第78回西日本脊椎研究会  抄録 (一般演題3)

15.遅発性麻痺を伴う骨粗鬆症性椎体骨折に対する固定術の中長期的検討

 

公立学校共済組合九州中央病院 整形外科


有薗 剛(ありぞの  たけし)、井口明彦、濱田貴広、深川真吾、
熊丸浩仁、今村隆太、小宮山敬祐

 

【目的】
骨粗鬆症に伴う椎体骨折後の遅発性麻痺に対する固定術については良好な短期成績の報告が多いが、中長期の報告は少ない。今回、中長期的問題点を検討したので報告する。
【対象および方法】
対象は2003年8月から2009年7月に椎体骨折後遅発性麻痺に対して後方固定術を行った18例のうち経過観察可能であった16例。手術時平均年齢は75.5歳、平均経過観察期間は48.5ヶ月であった。術後の臨床経過、X線像の変化について検討した。
【結果】
経過観察中に5例が死亡した。離床後は全例ビスフォスフォネートを処方した。術後6カ月時に歩行能力の改善はll例で得られていたが、その後に悪化した症例が4例認められた。固定後の新規骨折は14例に認められ、平均18ヶ月で出現していた。矯正損失は14例に認められ、術前と同様のalignmentになる症例が多かった。
【考察】 術後続発する新規骨折の発生は極めて高率で、中長期成績が良好とは言い難く、手術方法の工夫、新たな薬物治療の追加等が必要と思われた。

16.強直性脊椎骨増殖症・強直性脊椎炎の胸・腰椎骨折における術前・術後の後弯角の検討

 

鳥取大学 整形外科*1
松江市立病院*2


三原徳満(みはらとくみつ)*1、永島英樹*1、楠城誉朗*1、武田知加子*1、豊島良太*1、濱本佑樹*2

 

【目的】
ASH・AS患者の椎体骨折の術前・術後の脊椎後弯角度を検討する事である。

【対象と方法】
2003年〜2010年に治療を行ったASH・ASにおける胸・腰椎の脊椎・脊髄損傷患者7例を対象とした。

【結果】
症例の性別は男性が3例、女性が4例で、年齢は平均85.0歳(75〜93歳)で、画像所見は全例3・column fractureであった。受傷機序は転倒が5例、転落が1例、交通事故が1例であった。手術時間は平均171分で、出血量は平均364gであった。術前に麻痺があったのは3例で、そのうち1例はASIA Impairment scale がC→E、と改善し、2例ではD→D、C→Cと変化がなかった。麻痺がなかった症例では術前のADLが維持できた。後弯角は術前の平均が24.5°(20〜30°)で術後が平均20.0°(15〜22°)であった。術前と術後の後弯角の差は平均で4.6°(2〜11)であった。

【考察】
我々は4点フレーム上で得られたアライメントで固定を行った。これにより骨折部は開大するが、HAなどの骨補填材料により前方支柱を作製することで骨折前のアライメントを保つ事ができ、ほとんどの症例で良好な成績が得られた。

17.骨粗鬆性椎体偽関節に対する椎体形成術とposterior instrurmentationを併用した脊柱再建術の長期治療成績

 

島根大学整形外科*1
若草第一病院整形外科*2
浜田医療センター整形外科*3

 

松崎雅彦(まつざきまさひこ)*1、河野通快*1、内尾祐司*1、国村大樹*2、柿丸裕之*3

 

【目的】
骨粗鬆性椎体偽関節に対してcalcium phosphate cement(CPC)を用いた椎体形成術と椎弓根スクリューの併用による脊柱再建術の中長期治療成績と有効性を明らかにすること。

【対象及び方法】
骨粗鬆症性椎体骨折後偽関節に対して本手術を行い4年以上経過観察しえた9症例(平均手術時年齢77歳、平均調査期間5.5年)を対象とした。偽関節椎体は胸腰椎移行部10椎体、L31椎体。全例に腰背部痛を、4例に遅発性対麻痺を認めた。椎体内掻爬は経椎弓根的に内視鏡を挿入して行い、麻痺例には椎弓切除術を追加した。評価はJOAスコア(29点)、X線側面像での局所後弯角と椎体楔状率で行い、CPCと上下終板との接触度をCTで評価した。

【結果】
JOAスコアは術前平均7.5点、術後1年17.5点、調査時16.5点。局所後彎角は術前平均10.0°、術後6週1.8°、術後1年4.0°、調査時4.3°。楔状率は術前平均68.6%、術後6週80.4%、調査時74.3%。術後早期に楔状率の低下を5椎体に認めたが、術後3ヶ月で安定化し、その後、長期間にわたり維持可能であった。CT矢状断ではCPCが上下終板とも終板径の2/3以上の接触を11椎体に認めたが、冠状断では6椎体のみであった。
【考察】

椎体楔状率の矯正損失の原因は、CPCの注入不足によると思われた。椎体内両側の掻爬を十分に行い、偽関節腔内にできるだけ多くのCPCを注入することで椎体を安定化させることが重要である。

18.HAスティックによる椎体形成を併用した後方固 定術の治療成績の検討

 

宮崎大学医学部整形外科


増田 寛(ますだひろし)、黒木浩史、濱中秀昭、猪俣尚規、帖佐悦男

 

【目的】
現在われわれは圧迫骨折後の偽関節に対する固定法として主に後方固定術を選択している。しかし骨質の影響によるinstrumentfailureの可能性があり、その対策としてHAスティックを用いた椎体形成の併用を行っている。その手術成績について検討したので報告する。

【対象】
2009年3月から2012年3月までの間に当科にて圧迫骨折後に生じた偽関節に対しHAスティックを併用して後方固定術を行った患者7例(全例女性)である。手術時平均年齢は81歳(69-87歳)であった。圧迫骨折後偽関節の損傷椎体はL1が4例、Thl2が3例であった。平均観察期間は22か月(6-42か月)であった。

【結果】 手術時間の平均は366分(282-495分)、出血量の平均は550ml(230-900ml)であった。スクリューの脱転が生じ再手術を要した1例及び転院後褥瘡を生じた1例を除いて術後経過は良好であった。HA顆粒の逸脱などは認めず、HAスティック挿入が原因と考えられる合併症は観察されなかった。

19.骨粗鬆症性椎体骨折後偽関節による脊髄麻痺に対する手術成績の検討

 

県立宮崎病院 整形外科


阿久根広宣(あくねひろのぶ)、宮崎幸政、菊池直士、井上三四郎、松田匡弘、吉本憲生、中川 亮

 

【目的】
骨粗鬆症性椎体骨折後偽関節による脊髄麻痺例に対してpedicle screw(PS)による後方固定を併用した椎体形成術(HAブロック使用)を施行したので報告する。

【対象】
2008年6月から2012年3月の期間手術施行し術後6ヶ月以上観察し得た7例。全例女性で平均年齢は77.3歳。観察期間は6-24ヶ月。罹患椎体は、T11:1例、T12:5例、L1:1例であった。(検討項目)腰背部痛、歩行能力の改善度、X線評価として術前術後最終観察時の椎体変形率、PSのloosening、backout、HAの逸脱、新規骨折を調査し臨床症状への影響について評価した。

【結果】
臨床症状は全例改善した。PSの loosening、backoutが4例、 HA顆粒の逸脱3例見られたが臨床症状との相関はなかった。固定椎体下端骨折を認めた2例は早期PSのback out例であった。 考察)固定椎体下端骨折はPSによる後方固定の影響の可能性が考えられたが、PSのloosening、backoutと同様、骨脆弱性の根本的問題があり長期的な経過観察が必要と思われた。

20.骨粗鬆症性椎体圧潰後遅発性障害に対する椎体形成併用脊椎後方固定術の治療成績

 

松江赤十字病院整形外科*1
浜松労災病院整形外科*2

 

岩佐潤二(いわさじゆんじ)*1、佐藤慶一*1、喜井竜太*1、真子卓也*1、秦 公平*1、中山威知郎*2

 

【目的】
骨粗鬆症性椎体圧潰後遅発性障害による難治性疼痛や下肢症状に対し、様々な手術が行われている。われわれは損傷椎体にHAを充填する椎体形成術とpedicle screwを用いた脊椎後方固定術を併用した術式を行っており、今回その治療成績を検討した。

【対象および方法】
骨粗鬆症性椎体圧潰後遅発性障害に対して椎体形成術併用の脊椎後方固定術術後1年以上経過観察が可能であった12例(男性5例、女性7例)を対象とした。手術時平均年齢77.9歳、術後平均経過観察期間4年6ヶ月であった。術前後の局所後弯角、腰背部痛、下肢症状、ADL、新たな椎体骨折、pedicle screwの脱転、および合併症の有無を調査した。

【結果および考察】全例で局所後弯角、腰背部痛、下肢症状、ADLの改善を認めた。隣接椎体骨折を2例に認め、pedicle screwのゆるみを7例に認めたが、脱転は認めなかった。合併症も少なく良好な成績であったが、今後固定範囲や手術適応、長期成績などの検討が必要であると考える。

21.骨粗鬆性圧迫骨折後偽関節に対しHAブロックを用いたKyphoplastyにInstrumentを併用した症例の矯正損失

 

愛媛大学医学部付属病院脊椎センター*1
愛媛大学医学部運動器学*2

 

堀内秀樹(ほりうちひでき)*1、尾形直則*1、森野忠夫*1、山岡豪大朗*1、三浦裕正*2

 

【目的】
骨粗鬆性圧迫骨折後偽関節に対する手術には前方除圧固定、後方からの脊椎短縮術などあるが、我々は高齢者に対しできるだけ手術侵襲を軽減する目的で後方InstrumentationにHAブロックを用いたKyphoplastyを行ってきた。本研究ではこの術式の矯正損失を検討する。

【方法】
2004年から9年間に上記手術を行った患者29名を対象とした。平均年齢は77.2±1.2歳であった。術後観察期間は46.4±6.4ヶ月であった。評価は術前機能写側面像と術直後側面像および最終診察時立位側面像で後弯角(損傷高位上下椎の上下縁の角度をCobb法で計測)を計測した。

【結果】
術前後弯角は屈曲位17.9±2.9°、伸展位ll.1±2.2°であった。術直後は6.3±2.1°であり矯正が得られていた。最終観察時は8.3±2.3°であり、矯正損失は2,0±0.9°であった。

【考察】
本術式の前方の固定力は十分とはいえないが、矯正損失は2.O°とわずかなものであり、活動性の低い高齢者においては十分有用な術式であると考えられる。