや高い可能性があるとしている。今回、頚椎OPLLを有する高齢者を調査し、外傷の関与を検討した。 【考察】松永らは頚椎OPLLを有する頚部外傷患者の43%が脊髄症状を発症したと報告し、外傷の関与の重要性を指摘している。今回の調査においても外傷により脊髄損傷となる危険性が高く、転倒転落予防に関する生活指導と脊髄症状を有する患者に対しての除圧術の必要性が示唆された。 |
5.後縦靭帯骨化を伴う非骨傷性頚髄損傷
総合せき損センター 整形外科 ○河野 修(かわのおさむ)、前田 健、森 英治、 弓削 至、高尾恒彰、坂井宏旭、 益田宗彰、宿利知之、林 哲生、 椛田尊善、芝啓一郎
【はじめに】非骨傷性頚髄損傷は近年増加傾向にあり、特に高齢者で脊柱管狭窄を伴うものが多く見られる。脊社管狭窄の原因として、
後縦靭帯骨化は少なくはなく、受傷以前から高度な脊髄圧迫を呈している例も珍しくない。
今回我々は、後縦靭帯骨化を伴う非骨傷性頚髄損傷の特徴について検討した。 |
6.頚椎後縦靭帯骨化症を合併した非骨傷性系髄損傷の予後について
愛媛県立中央病院 整形外科 ○和田英路(わだえいじ)
【目的】頚椎後縦靭帯骨化症を合併した非骨傷性頚髄損傷の予後について検討したので報告する。 【考察と結語】頚椎後縦靭帯骨化症を合併した非骨傷性頚髄損傷の予後は不良であった。無症候性OPLLに関しても、有効脊柱管前後径で基準を設けるなどして、予防的手術を検討してもよいものと思われた。 |