第77回西日本脊椎研究会  抄録 (一般演題1)

1.頚椎後弯変形症の手術成績

 

高知医療センター 整形外科

 

○時岡孝光(ときおか たかみつ)、土井英之

 

【目的】頚椎後弯変形症の治療成績と問題点を検討した。

【対象】過去7年間に経験した後弯角20°以上の頸椎後弯変形症は6例で、年齢は37−87歳、平均67.0歳で、変形の原因は、椎弓形成術後が3例、ポリオ1例、アテトーゼ型脳性麻痺1例、特発性(首下がり)1例であった。C2椎体下縁とC7椎体上縁のなす角度を後弯角とすると、術前の後弯角は−22°から−53°、平均−36.5・であり、術後は−10°から+5°、平均−5.2°であった。手術方法は4例が椎弓根スクリュー固定(PS)、1例は前方固定後に椎体が圧壊してPSで固定したものが1例であった。固定範囲はC2−Th2、C2−C7、C3−C7が各2例で、C2を固定に含めた4例は38.8°の矯正が得られた。術後C5麻痺は首さがり症の79歳女性で術後7日に出現した。

【考察】
高齢者では前方固定術による矯正は椎体悪圧壊し、限界がある。後方法からのPSは強固な固定と矯正、アライメント保持が可能であるが、過矯正はC5麻痺の危険性がある。

2.陳旧性環軸椎回旋位固定の3例

 

琉球大学 整形外科 

 

○三好晋爾(みよし しんじ)、我謝猛次、黒島 聡、根間直人、金谷文則

 

 今回我々は、陳旧性環軸椎回旋位固定(以下AARF)の3例を経験したので報告する。

【症例】  3例すべて女児。年齢は6、8、9歳。発症機転は2例では特に誘因なく、1例で先行する上気道感染を認めた。他院に初診し、2例は経過観察となり、1例は頚椎カラー固定を行われたが、改善なく各々2、3、5ヶ月後に当科に紹介された。Fielding分類はtype1:1例、type2:2例であった。全例3D−CTを施行しC2の環軸関節面変形を認めた。入院後Glisson牽引を10〜30日行うも改善なく、全身麻酔下に徒手整復を行い、8〜11週間ハローベスト固定を行った。整復後8週目のCTで2例に環軸関節面変形のリモデリング を認めた(1例はCT施行せず)。平均観察期間は6.3ヶ月で全例症状は消失した。  陳旧性AARFが難治性の原因として、近年ではC2の環軸関節面の変形が指摘されている。ハローベストにより環軸関節面の軸圧を減少させたことで、関節面のリモデリングが生じた可能性が考えられた。

3.首下がり症に対し後方固定術を施行した3症例

 

熊本大学大学院 生命科学研究部 運動骨格病態学分野   

 

○藤本 徹(ふじもと とおる)、瀬井 章、谷脇琢也、岡田龍哉、水田博志

 

【目的】  いわゆる首下がり症に対し後方固定術を行った3症例を報告する。

【症例】 症例1は31歳女性で、頚髄々内腫瘍摘出術後4ヶ月で首下がりが出現し、後弯が65度まで進行したためにC2−T2の後方矯正固定術を施行した。症例2は82歳男性で首下がり出現後1年の保存治療で改善しないためにC3−T2の後方矯正固定術を施行した。症例3は55歳女性で知的障害があり施設に入所していたが、2年前に頚部硬直感が出現し徐々に首下がりが出現し、手で支えないと前方視が困難となったためにC3−T2の後方固定術を施行した。現在3例とも首下がりは改善し、日常生活に支障は認められない。

【考察】 首下がり症の原因は頚部の伸展力低下と考えられているが、症例2・3ともに特に基礎疾患は無かった。全例とも保存治療に抵抗性を示したために、観血的治療を選択したが、後弯部位を含め胸椎からの固定で安定した脊柱再建が達成でき、首下がり症の治療として有用であった。