第78回西日本脊椎研究会  抄録 (一般演題6)

34.骨粗鬆症性椎体圧潰に対する脊柱再建 一後方固定にフックを併用することの有用性一

 

岡山大学 整形外科

 

杉本佳久(すぎもとよしひさ)、田中雅人、瀧川朋亨、尾崎敏文

 

【はじめに】
骨粗鬆症性椎体圧潰を有する症例に対して、後方固定の下端にフックを使用した症例について、臨床成績を報告する。

【対象および方法】
9症例について検討を行った。手術時年齢は平均80歳(74〜87歳)、性別は男性3例、女性6例、ステロイド性骨粗鬆症が3例であった。後方固定単独で対応した症例が5例、前後合併手術を施行した症例が4例であった。後方固定は、原則として骨折椎体の2 above l belowの固定を行い、固定下端にフックを使用した。後弯角の推移、合併症、Frankel分類について検討を行った。

【結果および考察】
脊椎後弯角は、術前で平均39度、術直後で平均23度、最終観察時で平均28度であった。スクリューのback outで再手術を要した症例は認めなかった。術前にFrankel分類Cであった7例は、術後全例D以上に改善していた。後方固定の下端にフックを使用することで、スクリューのback outを予防できる可能性が示唆された。

35.当科における骨粗鬆性椎体骨折に対する観血的治療の短期成績

 

広島赤十字・原爆病院 整形外科

 

柳澤義和(やなぎさわよしかず)、野村 裕、倉員市郎、千住隆博、浦島太郎、高野祐護、田中孝幸、中野壮一郎、有馬準一

 

骨粗鬆性椎体骨折で偽関節例や破裂骨折により難治性腰痛や下肢症状を有する症例には観血的治療が必要となる場合がある。今回、当科で観血的治療を行った症例を検討したので報告する。対象は平成23年1月から平成24年3月まで当科で手術に至った7例で、罹患期間は平均9.4週間であった。主訴は腰痛のみ2例、腰痛と下肢痛や脱力2例、下肢麻痺のみ3例で、平均JOAスコアは5.6点であった。罹患高位はT9:1例、Tl2:3例、L1:2例、L2:1例であった。手術は椎体形成術+後方固定術:5例、短縮骨切り術+後方固定術:1例、後方除圧固定術:1例に行った。術後は硬性コルセット:3例に、半硬性コルセット:4例に装着し、平均在院日数は35.6日であった。平均経過観察期間は34.3週間であり、骨癒合を4例に認めた。最終経過観察時JOAスコアは20.6点であった。合併症としてpedicle screwのゆるみを1例、感染を3例、隣接椎体骨折を2例、脳梗塞の再発を1例に認めた。感染例のうち糖尿病の既往と、rod下縁での高度な後彎アライメントが危険因子になることが考えられた。

36.骨粗鬆患者の椎体骨折に脊髄麻痺を合併し、除圧・固定に苦慮した3症例

 

今給黎総合病院(いまいきれそうごうびょういん) 整形外科

 

宮口文宏(みやぐちふみひろ)、古賀公明、松永俊二

 

【目的】
骨粗鬆症の椎体骨折後の脊髄麻痺に、DLSや多椎間陳旧性椎体骨折、分離すべり症らを合併していると手術で固定範囲を決定するのが困難である。今回われわれは、手術方法決定に難渋したが、手術を施行し、術前歩行不能から歩行可能となった3症例を経験したのでここに報告する。

【症例1】
75歳女性、3mの高さから転落し、Tl2破裂骨折後両下肢麻痺(trace)となる。腰椎にCobb角30.8°のDLSを合併し、L3/4,4/5レベルの脊柱管狭窄を認めた。

【症例2】
74歳女性、自宅で転倒後徐々に歩行困難となる。Ll破裂骨折あり、排尿障害も合併していた。L3に陳旧性椎体骨折があり、その椎体高が8mmであった。L5分離すべりも合併していた。

【症例3】
86歳女性、誘因なく腰背部痛出現。T8椎体骨折あり、3日後両下肢しびれ、両下肢不全麻痺(poor)出現。ASH、L3陳旧性椎体骨折を認めた。

【考察】
骨粗鬆症の薬剤投与として、テリパラチドが普及しつつある。骨折後の偽関節や遅発性脊髄麻痺が出現すると固定範囲決定に難渋するが、いざ手術となると多椎間固定が多い。

37.骨粗鬆症性椎体骨折偽関節に対してSynCage-EX を用いて後方より前方脊柱再建術を施行した2例

 

水俣市立総合医療センター 整形外科

 

井上哲二(いのうえてつじ)、山内達朗、中島三郎、福田和明、宮崎 信、沼田亨輔、久永 哲

 

【目的】
前方支持機構が破綻した病態に対して前方からの脊柱再建術は非常に合理的といえる。しかしながら手術侵襲に関して、高齢者にとっては非常に負担となる可能性がある。我々は骨粗鬆症性椎体骨折偽関節に対してSynCage-EXを用いて後方より前方脊柱再建術を施行したので報告する。
症例1:72歳、女性。T12圧迫骨折偽関節(麻痺なし)に対してHA blockを用いて椎体形成術+PLF施行。術後、椎体圧壊、終板の破壊、PSのlooseningを認め、PSを入れ直し、左後側方よりegg shell likeに椎体内および終盤、上下椎間板を掻爬しSynCage-EXを設置し前方脊柱を再建した。術後3か月でsinkingを起こしたが、術後38か月の現在、安定化。疼痛軽快しsilver car歩行で自立されている。
症例2:83歳、男性。Tl2圧迫骨折偽関節(不全対麻痺)、椎体前方2/3の骨欠損に対して、左後側方よりegg shelll ikeに椎体内および終盤、上下椎間板を掻爬しSynCage-EXを設置し前方脊柱を再建した。術後12か月の現在、sinkingなく安定化。疼痛・麻痺改善し歩行器歩行で自立されている。
【考察】 後方から行うことにより、高齢者に対して比較的少ない侵襲で前方脊柱再建ができる有用な手術法と考えられる。

38.骨粗鬆症性椎体骨折の治療成績

 

久留米大学整形外科*1
済生会二日市病院整形外科*2

 

吉田龍弘(よしだたつひろ)*1、脇岡徹*1、佐藤公昭*1、密川 守*2、山田 圭*1、吉松弘喜*1、永田見生*1

 

【はじめに】
骨粗鬆性椎体骨折は適切な保存的治療が行われない際、椎体の圧潰が進行し、偽関節や遅発性麻痺を呈し、外科的治療が必要となることがある。今回我々は、骨粗鬆症性椎体骨折の診断にて手術を施行した症例の治療成績と問題点について検討し
た。

【対象】
2007年1月より2011年12月までの15例を対象とした。男性4例、女性11例であり、手術時平均年齢は75.5歳(62歳〜83歳)であった。検討項目は手術時間、出血量、単純X線での局所後弯角、周術期・術後合併症である。歩行能力は独歩・T字杖歩行・押し車歩行・車いす・ベッド上の5段階で評価した。

【結果】 術式は椎体形成術2例、後方除圧固定術12例(椎体形成併用10例)、前方除圧固定術1例であった。経過観察期間は平均25.5ヶ月で、平均局所後弯角は、術前25.3°が術後15.3°に矯正されていたが、最終調査時には19.5°と5.8°の矯正損失があった。歩行能力は最終調査時、独歩3例、T字杖歩行5例、押し車歩行3例、車いす2例、歩行不能2例であった。

39.当科における骨粗鬆性椎体骨折に対する手術治療

 

九州厚生年金病院整形外科

 

土屋邦喜(つちやくによし)、宿利知之(しゃくりともゆき)、黒瀬 圭(くろせけい)

 

【対象および方法】
2006年以降当科にて骨粗鬆性椎体骨折に対する手術治療を行った26例を検討した。23例が神経障害を有していた。内訳は固定術を行ったものが19例で、このうち15例に椎体形成術、2例に短縮骨切り術を併用した。7例で固定を併用しない椎体形成術が施行された。男性9例、女性17例、年齢は56-95歳であった。骨折レベルは胸腰椎がもっとも多くTh11-L1に生じたものが22例であった。

【結果】
下肢運動機能はおおむね改善が認められたが、特に高齢者で歩行機能の回復が遷延する傾向であった。術後局所感染を3例に認め、インストウルメントを併用した2例は病巣部デブリドメントを行いインストゥルメント抜去を行わず治癒した。1例は椎体形成単独の症例であった。

【考察】 骨粗鬆性椎体骨折に対する手術加療は、ベースとなる骨粗鬆の存在や高齢者が多いことから手術の適応、タイミングや手術術式に関しては慎重な判断が要求される。術後せん妄等を伴い後療法が遷延することも多く、早期リハを含む総合的なアプローチが必要である。